- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062757089
作品紹介・あらすじ
愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。
感想・レビュー・書評
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かなり久々の福井晴敏!
面白かった。
VIVANTよろしく、諜報活動にかかわる短編6編。
この独特の語り口は短編でも福井晴敏さんですね。
■いまできる最善のこと
退役した男と見ず知らずの子供
山中で追い詰められていきます。
まさに、いまできる最善のことを尽くす
■畳算
愛する男を待ち続ける女の悲哀
■サクラ
19歳ながらもSOF上がりの少女との組み合わせ
任務の裏側にあったものとは..
ちょっと暖かい気持ちで終わる物語
■媽媽
次作の前編?
子供を持つ母親がAP。そういうパターンってあるの?
ターゲットが監視体制のなか戻ってきた理由..
それが故に母親のAPの気持ちが熱くなります。
■断ち切る
隠居した天才すり師との作戦
媽媽の話からの続きです。
作戦失敗と思いきやの真相
■920を待ちながら
タクシー運転手の工作員。その男と組むのが若き如月。
これは、いろんな意味で深い物語です。
6編の中で一番好き。
随分と昔の物語ですが、楽しめました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
福井晴敏の短篇集。長篇だろうが短篇だろうが福井晴敏臭がプンプン。誰が読んだってすぐ作者名を当てられるだろう。それに耐えられない人にはたまらなくクサくてやってらんないよとなるのだろうが、この世界にどっぷり肩まで浸かれる読者にはこれがたまらない魅力となる。まさに「川の深さは」のクイズの答え如何というわけだ。
まったくこれでもかというくらいに類型的な主人公たち。基本的に熱いオヤジと冷めた少年という組み合わせ。誰かが言っていたがまさに鉄板。最後のちょっと長い「920を待ちながら」がやはり秀逸だ。だまし合いというか化かし合いというか何が真相なのか読み進むにつれて二転三転する筋書きも、最後の緊張感もうまい。何より木村と名乗る若き兵士の正体が明かされたときに、おお、と感動するというおまけまでついている。サービス満点。あとは「サクラ」かな。こちらは珍しくオヤジと少女なんだけど、最後にひねりが効いていて、珍しくハッピーなエンディング。それに挟まれた「媽媽」と「断ち切る」はひとつながりの連作ものになっていて、これも女性が活躍する。最後の大仕掛けが読みどころ。という具合にどれもがまずまずおもしろく読める。浪花節といわれようが熱くなければ生きる甲斐がない、ぼくはそう思うね。 -
短編らしい
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愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。
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自衛隊諜報機関が舞台の連作小説。
アクション小説は初めて読んだので新鮮だった。
アクションだけでなく、各話の主人公が抱える、組織の歯車として働くことへの葛藤などが涙を誘う。 -
stain って「しみ」のこと。六つの短編集だが、いずれも時間を忘れるほど入り込んでしまう傑作。どういうふうに落とすんだろう? ってな興味とリアリティあふれる描写に引っ張られる。長編しか読んでいない作者だが、短編もしっかりと、むしろすっきりと書ける。驚いた。
架空の防衛庁情報局 DAIS の工作員たちが主人公。引退したおじさんの心意気が光る「いまできる最善のこと」、ばぁさんのすごさが天下一品の「畳算」、岬美由紀みたいな工作員「サクラ」、二部作の前編「媽媽」、後編「断ち切る」、亡国のイージスの如月登場!の「920を待ちながら」。どれもいい。
硬派だけれど暖かい
いい作品だ -
たとえ短編でも、女の人が主人公の小説って全く好みじゃないんだけど、これは好き。
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★2011年23冊目読了『6ステイン』福井晴敏著 評価B+
いまできる最善のこと
畳算
サクラ
妈妈
断ち切る
920を待ちながら
の短編6作品。何時もながらの緊張感とスピード感溢れるストーリーと人の熱い思いを表現する福井晴敏らしい作品。
自衛隊や警察に働く主人公の人生や家庭 国家への思いや行動が必ずキーになっていて、読む人を飽きさせません。 -
短編。登場人物が他の物語とリンク。
長編だけと思ってたらこんな短編も書いてるのか、という驚きがあった。独特の人物描写はこのくらいの方がとっつきやすいかもね。
この登場人物に関する長編を書いてほしいなあ。
という期待も抱かせてくれる一冊。
福井晴敏好きの俺にはたまらない。 -
短編集。
やっぱりおっさんたちが魅力的。
そして如月…またオマエか!と思う。(いい意味で)