黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 519
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062756945

感想・レビュー・書評

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  • 理瀬シリーズ4作目に入る。「麦の海に沈む果実」に続く理瀬が主人公の長編。

    高校生になった理瀬が、亡くなった祖母の遺言に従い、祖母が遺した洋館で二人の叔母と一緒に暮らすことになる。
    祖母が亡くなった時の不自然な状況、奇妙な遺言、得体の知れない二人の叔母、同級生の弟の警告、謎の『ジュピター』、猫の毒殺、二階に住む妖精、悪意に満ちた封筒、級友の失踪…。
    曰くつきの館に染み込んだ謀略と欺瞞の血が呼ぶ疑心暗鬼に、この作者らしいワールドが全開。
    これだけでも十分楽しめるが、同級生の雅雪との交流に大人びた理瀬とは別の彼女の一面を見ることが出来ていい感じ(丘の上の公園での会話の切ない感じが好きですね)。
    理瀬だけでなく朋子も加えて、この年頃の女の子が持つ罪作りなところがよく表現されていて、それがまた話の顛末にも結びついているところにも感心。
    大団円と思われた後のひと悶着もオマケの楽しみ。余韻を残したラストにまだまだ続く物語を思う。

    それでは「薔薇のなかの蛇」が文庫になって出てくるのを待つとする。

  • 久しぶりに恩田陸さんの作品を読みました。理瀬の奇妙な家族構成に頭がこんがらがりながら、それでも細かいことは抜きにしてどんどん読み進めていくことができたのはきっと「恩田陸さんの筆の力」のおかげでしょう。

    意外な人物の意外な真相(深層)にドキドキしながら最後まで、あっという間に読み切ってしまいました。何か続編がありそうな終わり方に、次の恩田陸作品探しをしようと思っているところです。

  • 文句なし、恩田陸作品にしては結末スッキリめかもなので作者の作品初めての人にもおすすめしたい。理瀬シリーズの続編、といってもこれ単体で読めてしまうとは思う。
    むしろここから入って麦海、三月と読み進められる読者はそれはそれで運がいい。理瀬のこととその世界をある意味何も知らずこの不安感を抱えたまま作品に入り込めるのは心底羨ましい。
    とはいえヨハンや稔、そして亘…と理瀬を取り巻く人々とのその後が読みたかった(短編の「睡蓮」を挟んでから本作を読んだので)私のしては大満足の一冊。
    ただホントにどうしてもお願いだから続編が読みたいです恩田陸様

  • 前作「麦の海に沈む果実」と比べてインパクトに欠けるなと思っていたら最後のどんでん返しに思わず唸ってしまった。
    雅雪と黎二がリンクしていて少し切なかった…。
    それにしても理瀬って、ちょっとおっちょこちょいなのか…?
    少しずつ抜けてて愛らしい。

  • 最高でした!!
    理瀬の愛されっぷりは虜になる!!
    最後の最後で「えっ!?」ってなって一気に読める一冊でした!!


  • 麦の海に沈む果実から、時系列で少し先のお話。
    美しくて達観していて、自分が闇の世界の側だと知った理瀬がたまらなく魅力的!
    ヨハンや黎二の存在がちらついたり、お父さんも登場したことにワクワクした自分に気づいて、すっかりファンだと実感した。

    美しい描写あふれるミステリーほど読んでいて楽しい本はない。

    • mayutochibu9さん
      シリーズの続きを読みたいですね
      シリーズの続きを読みたいですね
      2019/12/06
  • 三月は深き紅の淵を 麦の海に沈む果実 のシリーズ本です。麦の海に沈む果実で主人公だった理瀬が主人公出てきます。私は三月は深き紅の淵をで恩田陸のファンになったのですごく楽しかったです。この本を読む前に三月は深き紅の淵を と麦の海に沈む果実 をよんどいたほうがいいですよ。但し少し癖があります、、、。

  • 何回も読んでる、読みたいシリーズ。理瀬が前作よりも人間ぽかったのは、ちゃんと戦っているからか。 血のつながらない叔母ふたりと魔女の家に暮らす理瀬。となに住む朋子、弟の慎二、その幼馴染の雅雪。帰省する従兄弟の稔と亘。読む内に思い出す、全員の怖さ。確かに、死んだ彼女が1番わかりやすい悪で、対処しようがあった。 女は嫉妬する。想いが強すぎると人は狂う。 これは、どうなると終わるのか、終わりを読みたくない気がする。慎二との絡みがもっと読みたかったな。雅雪も。

  • なかなか面白かったと思うー!
    正確な気持ちは、☆5というよりも4.5くらいの感覚だけど。
    最後まで、結局この主人公たちって何者?!というのはよく分からなかったけど(※後で解説を読んだところによれば、他の麦と~の本を読んでおけば分かったらしい。)、この設定は目新しいし、最後の種明かしまで謎は謎のママで、でも設定として冒頭から推理が始まってて。そういう意味では、割と短い小説なのに、ドキドキ感を長く味わえる1冊でした。

  • 最後のどんでん返しのような展開が驚いた
    そういうのが好きなので次、次、次と先が読みたくなってしまう本
    理瀬シリーズ面白い!

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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