中国の歴史 近・現代篇(一) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757034

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  • 日清戦争後から日露戦争あたりまでの時代。後半は日本などの周辺で活動していた革命家たちが中心。西太后の権力亡者ぶりと、先の見えなさはどうしようもないない。同時代の人間はさぞかし暗澹としたことだろう。

  • 義和団事件から辛亥革命前夜まで
    中国再生、清朝打倒をめざす革命家たちの物語

  • 甲午の役(日清戦争)での敗戦からの近・現代史。
    朝廷では変法を望む光緒帝(帝派)と、そうはさせじと実権をにぎる西太后(后派)が牽制しあう。
    外では康有為と孫文、それぞれのカリスマが革新に向けて奔走する。前者は上書を繰り返しあくまで上から変法を目指す保皇派、対して後者は士大夫以上の者とは繋がらず秘密結社を終結して地方を押さえながら清朝そのものを覆そうと目論む革命派で、対照的な両勢力の台頭は小説を読んでいるみたいにドラマチックである。そのあたり小説家・陳舜臣が書いているだけあって、主観が反映されている部分が気にならなければ歴史教科書としては読みやすさで最高の部類。

    義和団事件の発生は中国人のメンタリティーを思うと想像に易い。
    キリスト教の布教が許されている中で排外的な結社・義和団が過激な仇教運動を起こし、多くの人が死ぬ。もっとも信教者のなかには施しだけが望みでまともでない悪質な者も少なからずいたし、特別待遇をうける教会に対する民衆の反発は大きかった模様。西太后が義和団を支持したことで混乱は激化。集団ヒステリーが起こる。それを宣戦布告として諸外国が北京へ侵攻…という流れ。
    国が民衆を煽った結果のコントロール不能、外圧の激化。というのは今も見られる。

    西太后は世界史上最も長期間一国の頂点に君臨した女性らしい。義和団事件の危機にしても自分で蒔いた種であるが、失脚を免れる手腕と執念は異常。
    2008.12.20

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著者プロフィール

1924年-2015年。神戸市生まれ。大阪外国語大学印度語部を卒業し、終戦まで同校西南亜細亜語研究所助手を務める。61年、『枯草の根』によって江戸川乱歩賞を受賞し、作家活動に入る。その後、93年、朝日賞、95年には日本芸術院賞を受賞する。主な著書に『青玉獅子香炉』(直木賞)、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』(日本推理作家協会賞)、『実録アヘン戦争』(毎日出版文化賞)、『敦煌の旅』(大佛次郎賞)、『茶事遍路』(読売文学賞)、『諸葛孔明』(吉川英治文学賞)、『中国の歴史』(全15巻)などがある。

「2018年 『方壺園 ミステリ短篇傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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