源氏物語 巻六 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 211
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757614

作品紹介・あらすじ

四十の賀を盛大に祝った源氏に兄である朱雀院の愛娘・女三の宮が降嫁し、絢爛を誇った六条の院に思わぬ波乱が生じはじめる。愛情の揺らぎを感じた紫の上は苦悩の末に倒れ、柏木は垣間見た女三の宮に恋慕を募らせるがその密通は源氏の知るところとなり…。

感想・レビュー・書評

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  • 厄年の過ごし方が読むきっかけ。
    若菜、娘が片付かないんです。親亡きあとを心配する老親の心の闇からスタート。

    子沢山で娘が多いのも娘の身の振り方に苦労する。
    「女子を生ほしたてむことよ、いと難かるべきわざなりけり」女の子を育てるのは大変だ。
    琴を教えるにも暇ありがたき時期もある。

    老いて思慮深くあることは優れていて、どちらかというと若さゆえの過ち、ひたむきなエネルギー、まっすぐな純情、幼稚さといったものは心劣りして下に見られている。
    二心を器用に使い分け、人の深き用意をするといった、年の功のわざはポジティブに見ている。

    世のひがものでものの違い目があって処世術はいまいちだったが修行を積んだ明石の入道の梵字。

    若菜下は、「冬の夜の月は人に違いてめでたまふ」でイメージされる、冴え冴えとした月の光、ぼんわり浮かぶ雪の白。

    春のぼんやりとした夕暮れに雅楽を合わせつつ音楽の才能を読むもよいだろうなと雛祭り。

    「まことの心ばせおいらかに落ちゐたる」は大変難しい。
    御家風、習慣が育ち、心馳せにも影響する。気立て・心ばせ次第でのどかに平穏無事に暮らせるかどうかもかかわってくる。「うしろめたかるまじき心ばせ」というおなごの教養・嗜みにうんうん、と。

  • ここで源氏はいたいめにあう。最初あまり乗り気でなかった女三の宮との結婚を受け入れる。何人目の妻であろうか。しかし、病に伏せる紫の上のそばにいる間に、柏木に女三の宮をめとられてしまう。しかも、子どもまでできてしまう。そのことを、不用意にしまい忘れられた柏木からの手紙で知らされる。ここで、自分が藤壺に対してしたことを思い出す。桐壺院は知っていて知らぬふりをしていたのだろうか。源氏は柏木に対して「いけず」をする。しかしまあここでは女三の宮につく小侍従がこにくたらしい。ひょっとすると、こうした問題が起こることを見て楽しんでいたのかもしれない。いつの世にもそういう人はいる。柏木も柏木で、あれだけ嫌がられているのに、自分の思いだけでつきまとい、あげくのはてに源氏にばれたことを気に病んで死んでしまう。何とも情けない男だ。この巻で、いったいだれに感情移入ができようか。

  • 2007/08

  • この帖を読まずして『源氏物語』は語れないんだそうな。六条の院という桃源郷を築き、40歳を迎える源氏は、いくら好色多情ったってもう新規開拓はなかろうと思いきや、とんでもない。

  • 読み進めるのに、ただで苦労するシリーズなのに長編。
    全体的に暗いお話でした。

  • 若菜上・下巻のみで1冊という大変な長編。大河の趣は一気に悲劇へと進んでいきます。朱雀帝が愛娘・女三の宮の輿入れ相手を光源氏の君と決め、まだあどけない少女が源氏の君の第2の妻になるにあたっての紫の上の複雑な想い、そして源氏の息子・夕霧の大将、そして柏木の衛門督などがそれぞれに女三の宮への思いを秘めて、小説は緊張感を高めてくれます。源氏が催す音楽の夕べの音と光の描写の素晴らしさ、猫が逃げ出したことから女三の宮の姿が、男性たちに見られる場面、そして柏木が女三の宮への恋情から手紙を書き、源氏の君に見つかってしまう手に汗を握る臨場感・・・。その後の、源氏の君、柏木、女三の宮、そして紫の上のそれぞれの苦悩と柏木の死。柏木と夕霧の友情。ドラマティックで源氏物語の中でも最高の巻と言われる所以が納得できます。

