グランド・フィナーレ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 698
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757751

作品紹介・あらすじ

「二〇〇一年のクリスマスを境に、我が家の紐帯は解れ」すべてを失った"わたし"は故郷に還る。そして「バスの走行音がジングルベルみたいに聞こえだした日曜日の夕方」二人の女児と出会った。神町-土地の因縁が紡ぐ物語。ここで何が終わり、はじまったのか。第132回芥川賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 初阿部。主人公・沢見からある友人に語られる沙央里との離婚した経緯は現代でもありがちだなと思った。またイニシャルで表記されている人物とそうでない人物がいるが、これは何を示しているのだろうか...?純文学は読みにくいイメージがあるが、割と読みやすい文体でした!機会があれば他作品も読んでみたい。それにしても感想を述べるのは難しい・・(><;;

  • とても重いテーマだった。

    児童性愛者の主人公。
    なんだかこう、はじめてこういう人の主観にたってみて、きっと子どもに対するときめきみたいなものは抑えられないんだろうと思い、なんと少し同情の気持ちが湧いてしまった。
    子どものことはみんな、好きでしょう?それを、性的に好きになるかどうかって、意外と紙一重だったりしないのかな………
    主人公の異常性が露骨にえがかれていなかったからか、彼の子どもへの愛情が強いからか、2人の女の子が非常に愛らしくえがかれていたからか、案外ぽろっとハマってしまうものなのかもしれないと感じた。
    主人公の男性的な事実のみの思考、離婚やドラッグや法に触れる仕事といったハードな現実。これに対応するのが、子ども達の純粋無垢な姿なのかな。これだけキツイ汚い世界に生きていると、より子どもというものが輝かしい存在に思えてくる。


    そして自殺、という行動について。
    「愛する人に自殺してほしくない」
    という気持ち。
    主人公はIからこれを突きつけられ、終盤では自分がこの気持ちに駆られて動く。
    なんとも……
    子どもを愛することをやめられないから避けようとしていた主人公にとっては、子どもを自分の欲望によって傷つけることなく、幸せに、生きていってほしいと思う行動、そんな自分との折り合いの付け方はハッピーエンドじゃないだろうか。
    終始主人公は愛情深く、意外と、憎めなかったんだよな。

    あまり評判よくなさそうだけど、終わり方含めてあたしは含みのある現代小説でよかったなぁと思いました。キモイ暗いテーマだけど、主人公が無機質なので割と軽くなってる印象。
    阿部和重の主人公の執着思考は何だか読んでて臨場感がある。あと漢検の勉強になりそうな本笑。

  • 帯に「文学がようやく阿部和重に追いついた」とあるが、このコピー考えた人はすごいと思う。 何の根拠があってこんなことを書いたのか理解できない。 グランドフィナーレはなんと言っていいかわからない。修飾が多すぎる文章は、作者がボキャブラリー豊富な人なのだろうと思われるが、少しごてごてしすぎて単純な私には読みずらい。 死に向かおうとしている少女たちに何とか思いとどまらせようとすることで自分の過去の罪を贖罪しようとしているのだろうか。 過去の性癖とは決別できたのだろうか。 「馬小屋の少女」を読んで、他人の夢に入り込んだような気がした。意味不明。 「新宿ヨドバシカメラ」以降は斜め読みで放棄した。 これが文学というものなら、文学とはよほど相性が悪いと思われる。05・5・8

  • グランド・フィナーレ(芥川賞)
    馬小屋の乙女
    新宿ヨドバシカメラ
    20世紀

    第132回芥川賞
    著者:阿部和重(1968-、東根市、小説家)
    解説:高橋源一郎(1951-、尾道市、小説家)

  • 古本

  • おもしろいなあ。本編もいいが他の3編もいい。かなり笑った。

  • 43:ダ・ヴィンチで新刊が紹介されていたものの、どうやら大きな連作(というか、物語の舞台が共通)らしく、またこの方の作品はひとつも読んだことがなかったので、借りてみました。
    表題作、確かにこの主人公は人間としてどうしようもない位置にいるのかもしれなくて、言い分の正当性と言い訳の間で揺れるさまはとてもリアル。ロリコンであるという属性は、何にでも書き換えられる。ラストシーンは新たな始まり(それがどういったものであれ)を予感させる、静かながら内に秘めたものの成長が感じられる力強いもの。まさに、グランド・フィナーレ。
    しばらくこの方、追いかけてみようと思います。

  • 初めて阿部和重を読んだ。有名どころから入りたくて、芥川賞を受賞したグランドフィナーレを読んでみた。

    いやぁ、難しい。正直なところ、小説として面白いとは思えなかった。
    けれど、解説込みでなんとか「そういうことなのかな」という納得感みたいなものをひねり出した。

