ST警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757331

作品紹介・あらすじ

携帯のワンクリック詐欺に遭った役者志望の男が、チャイニーズマフィアの名を騙り、悪徳業者に逆襲を謀る。そのマフィアのボスは、歌舞伎町の覇権を巡り別組織と暗闘を繰り広げていた。そして歌舞伎町での連続放火事件に出動したST-絡まる謎に"沈黙の男"黒崎が動く!「色シリーズ」、堂々のラスト。

感想・レビュー・書評

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  • 役者志望の男がワンクリック詐欺に遭うところから始まった。今でこそ、スマホで怪しいサイトでポチッと押す人は殆どいないだろうし、たとえ間違ってポチッてもお金を振り込む事はないだろう。でもワンクリック詐欺が始まった頃は、情報もなく、慌ててしまう人は多々いたのだろう。今は別のカタチで詐欺が横行している。マニラの監獄から詐欺をはたらいているニュースを聞くと、COVID19とワクチンとのイタチごっこのように思えてしまう。

    今回は黒崎の出番だが、舞台は歌舞伎町、相手はチャイニーズマフィア、いずれもシリーズの中で既出だ。寡黙な黒崎の活躍が中心であるが、やはりゴレンジャー全員の力が後押しするのは、単純な構成だが、スルメイカのような味を感じてきた。

    詐欺が発端となり、放火事件、そして放火殺人と繋がっていく。動機は想像通り、チャンスと方法はアンダーソン曲在によるらしい。翠の説明を聞いても、ちんぷんかんぷんだったが、なんとなくわかった。犯人が想像通りだと面白くないなぁと思いつつ、読み終わった。いつも以上に無口な黒崎の行動は最後まで読んでも理解不能であった。

  • ST色シリーズでは「赤の調査ファイル」に次ぎ出来栄えだと思います。黒崎を中心に据えた作品としては「黒いモスクワ」につづく2作目ということになりますね。

    STが追う謎の失火事件と並行して、茂太や一平たちが振り込め詐欺師に一泡吹かせようとする企みが進行しますが、なにせ彼らが素人だけに「ほんとうにうまく行くのだろうか、殺されたりしないだろうか」と、読んでるほうがハラハラドキドキさせられます。また彼らの素人っぷりが物語にある種のコミカルさをもたらしており、読みやすさに一役買っていると思います。

    失火事件のほうはといえば、極めてST向きの事案であり、希少な科学的事象によるものであることが判明します。タネ明かしの中心は翠でしたが、失火の原因を探るにあたり黒崎の嗅覚によって、考えうる原因のいくつかを除外することができたという点では、STのチームプレイということができるでしょう。このあたりのノリは色シリーズにおけるお約束ですね、必ずしも”主役”の人物だけが謎を解明するわけではないという、いわば「5人揃ってST」を体現しているともいえます。

    そして茂太や一平たちの企てと失火事件のつながりは思いもよらないかたちで訪れ、そこには何もかもを見通していた黒崎も絡んでいてという展開で、その慧眼には恐れ入りました。寡黙だけど先を見通す力を兼ね疎なているって、なんだか素敵です。失火事件の黒幕の用心棒と黒崎の対峙も見ものでしたね。黒崎のスゴさを目の当たりにする決着のつき方で、改めて黒崎の武闘家としての実力が際立つ一冊だったと思います。

  • メンバーのチームワークもよかった

  • シリーズ第八作。色シリーズのラスト第五弾。主人公は黒崎勇治。潜入捜査みたいだけど、そもそも黒崎は警察官じゃないから、いいのか。しかし、こんなに無口で大丈夫なんだろうか?

  • 茂太と詐欺グループとの話と、中国マフィアの話…最後にピタッと重なって事件解決!犯人もちゃんと逮捕出来たし。すーっとした終わりだった。

  • 2015/5/17
    安定の。
    小説内でもパソコンとか一般的になってまいりました。
    ドラマの黒崎友情物語みたいな部分がドラマオリジナルでやはりなって感じです。
    でも黒崎は影の努力家ってとことか素敵。

  • STシリーズ、黒崎編。

    色シリーズもこれで最後。頑なに無口な黒崎さん。武道も極めてるし、確かに潜入捜査にはうってつけなのかもしれない。最後の赤城さんが話した黒崎さんに対する人物評が良かった。無口だけに他人をよく見ていて、事前調査も怠らず、綿密な戦略を立てる。武道の達人は、戦略家でもあるわけですね、さすが空手道を極めてらっしゃる著者さんならではの言葉です。
    警察側の人間以外のキャラが総じてしょぼい感じを受けたのは残念なところだけど、STの特性を生かしたトリックの看破、プロファイリングはさすが。黒崎さんの潜入捜査がどう事件と絡んでくるのかしらと思っていたが、なるほど別件逮捕に使われたのか。組対との確執も絡み、刑事課とSTのチームワークの良さがよく出ていた捜査だったと思う。面白かった。

  • ST色シリーズの最終刊。
    このシリーズは、赤城のファンが多いんだけど、やっぱり黒崎は渋くて、素敵♪

  • ST色シリーズ最終巻、黒崎がメイン。歌舞伎町の連続不審火に中国マフィア、ワンクリック詐欺がどう絡むのかと思ったらしくお見事な帰結。黒崎さんにまんまと利用されて誘き出された中国マフィア、頭良すぎて油断した?

  • 日本で暗躍する中国マフィアの抗争の話。
    火事が頻発するがいずれも無人の部屋で起こる。
    その原因究明にSTが乗り出す。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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