チルドレン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.85
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本棚登録 : 25264
レビュー : 2345
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757249

作品紹介・あらすじ

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々-。何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 再読です。
    サブマリンを読もうと思って、本棚登録していたら、それがいつの間にか文庫化されて、そこでチルドレンのことをほとんど覚えていないことを思い出した。
    初めてチルドレンを読んだのはいつだったか。10年以上前だ。自宅の本棚には、単行本のチルドレンが、だいぶ日焼けをして突っ込まれている。当時のわたしは家庭裁判所調査官を目指していて、結局面接で落ちてしまったのだけれど、まあ、そんなわたしの人生は置いといて。
    大好きな作家さんが、自分がやりたいと思っている職業、しかもかなりニッチな職業のことを描いているというのはとてもゾクゾクする事態で、その運命に震えが止まらなかったことを憶えている。

    と、当時はそんな感じで作品に触れていて。今回はまた違った視点で読むことができました。そしてきっと、今は、なることができなかった家庭裁判所調査官のことはもう自分の中で整理ができていて、人に関わる仕事をしながら、それなりに生きているからこそ、何の気なしに読めたんだと思います。

    驚くべきことに全く覚えてなかった。だからめちゃ楽しく読めました。

    当時は年上だった陣内と武藤も、今はわたしの方が歳を重ねていて、初見の時は、今の自分、陣内より歳を重ねた自分がこういう人生を送っていることは想像もしていなかっただろう。
    人に関わる仕事というのは、心のエネルギーを使う。何かしらの決断や判断をしなければならない時、最も負荷がかかる。人の人生の方向を決めるような、そんな瞬間だからだ。陣内は極端だけれど、彼の言う「適当でいいんだよ、適当で。人の人生にそこまで責任持てるかよ」は、実は常に持っておきたい視点、かもしれない。相手のために一生懸命考えることと、相手のために代わりに答えを出すことは全く別で、何かを決めるのはその人なわけであるから、いくら対人援助の専門家であっても、そこには踏み込んではいけないんだ。専門家は、これからもその人が生きていくために、その人が自分で決められるよう、手助けをするんだ。だからいつも、わたしは仕事で煮詰まると、こう思うようにしている。「まあいっか、人の人生だし」。これからは、陣内語録も加えていこう…

    この、陣内が中心にいながら陣内は決して主人公にならない感じは、朝井リョウを思い出させました。伊坂先生にインスパイアされたんですかね( ˙-˙ )

    • naonaonao16gさん
      mariさん
      素敵なコメントありがとうございます(^^)
      「適当」、できるようになったの、最近なんですよ~
      わたしもこのような考え方になれた...
      mariさん
      素敵なコメントありがとうございます(^^)
      「適当」、できるようになったの、最近なんですよ~
      わたしもこのような考え方になれたのは、カウンセラーさんであったり、敏感力と鈍感力を持ち合わせている人との出会いであったりしました。
      mariさんが今後、誰かに対してもご自身に対しても、選択を尊重できますように…❁⃘*.゚
      2019/05/26
  • 続編を読むために再読。

    あぁ、思い出しました。陣内のこの感じ!
    騒がしくて、ふざけたことばかり言っていて、
    からまれている少年を、いきなり殴るなんてありえないでしょ(笑)!
    前も「侏儒の言葉」と「トイレの落書き編」を読みたいと思ったんだっけ。
    今回も、支店長をハゲと言った犯人(行員?)のその後が妙に気になります。

    「かわいそうに…」と通りすがりの人にお金をもらった盲目の永瀬に、
    「俺もお金が欲しいのに、お前だけずるい」と、陣内が怒った場面と、
    永瀬に「一緒に服を選んで」と声をかける鴨居のエピソードが好きです。
    ハンデを背負った人を、かわいそうだと決めつけないこと。
    一見無神経に思えるような行動が、優しさにつながることってあるんですよね。

    そして、自分なりのルールというか、ぶれない陣内が羨ましいです。
    それに振り回される周りの人は、大変なのかもしれないけど…(笑)
    どうか陣内は陣内のままでいて下さい。

    「人間はな、縛られてたってな、飛ぶことくらいできるんだよ」
    この陣内の言葉が大好きです。
    最後、くまさんの着ぐるみ姿の陣内が走り去る姿に、
    ほっこりとして本を閉じました。

  • 短編集のふりをした長編小説。
    時代が前後し、語り手も変わるのだけれど、物語はちゃんと繋がっていて、最後には気持ち良いほどスカッと結ばれる。
    清々しい程の疾走感に、読み終わったあとはしばらく放心状態。心が火照ったまま。
    陣内のぶれない態度とうざったいほどの自信に満ち溢れた言動は、ちょっと一歩引いたところから眺めていたいだけの(実はあんまり関わり合いたくない‥‥笑)周囲の友だちや、私をも無理矢理巻き込んでいく。
    ちょちょっと待って!と声をあげても後の祭り。
    でも、なぜか、私たちはいつのまにか、めちゃくちゃにも思える陣内の魅力にはまり惹かれていた。

    そう。こういう男がきっと奇跡を起こすのだ。

  • 再読です。

    日常系のミステリー。登場人物がみんな魅力的です。

    陣内の根拠のあるようなないようなわからない自信がおもしろいようなかっこいいような…(笑)
    盲目の永瀬が通りすがりのおばさんにお金をもらった時に、ずるいと激怒し、お前はラッキーだなと本気で羨ましがっている姿が清々しくてよかった。