    主人公の男性は、娘を含めた複数の女児のポルノ写真を撮影していたんだけど、そのことが妻にバレてしまい離婚となる。
    都会での仕事や家庭、享楽の全てを失って、主人公は地元へと帰る。地元では二人の女児と出会って、演劇の指導を手伝うことになるんだけど、二人がインターネットで自殺サイトを閲覧する場面に遭遇してしまう。

    物語の終盤で、主人公は二人の無事を確認するために夜中まで駆けずり回る。それは贖罪というよりもむしろ、もっと原初的な感情なのかもしれないと感じた。
    東京では相手の立場に立って考えることなんて一度も無かった主人公が、全てを失った後に初めて必死になって何かをした。それはある意味では美しくて希望の持てる展開だったのかなと思った。

    ちなみに、文体は硬くてシリアスな森見登美彦といった感じだった。

  •  四編からなる短編集。
     うち「グランド・フィナーレ」が芥川賞受賞作。
     うーん……。
     なんて感想を書けばいいのか困ってしまう。
     個性の強いキャラクターも出てこなければ、ひとつひとつの行動に移るための熱みたいなものも全く感じられない。
     いや、書き方によってはもの凄いキャラクターになるのだろうし、高熱を発しながら怒涛の活躍を見せることだってできる、そんな内容の話だと思う。
     ということは、あえてニュートラルに書いているのだろうか。
     なんだか自分でも上手く把握できないうちに読み終えてしまったのだが、なんだかんだ言ってもかなり面白かった。
     だから余計に困ってしまうんだよなぁ……なんで面白かったのかチンプンカンプンなのだから……ブツブツ。
    「馬小屋の乙女」は考えようによっては、ホラーですね、これ。

  • 短編集。表題作は、ロリコンがバレて離婚させられた男が会えなくなった娘に未練を残しつつ田舎に戻ったら、ある経緯から二人の少女の演劇指導をすることになった話。演劇指導を依頼されるまで随分と退屈だったけれど、救いようのない結末でなくてホッとした。仮構に人物を当てはめてコミュニケートした気になってる、は、改めてそうだと思った。他の短編では、ホームビデオは画面の映像と記憶の映像の2つを観ている、との記述が面白く思った。

  • 何が言いたいのやら全くわからない。何を感じたのか?離婚して愛娘と会えなくなったのは自業自得。家業を手伝いながら小学生の演劇の手伝いをして二人の少女の生きる手助けをしようとするのは贖罪なのだろうか?

  • これは神町絡みって分かりやすかったし、ニッポニア関連の話題も出てきたけど、やっぱりそれぞれの相関性はほぼ皆無なんですね。独立した物語になっていて、これ単独でも十分楽しめる内容でした。まあ、どこまで楽しめたかってのは別問題で、アブノーマル描写が多いなってこと以外、とりたてて言うことはない感じでした。でもそのアブノーマリティも、前2作の方が極端に思えましたが。表題作以外のおまけ(?)短編に関しては、読み流した程度で、特に感慨は覚えませんでした。やっぱりシンセミアが最強と思います。

  • 何だか文というか漢字が難しかったです。
    芥川賞だから難しいのか、難しいから芥川賞なのか。

    文の雰囲気としては、コメディ要素を抜いた森見登美彦さんって感じでした。

    内容はどうなんでしょうね。
    何だか盛り上がりそうだぞ、って思って読んでたら、やっぱそんなに盛り上がらなかったかって場面が何度かあったような。

  • 『シンセミア』を読んだ勢いで阿部和重の芥川賞受賞作を。順番としてはシンセミアの2年後くらいで例の事件にも少し触れられているけれどストーリー的には無関係。読む順番としては間にニッポニアニッポンが挟まってたのかな。

    読み始め、正直な第一印象は「またロリコンか!」でした(苦笑)しかも自分の娘に???娘として可愛いだけじゃなくて性的興味を???意味わからない気持ち悪い。主人公はもともとロリコン、しかしなぜかちゃんと大人の女性と結婚して娘をもうけている(このへんの経緯謎)。その幼い娘のヌード写真を撮っていたことが妻にばれて喧嘩、うっかり妻に怪我をさせてしまったことで妻側はこれ幸いとDV被害を訴え離婚、娘とも会わせてもらえなくなる。傷心で故郷の神町へ帰郷した主人公は何の因果か小学校教師の旧友に二人の少女の演劇舞台の監督を頼まれてしまい・・・。

    一応表面的には、多少なりとも自分の所業を悔いた主人公が贖罪意識を以て二人の少女を自殺から救おうとする話・・・と解釈したんですが合ってるのかな。高橋源一郎の解説は良かったです。他に短編が3つありましたが、「馬小屋の乙女」はそこそこ面白かった。

    ※収録作品
    「グランド・フィナーレ」「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」

  • ヨドバシカメラの話にセンスを感じる。

  • このおじさん変なんです!!

