卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757799

作品紹介・あらすじ

江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙
人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――

のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ――。夫との心のすれ違いに悩むのぶをいつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅、忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。

「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。この小説もそうだった」――塩田丸男(解説より)

感想・レビュー・書評

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  • 図書館より。

    ヤバイ、最後の話で涙が。
    涙腺壊れてるな~。
    表題の卵のふわふわ、食べてみたい。

  • 心温まる、良いお話でした。
    料理が中心の話かと思ったら
    料理をアクセントに現代でもあるような
    人間関係を描いていて、それを料理が絶妙に
    言い表していてとてもよかった。

    過去に女性に手酷く裏切られたせいでのぶに冷たい夫、正一郎。
    冷たい夫と離縁したいと思う若妻、のぶ。
    言い方はきついが情に篤い姑、ふで。
    飄々としていながら心優しい食い道楽な舅、忠右衛門。

    料理になぞらえて丁寧に描写される人間模様。
    卵のふわふわを三人で囲んで食べているシーンは
    本当に心がふわふわとするようだった。
    なかでも世間知らずであれも嫌いこれも嫌いと
    食べ物の好き嫌いをしていたのぶ自身も
    変わっていくのも好ましい。

    宇江佐作品は初めて読んだのだけど
    他の作品も色々読んでみたい。

  • ちょっぴり泣き有りの江戸もの。

    卵のふわふわ

    実は同じようなものを食べたことが昔あります。
    何の気なしに読んだこの小説で出会うとは・・・

    寂しい気持ちになったときに読んでみてください。
    読了後、ほんわかした気持ちになります。

  • 3.5かな。まあ、江戸時代だったらそんなものだったのかもしれないけど、「感情表現が苦手で不器用だけど実は内面は…」的な範疇は(少なくとも今の観点からは)余裕で超えてて、ガッツリ手も出しててただのガチDV でしかないのになんだかのぶ本人以外はほんわかムードで話が進行していって前半はちょっとどうしようかと思った。逆にそれこそDVのリアルなのかもしれないけど。

    後半はうん、食べ物話と人情噺と夫婦の行方といいバランスで俄然読むペースが速くなった。しかしこれまたなんか「お互いに未熟だった」みたいな収めどころはちょっといただけなかったけど。ラストも、うん、嫌いじゃない終わり方だったな。

  • お江戸の人情と美味しい食べ物は最強の組合せだ。

    北町奉行所の同心の家に嫁いだのぶ。
    食い道楽で気さくな性格の舅と口調は厳しいけれど根は優しい姑に大事にされていた。
    けれど肝心の夫とは心がすれ違い冷やかな関係にあり、夫の心無い言葉に思い悩んでいた。

    物語の展開と共に絡められる素朴な料理にそそられる。
    黄身返し卵、淡雪豆腐、水雑炊、心太、ちょろぎ、そして卵のふわふわ。
    作り方の説明を読むとそんなに難しくはなさそうだけれど、ちょっとした火や味の加減で大きく変わりそうなものばかり。
    心を込めて作られた料理を一緒に美味しく食べる。そうすれば仲違いしていた気持ちも一つになれるのかも。
    卵のふわふわ、私も食べてみたい。

  • うーん。
    江戸時代って、現代と違って封建的で、男尊女卑な時代だったのじゃないかなぁ。
    それが読後の第一印象。
    主人公ののぶは世間知らずのお嬢様で、恋に恋していたコドモじゃないか、と思えた。
    自分から夫に歩み寄りもせず、「愛してくれないのは、彼の心に忘れられないひとがいるからでは」と無いものねだりをしているだけに見えて仕方ない。
    愛されることを願うのなら、自分が愛することを始めなくちゃ。
    お舅さんとお姑さんから気に入られ可愛がられているだけでも、充分に恵まれた環境だって思うんだけどなぁ。


  • 何度も波がある話。夫の言葉、舅の言葉、姑の言葉。のぶの行動も大人げないんだけど、夫正一郎の不器用さも人一倍。すれ違いって大きなことがないと元には戻せないのかも。にしたって払った犠牲が大きい。生まれた子供の顔がソックリだっていうのは余計?
    宇佐江さんの今まで読んだ中では恋いちもんめ並に好きかも。

  • 旦那を悪役に仕立てたいんだろうけど、主人公もなかなかに面倒だし、親だというのに他人みたいに接する上に嫁に優しい二人も分からんし、好き嫌いも本人の頑なさの表れとか何だろうけど生きた設定には思えないしで、時代小説の入門で手に取ったけど悪いのに当たった。
    それとも時代小説って大抵こんな話ばかりで、ああよかったねとか、旦那は悪いね嫁は気丈だねという感想が正しいんだろうか。時代設定が古いだけのラノベみたいな内容だった。

  • んー、さすがに「死ね」はあかん。
    腹立ちで、頬を叩くまではどうにか、仕方なしに受け入れるが、「死ね」とまで言われては、受け入れられません、私ならば。
    でもなあ、それが昭和の女性作家の見てきた有り得る夫婦像なのだからなぁ。
    まぁ昔書かれた小説ってことなのね。
    このクソ旦那が女房に惚れていたという設定は、私には読み取れなかった。
    お話自体は面白いのにこの旦那の暴力のせいで、そこばかり印象に残っちゃったよ。

  • 美味しい食べ物がたくさん出てくるのかと読んでみたら、主人公の旦那のクズっぷりにうんざり。男尊女卑が当たり前の時代だったのかもしれないけど、食べ物の描写が頭に入らないほど腹が立って、どうやってこれをおさめるんだと一気に最後まで読んでしまった。は?それで元に戻るわけ?あんたバカなの?と彼女が友達なら言う。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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