腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2392
レビュー : 370
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757416

作品紹介・あらすじ

「あたしは絶対、人とは違う。特別な人間なのだ」-。女優になるために上京していた姉・澄伽が、両親の訃報を受けて故郷に戻ってきた。その日から澄伽による、妹・清深への復讐が始まる。高校時代、妹から受けた屈辱を晴らすために…。小説と演劇、二つの世界で活躍する著者が放つ、魂を震わす物語。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生の頃に読んだ本。劇作家・本谷有希子さんの作品がおもしろい!と友人から聞いて読んだけれど、あまり響かなかった。いま読んだら違うのだろうか。舞台が大好きなので舞台で観たかった。

  • つまらなくてくどいシナリオを読まされている感じで、うんざりだった。
    過激ぶってるけれど、お姉ちゃんがちょっとイカれてて、自分を特殊な人間だと思ってて、エトセトラ的な何かも、悪いけれどそんな奇抜な設定と思えない。
    そのお姉ちゃんのことを漫画に書いたっていうのも、それを書くに至る妹の自己分析的心理描写も浅薄な道徳観を持ち出したりしていて、それが地の文っぽいので作者が浅いと感じられる。
    そして文庫にまでなっているのに明らかに推敲段階の見落としと思われる主語の重複、「超自我」の誤った使用、田舎の中学生だか高校生が、「ブードゥー教」に対するつっこみを入れられるという不自然さ。

    さらに表現の方で違和感を覚えたところを上げるならば、「水滴が天から頬に降り注いだ。一滴だったそれはすぐに数えきれぬほどの雨粒になり…」というところも、「水滴が…降り注ぐ」という表現方法も個人的には違和感を感じる、そして駄目押し的に「一滴だったそれは…」と続くので、「注ぐ」っておかしくないか?と違和感でモヤモヤ。もし仮に「水滴が天から頬に降り注いだ」の時制を「数えきれぬ雨粒の」の後であると仮定したとしても、そんなにすっきりしないし。単に力不足って感じ、というか文章に誠実でない。
    シナリオ的に頭の中にあるイメージをくどく文章で起こしただけっていうか。映画だったら面白いのか?いや…確かに小説よりはマシだと思うけれど通して読んでみて、私には何も響かなかったので、タイトルばかり大げさ、としか思えない。『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』、こんなつまらん心理小説ぶったものが三島賞候補になるなんて。
    田舎の家族間の泥沼だったらミステリーとかのがむしろ巧みに描いてるのではないかと想像。

  • 本谷さんに出会った最初の作品。
    狂気じみた女達が気持ち悪さも感じさせながら、ポップ&リズミカルに描かれていて非常に面白かったです。
    狂気の中に漂う哀愁、みたいなものを感じるのだけれど、そういう尖りきって、周囲を寄せ付けないように見せている女性というのは結局、自分の中に内包されている弱さみたいなモノを包み隠すために狂気というベールを纏っているだけなのかも、そう感じさせてくれる小説。

  • 腑抜けども、悲しみの愛を見せろって、誰の台詞だったんだろう。
    それが分かったら、もっとこの作品を理解できるような気がするのに。

  • なんというか独特で、肌なじみの悪い小説だった。俯瞰するような視点でしか読めなかった。あとに何も残らない。あくまでも、私にとっては。

  • 狂っているというよりも壊れている登場人物たち。
    田舎の閉鎖的な雰囲気や真夏のむわっとした空気を
    浮かび上がらせる執拗なまでの情景描写。
    鬱な要素が盛りだくさんなのに読み終わった後に
    不快な気持ちが残らないのがすごい。

    「終わる。」の文字でびっちり埋め尽くされたページと
    「お姉ちゃん、最高におもしろいよ」というセリフのインパクト。
    タイトルも秀逸。

    いくつか読んだ本谷有希子の本の中で1番面白いと思った。
    映画も観てみたい。

  • 三島賞候補となった本谷有希子の原点とも言える作品。
    相変わらず自意識過剰なメンヘラ女子を中心に据えて、これまたキャラ立ちした周囲が、どんどん巻き込まれていく。まず舞台ありきなので、これも章ごとに主人公が変化しつつ、多面的に物語を紡いでいくが、中心にいる姉の在り方は終始変わらない。この極端な自信過剰と自己を客観視できない哀れさは、過剰にデフォルメされているのだが、自分もこうした人とは、一定数出会っているし、こういう人とは本当に話が通じなくて困るんだよなあ、とあるある。しかし、女優やアイドル目指す人なら、ある時期このぐらいのメンタリティーが必要なんだろうし、どこからそのパワーを作り出すのか、などと思いを巡らせる。

    今の時代なら、蹴落とすのではなく共存していく、が健康的な目標の立て方のような気も。。

  • 初めて本谷有希子作品を読んだが、中毒になりそうだ。これはホラーかコミックか。随所に散りばめられた、あるある的な毒とグロいほどの細かい描写。今度、舞台に行こう。

  • 2008年05月09日 01:21

    「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」

    劇作家の書き方だなぁとは思うけど不快ではないし、むしろそこまで見るのか、とびっくりした。ゴミ箱の内容量とか、うずくまり方の描写ひとつとっても。

    スミカみたいな人はいる。確実にいる。扱いずらく怖い。
    だけど私が作中で一番怖いと思ったのは、待子。ある種の、というべきか、あるラインを越えた愚鈍さはすごく怖い。

    なんか疲れてて、読みやすい本をと思って買ったのに、予想外に疲れました。でも面白かったけどね。

  • 元旦からこの本読んだばかりに個人的にはかなり衝撃的な2012年の幕開けでした。イイコトアルカナー

    本谷さんは舞台の台本を書いているだけあって、細かな描写力が凄く、力強い。
    初めは細かい描写に気をとられてストーリーがあまり入ってこなかった。
    しだいに各人物の過去が分かり、
    描写とストーリーの両者が良い味を出していると思う。

    性格の悪い人間の極み、
    かなり変わった性格の人間の極み、
    暴力的な男の極み、
    弱い人間の極み…

    それらが集合し、それぞれの化学反応がどうなるのか、かなり実験的な小説だと思う。
    だと思いきや…!
    人物の関係に下剋上がついには起き、悲劇的な終止符をうつ。
    けっこう予想外でした。

    そこからは「絶望」。
    そしてP202がかなりおぞましい。身の毛がよだつ~

    絶望のふちにたたされた人間はこの本がかなり救いの手になるでしょう。
    自分の信じている道が叶わなかったとき、自信を踏みつけられ奪われたとき…
    (私は本書を読んだ現在、別に絶望を感じてもなんでもなかった)

    というか、澄加が全ては狂っているんだな。
    ずっと読んでいて最後どういう展開が待っているんだろうか…と先が読めなかった。

    本谷さんの本はインパクトのある一言、メッセージを一つ残すから、またそれが響くからいいんです。
    「一からの出発」というのが本書のメッセージ。
    ただし毎回のことながら登場人物は過激すぎるがな。

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著者プロフィール

1979年石川県生まれ。戯曲「遭難、」で鶴屋南北戯曲賞、戯曲「幸せ最高ありがとうマジで!」で岸田國士戯曲賞を受賞。「ぬるい毒」で野間文芸新人賞、「嵐のピクニック」で大江健三郎賞、「自分を好きになる方法」で三島由紀夫賞、「異類婚姻譚」で芥川賞を受賞。

「2019年 『文学2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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