  • 巻五を読み終えてから約1年半、ふたたび読み始めることにした。
    巻六には、大長編の「若菜」上、下が収められている。

    源氏は朱雀院の愛娘である女三の宮と結婚するが、まだ13、14歳の女三の宮の幼稚さに失望し、改めて紫の上のすばらしさを思い知る。

    六条の院で蹴鞠の会があった日、夕霧の大将と柏木の衛門の督が休んでいたときに、女三の宮の飼っていた猫が綱を御簾にひっかけてしまい、御簾がめくれ上がって、奥に立っていた女三の宮の姿を2人が垣間見る場面がある。
    これがきっかけで柏木は女三の宮への恋心を抑えきれなくなり、そのときに見た猫を手に入れて抱いて寝るようになる。
    ちょっと変人やけど、可愛らしい人やなと思った。

    「しかし『源氏物語』も中盤になってきて正直退屈やなあ」と思い始めていたが、「若菜(下)」にはめくるめくドラマと怒濤の展開が用意されていた―

    出家を望む紫の上を押しとどめるため、源氏が過去の女たちの性質や魅力、欠点をこまごまと話し、やはり紫の上は最も理想の女性だと称えたその夜に、彼女は病気になってしまう。
    そして、「紫の上の息が絶えてしまった」という知らせが突然にもたらされる。
    かわいそうな紫の上、まさに〈憂き世に何か久しかるべき〉。
    ところが、それは物の怪のせいだったらしく、彼女は息を吹き返す。
    そんなことがあるのか!?って感じだが、このあたりの平安人の感覚がなかなかおもしろいなと思った。
    一方、源氏が二条で紫の上の看病をし、六条の院が手薄になっているのをいいことに、柏木は女三の宮のところへ押しかけて過ちを犯してしまう。

    この一連の流れがすごすぎ!
    紫式部って天才じゃないか?
    偉い人が言っているからではなく、僕の実感として日本の歴史上最高の小説の1つだと思う。

  • 巻一に記載

  • 波乱の帖。

    源氏の兄の朱雀院の娘である女三宮が、源氏の元に嫁いできた(こんなプレイボーイの弟に愛娘を託すなんて…)。晩年になって夫が新しい妻を迎えたことに紫の上は動転し(そりゃそうよね)、どんどん身体を壊していく。源氏は幼妻である女三宮に満足できずにいる(周囲の人はだいたいそうなると思ってたと思うよ)。

    一方、かねてから女三宮に好意を寄せていた柏木は、仕方なく彼女の姉の女二宮と結婚している(かわいそうな姉…)。でも、ついに恋心を抑えきれなくなってストーカー行為の末、女三宮に子どもを宿してしまう(犯罪者!!!)。

    もちろん子どもは源氏との子、ということになっているのだが、源氏も薄々事実に気づく(っていうか、昔同じようなこと、あなたもしたでしょ?)。柏木はなんてバカなことをしたのだろうと後悔し、こちらも身体を壊していく(本当にバカな男!!)。

    と、突っ込みどころ満載のエキサイティングな一冊に仕上がっている。

    源氏物語はこんなに長いのに、きちんと伏線が張られており、そこが物語に重厚感を出している。また、紫の上の感情の起伏の様子は現代の女性にも通じるところがあると思った。

  • 2007年6月18日購入。
    2010年7月28日読了。

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。60年『田村俊子』で、田村俊子賞受賞、63年『夏の終り』で女流文学賞受賞。73年、中尊寺にて得度。92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、95年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、2011年『風景』で泉鏡花文学賞を受賞。2006年に文化勲章受章。『現代語訳源氏物語』『奇縁まんだら』など著書多数。徳島県立文学書道館館長、宇治市源氏物語ミュージアム名誉館長。

「2020年 『ひとりでも生きられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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