    文章も読みにくいし、読んでいて意味解らんかった。

  • 最近本屋で平積みされている別の本を見て再読、★1.5かな。
    まぁ題材のあくどさもさりながら、結局何を語りたかったのかがいまいち分からず。構成としても前半部で終わらせるような形で締めるべきだったと思う(後半はそれこそ魅力(?)を殺いでいると感じる)。とまぁ否定的なことばかり書いてしまいましたが、解説を読んでまぁそういう理解もあるのかなと思い直し、★を0.5上げた次第。
    色んな意味で挑戦的ということで芥川賞受賞と相成ったのかな?正直分かりません、当方には。

  • 伊坂幸太郎氏との共作『キャプテン・サンダーボルト』を受けての阿部和重作品初読みです

    芥川賞受賞作品
    「阿部氏代表作になるのかな」と手に取ってみたものの・・・・・・・

    えー よく わかんなーい (´-ω-`)ウーン

    三次元の世界を文章で著す表現力はとても興味深くて、すごいなって感じるんだけど
    お話自体は何を求めたお話なのか・・・まったく理解できなかった・・・・・(^_^;)
    珍しく、この時点で他みなさまのレビューを拝見することにしたが、同じような意見を持つ方々が多くいるようで・・・・・
    特に阿部氏のファンの方々の多数はこの作品が「代表作」とは考えておらず、『シンセミア』『ピストルズ』へと続くプロローグ的作品との位置づけとしているようであります

    ある男が幼児性愛者であることで妻子を失ってしまうというお話
    自分の娘、そして、自分を頼って近づいてくる女児たち
    彼女らとの係わりの中で自分自身の葛藤と周りの人物たちとの距離感を繊細なタッチで描いているのです・・・・・が・・・・・
    何を表現した作品なのか・・・・・・

    その他
    『馬小屋の乙女』
    『新宿ヨドバシカメラ』
    『20世紀』

    短編集であります

  • 理解出来なかったのが辛い

  • ロリコン趣味が露見して、妻と娘に見捨てられ
    友人関係にも暴露されたことで軽蔑を受けるおっさん
    それも仕方の無いことだ
    幼少期に受けた性的虐待の、心の傷というものは
    悪くすると自らの命を絶ってしまう原因にもなりかねないのだから
    ただ、ここでおっさんがその気になりさえすれば
    反論することは可能である
    というのも、心に傷を負わない人間などいない
    おっさんがロリコン趣味を持ったことは
    これもやはりおそらくは、幼少期に受けた心の傷が原因であって
    そこに不可抗力は、認められるべきだと
    だけどもちろん、おっさんはそのようなことを言わぬ
    なぜなら現代社会において
    そのような憎しみの連鎖を断ち切ることは、大人たちの責務だからだ
    その矜持だけでも守りとおしたおっさんはえらい
    いやえらくない
    まあそんな感じで郷里へとひきこもったおっさんは
    なにも知らない昔の友人から、児童演劇の指導役を頼まれたりして
    人間的な再生をはかっていくわけだ
    本来なら小学生女児の前になど顔を出せないおっさんだが
    子供たちの真剣さにほだされて、なんとか「大人」を演じようとする
    …劇作家で演出家の故・つかこうへい氏は、演技指導の際
    役者を徹底的に批判することで
    無駄な自意識をはぎとり、役柄に集中させたのだと聞く
    おっさんが、ロリコンとしてその人格を全否定されたことは
    結果的にプラスに働いたと言えるだろう
    しかし彼の演じる芝居には、脚本がないのだった
    ロリコンは「大人」というものについて知っているのか?
    ラスト、おっさんは女児たちに
    セキセイインコをプレゼントしようと考えるのだが
    僕にはそれが村上春樹の短編「蛍」に重なって見えたりもした

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著者プロフィール

1968年生まれ。『アメリカの夜』で第37回群像新人賞を受賞し作家デビュー。’99年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年に『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞・第58回毎日出版文化賞、’05年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞、’10年本作で第46回谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書『クエーサーと13番目の柱』『IP/NN 阿部和重傑作集』『ミステリアスセッティング』ABC 阿部和重初期作品集』対談集『和子の部屋』他多数。

「2013年 『ピストルズ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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