チルドレン (講談社文庫)

著者 :
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本棚登録 : 25352
レビュー : 2353
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757249

感想・レビュー・書評

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  • この言葉には大変申し訳ないのですが…
    『絶対』という言葉が『陣内』に見えてしまう。

    なんと厚かましくて、インチキくさくて、高慢で
    鼻持ちならない言葉なんだろうと
    気を付けて扱わないといけないと気を引き締めても
    その裏にある思いもよらない鋭さや真っ直ぐさや広さに
    口をあけたまま引き寄せられてしまうんです。

    『絶対』も『陣内』も魅力ありすぎです。

    伊坂さんの『サブマリン』が読みたくて
    こちらの続編ということで手に取りました。

    陣内の放つひとこと。
    「世の中のことには全部興味があるからな」は
    伊坂さん自身のことではないかと思っちゃいます。
    そしてずっとずっと、そうあってほしいとも。

    続けて続編が読める私の今の状況。
    永瀬のように、私も感じます。
    すごい特別な時間なんだと!!
    この特別ができる限り長く続くことを切望します。

  • 伊坂幸太郎には珍しい短編集。
    それぞれの物語の進んでいた時は異なるが、一貫して「陣内」という男が登場する。
    その男は、絶対という言葉を使う奴は信じられないと言いながら、簡単に絶対と言い切り、即座にその言葉を撤回する。こんな自分勝手な変わった人はいないと思う。しかし、彼は彼なりの正義を貫き、他人に流されることなく、常に何かに向き合い、闘っている。その姿は、つまらないことにかっこをつけているよりも、とてもすがすがしくて、見ていて勇気をもらえる。
    目の見えない永瀬という友達に陣内が言い放った言葉が忘れられない。ふとした時に、永瀬は全盲であることから人に哀れみを受けて特別視させることがあった。そのときには、陣内は必ず、「ふざけんじゃねえ。お前だけが特別だと思うなよ!」と怒るのだ。当然周りは、一瞬当惑するが、陣内はお構いないしだ。一見、陣内の性格からすると、後先を考えず配慮に欠けた言葉を言っているようにも感じるし、否定できないだろう。しかし、この陣内の一言から、永瀬は全盲である自分を一人の人として対等に扱っていることに、他の人との違いを感じて、安堵の気持ちを覚える。
    陣内は、一般常識を身にまとわずに、自身の感性に素直に、人と向き合う。
    その姿は、どこか冷めた、都会に暮らす現代人にはない、一つの勇敢な生き方があると感じた。

  • 陣内の訳のわからない理屈を自信満々に言い切れるところは清々しく思った。私も訳のわからないことではなく、筋の通った話を自信を持って話せるようになりたいと思っているから陣内はある意味憧れる。周りの人間もおかしいやつだと思いながらも心のどこかでは認めている雰囲気、空気感を持っていて陣内は実際にいても一目おかれると思った。この作品では全盲の人物がいて、雰囲気、空気感を表す表現も多く、頭の中で考えながら読んでいくのは楽しかった。一つ一つの話においても家裁の調査官が子供と対峙する際といったやはり空気感、雰囲気、相手との感情の相互作用の表現が多かった印象だった。ミステリーといっていいのかわからないが、ところどころに小さな謎解きが織り込まれており陣内の難癖、永瀬の聡明さの表し方が個人的に良かったと思った。サブマリンも読もうと思う。

  • 続編である「サブマリン」を先に読んでしまい、面白かったのでこちらにも手を出してみた。伊坂幸太郎にしか作り出せない、そして伊坂作品にはいかにも出てきそうな陣内というキャラクターの、様々な場面を切り取った短編集。やっぱり陣内、好きだなー。
    これを読むと、サブマリンがいかに上手にキャラクターを掘り下げているかがよく分かる。

  • 2019/04/25再読
    続編のサブマリンの前に、「あの」陣内がどんな人物だったか全く思い出せず再読。
    忘れたわけじゃないのだ。伊坂さん作品は結構キャラの強い人物が多いので、どれの誰だっけという感じ。
    読み始めてすぐ、あ~!これね!と思わずほくそ笑んでしまった。荒唐無稽な愛すべきキャラ。
    友達にはしたくないけど、友達の友達にはしたい(笑)
    チルドレンⅡのライブ会場でのあの結末、好きだな。あ、もしかしてと思ったら、涙で出そうになった。歳かな。

  • 「陣内」と登場人物たちの周りで起こる「出来事」や「事件」、それらに対して陣内の起こす行動がもたらす「奇跡」を魅力あるそれぞれの登場人物たちの視点から描いた、穏やかで優しい短編集ストーリー。
    ただシンプルに面白く、胸が熱くなり、読んでいて気持ちの良い作品です。

    一編だけでは物足りない、けれどそれが五編集まり一冊の本となることで完結するこの作品は、読み終えたときにはなんとも言えない爽快感が走り、同時に温かなものがじわりと胸に広がる感覚があります。
    構成が完璧で、蛇足も付け忘れもない、文中に表れる伏線が残らず綺麗に回収されていくのがとても心地良いです。短編集としてはもちろん、ある意味では長編の一作品としても楽しめます。
    また、淡々と描かれた日常の一片の中で陣内が魅せる、真っ直ぐで熱くて情熱的なもの、そういうものに意図せずも感化されてしまう人々が無意識に顔を上げて前を向いていく場面はひたすらに圧巻でした。
    綺麗事や常識という疎ましい概念を一度捨て置いたあとで、人の心の根本をダイレクトに打つ陣内の人柄と行動、それをさらりとしたタッチで描ききる伊坂幸太郎の巧みな構成と描写が魅力な一冊です。

  • ステキな話だった

    「親がかっこよかったら子供はぐれねえんだよ」という陣内の言葉には共感した。

  • 続編を読むために読み返し。
    陣内というキャラクターをこの世に生んでくれてありがとうという気持ちになりました。
    友達になりたい。

    「『絶対』と言い切れることがひとつもないなんて、生きてる意味がないだろ?」

    生まれつき目が見えない人が少しずつ周りの状況を把握して行く過程を、映像や絵のない小説というフォーマットを通じて読者に追体験させるっていう手法があざやか。

  • 痛快な男。陣内。

  • 「サブマリン」を読み始めたものの、伊坂さんらしくリンクが登場している気がするのに、さっぱり詳細を覚えていないので、復習のために再読。陣内の破壊力は最高だね。自分の身の回りにいると困ると思うけど。構成も素晴らしくて、本当に名作だと思う。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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