    家裁の調査官の仕事は奇跡を起こすこと、大人がかっこよければ子どもはグレない…など、シンプルだけど妙に言い得ている台詞にはっとさせられます。

    最後の「イン」の陣内の行動ですべてのお話が繋がり、からっとした笑い声をあげたくなります。永瀬の独白、日向ぼっこをしているようなあたたかい気持ちで読み終えました。

  • 陣内、可笑しい。
    電車の中で何度も吹き出してしまった。

    語り部がさまざまな代わる連作短編集(のふりをした長編小説)。スタイルも時系列もバラバラなので、さすがに長編小説として読むことはできなかったけど(笑)

    「バンク」の銀行強盗を除いて、大きな事件が起きるわけではないから、肩の力を抜いて読める本。

    「歴史に残るような特別さはまるでなかったけれど、僕にはこれが、特別な時間なのだ、と分かった。」
    最後の段落の一文。とても素敵な文章だと思った。
    伊坂さんの小説を読むとき、僕がよく感じるのはこんな気持ちです。

  • 伊坂幸太郎 著
    以前から 読みたかった「チルドレン」沢山の方々に愛読されて…遅まきながら やっと読んだ!
    やっぱり 伊坂幸太郎さんの作品は 本当に好きだなぁ
    自分の気持ちに必ずと言っていいほど ヒットする。
    自分的には長篇小説が好きだが、この短編集は短編に見せかけて長篇小説に作り上げられていた。
    流石と言わざる得ないほど 巧くて スラスラ読める 小説の中の現場に足を踏み込んだような気持ちで読めました。
    登場人物が いつも面白い!癖のある 陣内さん とても良かった…自己中心的かと思えば、猪突猛進というか 不思議な自分の思想と呼ぶべきか?自分の考えに断定的、まわりがちょっと引いてしまうところもあるくらいの根拠なき自信家…しかし 頭が切れて 話す内容にあまりに説得力があり過ぎて ついつい 疎ましく感じるより尊敬さえ覚えてしまう。
    陣内さんのような人がいるから 人生楽しめてしまえるのではないか?鴨居 といい武藤や永瀬 優子 まわりの優しい真面目で控えめな人達が集まって 結局 陣内を支えて そして支えられてる感じが とても心地良かった。
    面白かったから もう少し 読みたいなぁって思うところで
    あっさり(特に事件性なく)終わってしまったが…
    ラストに永瀬が フッと思った 台詞が印象的

    「歴史に残るような特別さはまるでなかったけれど、僕にはこれが、特別な時間なのだ、と分かった。 この特別ができるだけ長く続けばいいな、と思う。甘いかな。」

    何故か 今の自分の気持ちに ズンってきて 涙が溢れた。

    人には自分の事は分からない(心の中だって分からない )
    自分自身でも分からない事がある 潜んでいて忘れているのかもしれないような…でも ある言葉によって 自分自身の中だけで感じるような 何気ない言葉に胸を打つ
    伊坂幸太郎さんは そういう世界を描ける作家さんだと思う

  • なんとなく買った本

    短編集と見せかけてすべての話が繋がりがある話だった。

    なにか衝撃的事件を起こすとか、ビックリする様な事件を解決するとかいろいろ期待してたが、そうゆう話でなくほのぼのとした内容だった。

    続きの本もあるようなのでそちらも読んでみたい。

    短編集はあまり好きではないが、こうゆう繋がりのある話の短編集はよんでて楽しいと感じた小説でした。

  • サブマリンを読んで

    また読みたくなった
    チルドレン

    何度も読んだ
    大好きな小説

    殺傷能力が少なく
    どちらかというとマキロンに近い
    半分以上が、優しさで、できていて
    残りはユーモアで、できている、そんな小説。

    子どもは英語でチャイルドだろ、
    でも集団になるとチルドレンだろ、
    別物なんだよ

    とか、
    どこか言葉遊びのような気がしても
    「もしかしたらこれは真実かもしれないぞ」と頷いてしまう

    しかもそれを語る人物がはちゃめちゃなんだから、笑ってしまう

    担当の少年をぶっとばしてしまったり
    熊の着ぐるみを着ておやじをぶっとばしてしまったり

    「大人がかっこよければ子供はぐれねぇんだよ」

    カッコいい大人になりたいな、と思った。

    担当の少年に振り回され、陳内に巻き込まれる武藤さんに同情

    (武藤だけに、無糖かもしれない)


    「世界は失恋した俺のために動くのをやめた」

    そうであってほしい。

    「甘いかな?」

    甘くないよ
    甘い世の中って きっと素敵だよ

    永瀬さんに言ってあげたい。

    どうかどうか
    みんなの世界が 甘く 優しくありますように

  • 登場人物一人ひとりが生き生きと描かれていてストーリーのテンポもよくて、あっという間に読了です。
    なんといっても陣内が圧倒的に格好いい。ありえないようなことを本当にしてみせるなんて、実際に隣でされたら確かに迷惑だろうけど、遠くで見てる限りは爽快で、よくやってくれたという感じ。尊敬するに値するひとって、人格が完璧に整ってるとかではなくて、どんなに歪んでいてもなにかキラリと光ってる部分があるひとのことなんだろうなと思う。その光る部分はその人の中から沸き起こるものであり主張の強さであり揺らがない芯であり。自分の芯に従って生きてるひとってやっぱり、主張が理にかなってるかどうかを別として、人の心を動かすことができるんだと思う。
    永瀬の彼女が永瀬に白という色について、悩みがどうってことないとわかって晴れやかな気持ちになったときの白、というように説明をしてた。陣内は色でいうと白だと思う。爽快で明るくてすぐにいろんな色に染まる白。

  • 伊坂さんの本は、やっぱり伏線が楽しい。
    『侏儒の言葉』を読んでみたくなったので、早速買ったけど、陣内版の方も面白そう。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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