チルドレン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 25356
レビュー : 2353
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757249

感想・レビュー・書評

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  • 再読です。
    サブマリンを読もうと思って、本棚登録していたら、それがいつの間にか文庫化されて、そこでチルドレンのことをほとんど覚えていないことを思い出した。
    初めてチルドレンを読んだのはいつだったか。10年以上前だ。自宅の本棚には、単行本のチルドレンが、だいぶ日焼けをして突っ込まれている。当時のわたしは家庭裁判所調査官を目指していて、結局面接で落ちてしまったのだけれど、まあ、そんなわたしの人生は置いといて。
    大好きな作家さんが、自分がやりたいと思っている職業、しかもかなりニッチな職業のことを描いているというのはとてもゾクゾクする事態で、その運命に震えが止まらなかったことを憶えている。

    と、当時はそんな感じで作品に触れていて。今回はまた違った視点で読むことができました。そしてきっと、今は、なることができなかった家庭裁判所調査官のことはもう自分の中で整理ができていて、人に関わる仕事をしながら、それなりに生きているからこそ、何の気なしに読めたんだと思います。

    驚くべきことに全く覚えてなかった。だからめちゃ楽しく読めました。

    当時は年上だった陣内と武藤も、今はわたしの方が歳を重ねていて、初見の時は、今の自分、陣内より歳を重ねた自分がこういう人生を送っていることは想像もしていなかっただろう。
    人に関わる仕事というのは、心のエネルギーを使う。何かしらの決断や判断をしなければならない時、最も負荷がかかる。人の人生の方向を決めるような、そんな瞬間だからだ。陣内は極端だけれど、彼の言う「適当でいいんだよ、適当で。人の人生にそこまで責任持てるかよ」は、実は常に持っておきたい視点、かもしれない。相手のために一生懸命考えることと、相手のために代わりに答えを出すことは全く別で、何かを決めるのはその人なわけであるから、いくら対人援助の専門家であっても、そこには踏み込んではいけないんだ。専門家は、これからもその人が生きていくために、その人が自分で決められるよう、手助けをするんだ。だからいつも、わたしは仕事で煮詰まると、こう思うようにしている。「まあいっか、人の人生だし」。これからは、陣内語録も加えていこう…

    この、陣内が中心にいながら陣内は決して主人公にならない感じは、朝井リョウを思い出させました。伊坂先生にインスパイアされたんですかね( ˙-˙ )

    • naonaonao16gさん
      mariさん
      素敵なコメントありがとうございます(^^)
      「適当」、できるようになったの、最近なんですよ~
      わたしもこのような考え方になれた...
      mariさん
      素敵なコメントありがとうございます(^^)
      「適当」、できるようになったの、最近なんですよ~
      わたしもこのような考え方になれたのは、カウンセラーさんであったり、敏感力と鈍感力を持ち合わせている人との出会いであったりしました。
      mariさんが今後、誰かに対してもご自身に対しても、選択を尊重できますように…❁⃘*.゚
      2019/05/26
  • 続編を読むために再読。

    あぁ、思い出しました。陣内のこの感じ!
    騒がしくて、ふざけたことばかり言っていて、
    からまれている少年を、いきなり殴るなんてありえないでしょ(笑)!
    前も「侏儒の言葉」と「トイレの落書き編」を読みたいと思ったんだっけ。
    今回も、支店長をハゲと言った犯人(行員?)のその後が妙に気になります。

    「かわいそうに…」と通りすがりの人にお金をもらった盲目の永瀬に、
    「俺もお金が欲しいのに、お前だけずるい」と、陣内が怒った場面と、
    永瀬に「一緒に服を選んで」と声をかける鴨居のエピソードが好きです。
    ハンデを背負った人を、かわいそうだと決めつけないこと。
    一見無神経に思えるような行動が、優しさにつながることってあるんですよね。

    そして、自分なりのルールというか、ぶれない陣内が羨ましいです。
    それに振り回される周りの人は、大変なのかもしれないけど…(笑)
    どうか陣内は陣内のままでいて下さい。

    「人間はな、縛られてたってな、飛ぶことくらいできるんだよ」
    この陣内の言葉が大好きです。
    最後、くまさんの着ぐるみ姿の陣内が走り去る姿に、
    ほっこりとして本を閉じました。

  • サブマリンを読んで

    また読みたくなった
    チルドレン

    何度も読んだ
    大好きな小説

    殺傷能力が少なく
    どちらかというとマキロンに近い
    半分以上が、優しさで、できていて
    残りはユーモアで、できている、そんな小説。

    子どもは英語でチャイルドだろ、
    でも集団になるとチルドレンだろ、
    別物なんだよ

    とか、
    どこか言葉遊びのような気がしても
    「もしかしたらこれは真実かもしれないぞ」と頷いてしまう

    しかもそれを語る人物がはちゃめちゃなんだから、笑ってしまう

    担当の少年をぶっとばしてしまったり
    熊の着ぐるみを着ておやじをぶっとばしてしまったり

    「大人がかっこよければ子供はぐれねぇんだよ」

    カッコいい大人になりたいな、と思った。

    担当の少年に振り回され、陳内に巻き込まれる武藤さんに同情

    (武藤だけに、無糖かもしれない)


