グランド・フィナーレ (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 693
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757751

感想・レビュー・書評

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  • 初阿部。主人公・沢見からある友人に語られる沙央里との離婚した経緯は現代でもありがちだなと思った。またイニシャルで表記されている人物とそうでない人物がいるが、これは何を示しているのだろうか...?純文学は読みにくいイメージがあるが、割と読みやすい文体でした!機会があれば他作品も読んでみたい。それにしても感想を述べるのは難しい・・(><;;

  • 短編集。表題作は、ロリコンがバレて離婚させられた男が会えなくなった娘に未練を残しつつ田舎に戻ったら、ある経緯から二人の少女の演劇指導をすることになった話。演劇指導を依頼されるまで随分と退屈だったけれど、救いようのない結末でなくてホッとした。仮構に人物を当てはめてコミュニケートした気になってる、は、改めてそうだと思った。他の短編では、ホームビデオは画面の映像と記憶の映像の2つを観ている、との記述が面白く思った。

  • 何だか文というか漢字が難しかったです。
    芥川賞だから難しいのか、難しいから芥川賞なのか。

    文の雰囲気としては、コメディ要素を抜いた森見登美彦さんって感じでした。

    内容はどうなんでしょうね。
    何だか盛り上がりそうだぞ、って思って読んでたら、やっぱそんなに盛り上がらなかったかって場面が何度かあったような。

  • 『シンセミア』を読んだ勢いで阿部和重の芥川賞受賞作を。順番としてはシンセミアの2年後くらいで例の事件にも少し触れられているけれどストーリー的には無関係。読む順番としては間にニッポニアニッポンが挟まってたのかな。

    読み始め、正直な第一印象は「またロリコンか!」でした(苦笑)しかも自分の娘に???娘として可愛いだけじゃなくて性的興味を???意味わからない気持ち悪い。主人公はもともとロリコン、しかしなぜかちゃんと大人の女性と結婚して娘をもうけている(このへんの経緯謎)。その幼い娘のヌード写真を撮っていたことが妻にばれて喧嘩、うっかり妻に怪我をさせてしまったことで妻側はこれ幸いとDV被害を訴え離婚、娘とも会わせてもらえなくなる。傷心で故郷の神町へ帰郷した主人公は何の因果か小学校教師の旧友に二人の少女の演劇舞台の監督を頼まれてしまい・・・。

    一応表面的には、多少なりとも自分の所業を悔いた主人公が贖罪意識を以て二人の少女を自殺から救おうとする話・・・と解釈したんですが合ってるのかな。高橋源一郎の解説は良かったです。他に短編が3つありましたが、「馬小屋の乙女」はそこそこ面白かった。

    ※収録作品
    「グランド・フィナーレ」「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」

  • ヨドバシカメラの話にセンスを感じる。

  • ロリコン趣味が露見して、妻と娘に見捨てられ
    友人関係にも暴露されたことで軽蔑を受けるおっさん
    それも仕方の無いことだ
    幼少期に受けた性的虐待の、心の傷というものは
    悪くすると自らの命を絶ってしまう原因にもなりかねないのだから
    ただ、ここでおっさんがその気になりさえすれば
    反論することは可能である
    というのも、心に傷を負わない人間などいない
    おっさんがロリコン趣味を持ったことは
    これもやはりおそらくは、幼少期に受けた心の傷が原因であって
    そこに不可抗力は、認められるべきだと
    だけどもちろん、おっさんはそのようなことを言わぬ
    なぜなら現代社会において
    そのような憎しみの連鎖を断ち切ることは、大人たちの責務だからだ
    その矜持だけでも守りとおしたおっさんはえらい
    いやえらくない
    まあそんな感じで郷里へとひきこもったおっさんは
    なにも知らない昔の友人から、児童演劇の指導役を頼まれたりして
    人間的な再生をはかっていくわけだ
    本来なら小学生女児の前になど顔を出せないおっさんだが
    子供たちの真剣さにほだされて、なんとか「大人」を演じようとする
    …劇作家で演出家の故・つかこうへい氏は、演技指導の際
    役者を徹底的に批判することで
    無駄な自意識をはぎとり、役柄に集中させたのだと聞く
    おっさんが、ロリコンとしてその人格を全否定されたことは
    結果的にプラスに働いたと言えるだろう
    しかし彼の演じる芝居には、脚本がないのだった
    ロリコンは「大人」というものについて知っているのか?
    ラスト、おっさんは女児たちに
    セキセイインコをプレゼントしようと考えるのだが
    僕にはそれが村上春樹の短編「蛍」に重なって見えたりもした

  • もうあんまし覚えていませんけれども、ロリコン男の話だったかと思います! この題材で芥川賞を受賞できるだなんて…さすが阿部先生ですね! ←え?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、取り立てて感想めいた感想はないんですけれども、解説にもあった通り、現実味・人間味に欠けるかのような描写の主人公ではありますけれども、実際にはこういった、特に電脳化著しい現代においてはこのような男が幾多も存在するんじゃないでしょうかねぇ…みたいなことを思ったのでした。僕も実際、人間としての大事な何か、つまりは感情・情緒といった面が欠けているのかと思いますし… ←え??

    といった感じで世間的な評価はあまりよろしくない芥川賞受賞作ではありますけれども、個人的にはそこまで酷い作品だと思いませんでした…おしまい。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 2013年11月21日読了。2004年の芥川賞受賞作。妻と娘に絶縁された男の彷徨と再生(?)を描く表題作他、架空の街「神町」をめぐる短編を収録。正直、非常に個性的な小説であり、巻末の高橋源一郎による解説を読まなければ何をどう解釈していいのか迷うところだった・・・。小説の主人公は通常作者自身が投影されていたり正義漢だったり弱者だったりと読者の共感を誘うように性格設定・描写がされるものだと思うが、表題作の主人公は客観的に言って「どうしようもないクズ」であり、またその心理が空虚すぎてどうにも感情移入できない・・・そこが狙いなのだろうが。「共感とか感情移入とか、誰かの体験・感情というものはそう簡単に他者に理解できるものじゃないよ」という作者のメッセージだろうか?表題作以外の、よく分からないままよく分からないところに連れて行かれてしまう感覚も、不思議。

  • ☆☆☆★

  • 「グランド・フィナーレ」「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」の4本からなる短編集。
    この本を読んで最も印象に残ったのは阿部和重の「時間」というものに対する感覚。ロリコン犯罪者の、子供にとっての「時間」と大人にとっての「時間」はまるで別のものだという認識。ある年齢まで、ビデオカメラによって生活を詳細に記憶された女性の「時間」に対する感覚の歪み、すごく面白かった。思えばわたしは時間の経過による思い出の美化、風化といった、「時の欺瞞」とも呼べる何かに対して、ずっと疑問を抱いて来た。こういった時間に対する感性に出会えてとても興味深かったです。

著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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