    「世界は失恋した俺のために動くのをやめた」

    そうであってほしい。

    「甘いかな?」

    甘くないよ
    甘い世の中って きっと素敵だよ

    永瀬さんに言ってあげたい。

    どうかどうか
    みんなの世界が 甘く 優しくありますように

  • 伊坂幸太郎には珍しい短編集。
    それぞれの物語の進んでいた時は異なるが、一貫して「陣内」という男が登場する。
    その男は、絶対という言葉を使う奴は信じられないと言いながら、簡単に絶対と言い切り、即座にその言葉を撤回する。こんな自分勝手な変わった人はいないと思う。しかし、彼は彼なりの正義を貫き、他人に流されることなく、常に何かに向き合い、闘っている。その姿は、つまらないことにかっこをつけているよりも、とてもすがすがしくて、見ていて勇気をもらえる。
    目の見えない永瀬という友達に陣内が言い放った言葉が忘れられない。ふとした時に、永瀬は全盲であることから人に哀れみを受けて特別視させることがあった。そのときには、陣内は必ず、「ふざけんじゃねえ。お前だけが特別だと思うなよ!」と怒るのだ。当然周りは、一瞬当惑するが、陣内はお構いないしだ。一見、陣内の性格からすると、後先を考えず配慮に欠けた言葉を言っているようにも感じるし、否定できないだろう。しかし、この陣内の一言から、永瀬は全盲である自分を一人の人として対等に扱っていることに、他の人との違いを感じて、安堵の気持ちを覚える。
    陣内は、一般常識を身にまとわずに、自身の感性に素直に、人と向き合う。
    その姿は、どこか冷めた、都会に暮らす現代人にはない、一つの勇敢な生き方があると感じた。

  • 2019/04/25再読
    続編のサブマリンの前に、「あの」陣内がどんな人物だったか全く思い出せず再読。
    忘れたわけじゃないのだ。伊坂さん作品は結構キャラの強い人物が多いので、どれの誰だっけという感じ。
    読み始めてすぐ、あ~!これね!と思わずほくそ笑んでしまった。荒唐無稽な愛すべきキャラ。
    友達にはしたくないけど、友達の友達にはしたい(笑)
    チルドレンⅡのライブ会場でのあの結末、好きだな。あ、もしかしてと思ったら、涙で出そうになった。歳かな。

  • 自分なりのルールを曲げない男はかっこいい。
    けどそれって周囲の人間からすればかなり厄介な事であったりもする。

    自由すぎて周りを困らせる陣内。
    けれどその行動にはきちんと理由がある。
    誰に何と言われようと、彼は自分のルールに従って生きる。
    都合によっては時々それさえも捻じ曲げる場合があるようだけど。
    その不器用さには大いに母性本能をくすぐられる。
    でもたぶん本人はそんなこと望んでないんだろうな。

    大人がカッコよけりゃ子供はグレないんだよ。

    確かにそうです。
    身近な大人に失望した時、子供は進むべき方向を見失ってしまうんです。

    一癖も二癖もある伊坂作品の登場人物中でもかなりアクが強くてひねくれた人だと思う。
    現実ではあまりお近づきになりたくないタイプの、愛すべきキャラクター。
    決して恋愛対象ではない、かな…。

  • 伊坂作品の中では物足りないと感じる人もいるかもしれないけど
    わたしはこの作品が一番好きだ。
    正しいことを「正しい」と言わずに正しいと思わせるこの作品は
    本当にステキだ。

    盲目の永瀬が「かわいそうにねぇ」と通りすがりの婦人にお金をもらった時、
    陣内が怒り狂って「俺もお金が欲しいのにお前だけずるい」と反射的に言い切る。
    話の中では小さな扱いのエピソードだけどここが一番好きだ。

  • この本、伊坂幸太郎さん自身が「短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。」って書かれてるように、語り手が異なる5編の話しで構成されていますが、うまくつながっています。
    陣内を主役として捉えると、スゴく絶妙につながっているし、陣内の魅力(?)がこの物語の中心になるのでしょう。
    で、この本のタイトルにもあるように「チルドレン」=子ども達=少年について語られてるのだと思います。
    子ども達、少年と言っても、高校生くらいの年代ですが…。

    最近読んだ伊坂幸太郎さんの本にあわてみると、「陽気なギャング」シリーズの響野とか、「アヒルと鴨のコインロッカー」の河崎とかとキャラクターが近い陣内を中心に、「アヒルと鴨のコインロッカー」のように、複数の時間を行きつ戻りつする長編小説って感じになります。

    ほんと、上手な作家さんだと思います。

  • テンポ良く進み、読みやすい。

    短編集だが、各話の間で繋がりがある。

    個人的には陣内が非常に好きなので、続編が出てくれないかと期待している。

  • 私はこの物語、大好きです。陣内は、破天荒て言ってることも適当だけと、誰にも媚びない強さと、どんな人間でも平等で対等に向かい合える優しさを持ち合わせている。近くにいたらめんどくさいヤツかもしれないけど、信頼できる人間。こんな物語を書ける伊坂さんも、カッコいいって思う。読んだらスカッとする一冊!

著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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