源氏物語 巻七 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 205
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757881

作品紹介・あらすじ

不義の子を産んだ女三の宮は出家し、柏木は病死。夕霧は柏木の未亡人・女二の宮への恋慕を募らせる。そんな中、ついに最愛の女性・紫の上が死を迎え、悲嘆に暮れる源氏は、かねて念願の出家をはたす。「匂宮」の帖以降は、女三の尼宮の子・薫と明石の中宮の子・匂宮をめぐる新しい物語が始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 2018年の秋は、紫の上に先立たれた源氏の君が彼女がいない一年を過ごすあたり「幻」を読んでいた。きっかけは、厄年の風習について平安時代はどうだっけ?みたいな興味だったが。夕顔の死の頃の源氏の君の頼りなさ、葵上の喪のときとの違いやら、昔の恋文を燃やす断捨離シーンやら。ふと、『星の王子様』の「あのバラだけ、彼女だけが、きみたちぜんぶよりもたいせつだ。」のあたりのシーンが彷彿とした。

    喪に服す―お勤めー岩戸隠れ。
    そしてほどなくしての雲隠れ。

  • 巻六のレビューに柏木が死んだと書いてしまったが、それは巻七の最初のことだった。さあ、この巻でいよいよ源氏物語も終幕ということになるのだろうか。まだあと3冊残しているのだけれど。もっとも、10冊に分けているのは、出版社的事情によるのだろうが。一度生き返った紫の上はとうとう亡くなってしまう。それを苦にした源氏も最後にはあまり登場することもなく、雲隠の帖でフェイドアウト。いやはや、これは驚き。これを平安時代にされていては、現代の作家にはこの手法は使えないなあ。ご存じない方は一度立ち読みで確認してください。私は思わず先に寂聴さんの解説を読んでしまった。さて、この巻のメインの登場人物は夕霧だろう。柏木亡き後、その正妻であった女二の宮のお世話をするうちに恋心を抱いてしまう夕霧。幼なじみで結婚した雲居の雁に非難されても、女二の宮のもとに足しげく通っていく。女は優しい夕霧に次第に心を許すのかと思うのだが、全く逆で、どんどん嫌悪感が強くなっていくようす。そのあたりの女性の心情を専門家(古典の?恋愛の?)に訊いてみたい。ちょっと夕霧にはシンパシーを感じるけれど、でも無理矢理は良くない。さあ、源氏亡き後の源氏物語はどう展開するのか。いよいよ宇治が舞台になりそうな気配に期待がもてる。5年間宇治に勤務していたこともあり、宇治橋から見える風景が今も脳裏にある。嵐山観月橋から見える風景と比べてどうだろう。私は甲乙つけがたいと感じている。

  • 2007/08

  • 源氏物語はおもしろいと、この巻で思った。

  • ここで一般にいう源氏物語の幕は下りたといってよいだろう。残りまだ3割も残っているが、主人公不在でどう展開するのか。ともあれ、惚れたはれたに終始するには違いない。

  • 『雲隠』の帖に想像を掻き立てられる。類いない美しさと才気を武器に栄華を極めた光源氏の一生が、遂に幕を閉じた。読者が最後に目にする彼の姿は、最愛の女性に先立たれた悲しみに打ちひしがれ、とても痛々しい。紫の上は、けっきょく最期まで籠の中の鳥だった。完璧な美しさを持ったまま、籠の中で死んでしまった鳥。源氏没後も物語は続く。新しい登場人物の中では薫が印象的。生まれつき体から良い香りがするという斬新さが面白い。平安時代の貴族はなかなかお洒落で、女性も男性も着物に香を焚きしめるのが普通だったらしい。

  • 紫の上の死、光源氏の退場・・・
    「雲隠れ」までの章を読んでる最中も世代交代を感じさせるお話でした。
    「夕霧」の章は、堅物が恋に走るとどうなるか・浮気は本当に恐ろしい。というのが感じられ、冷や汗をかきながら読んでました。

  • 主人公光源氏がいよいよ死亡し、物語は宇治10帖へ移るその繋ぎの各帖(匂宮、紅梅、竹河)になるわけですが、その境目の「雲隠」が白紙とは印象的な帖です。粋なアイディアですね。夕霧大将が柏木未亡人である女二の宮への同情が愛情へ変わって心の動きの描写は手に取るようですし、今回も静かな音楽の夕べの描写は本当に美しく、名作である所以を痛感しました。薫大将と匂宮の二人のネーミングも中々楽しいものです。

  • 「柏木」「横笛」「鈴虫」「夕霧」「御法」「幻」「雲隠」「匂宮」「紅梅」の9帖が収録されている巻七。

    女三の宮に不義の子を産ませた柏木は、ノイローゼから病気になってしまい、間もなく他界する。
    一方、柏木の親友であった夕霧は、「妻の女二の宮を見舞ってくれ」という彼の遺言を守るうち、次第に女二の宮への恋心をふくらませるようになる。
    今まで誰よりも理性的で道理をわきまえた人物であった夕霧が、心を迷わせて女二の宮の部屋にしのびこむ姿はいささかショッキングだった。
    当時、女性が夫以外の男性に顔を見られるというのはあってはならないことだったようだ。

    第40帖「御法(みのり)」では、とうとう紫の上に死のときが訪れてしまう。
    紫の上、源氏の院、明石の中宮がそれぞれに別れの悲しみを歌に詠み、その夜が明ける前に紫の上は亡くなってしまうのだけれど、この場面が本当に本当に美しくて、僕も源氏のように悲しさで胸がしめつけられて泣きそうになってしまった。
    10歳のときに源氏にかどわかされて以来、何不自由ない暮らしをしてきた紫の上だけれど、その生涯をふりかえるとやはりかわいそうな女性だったなあって思う。
    紫の上の死後、源氏が明けても暮れても涙を流し、悲しみを歌にしている様子がまた切なかった。

    「雲隠」は題名のみで本文はまったくなく、次の「匂宮」に進むと光源氏はすでにお亡くなりになっていた。
    こういう演出に触れるにつけ、紫式部は天才だとまた思い知らされる。
    以降は、柏木と女三の宮の不義の子・薫、今上帝と明石の中宮の三の宮である匂宮を中心とした第2部ともいえる物語が展開されていくようだ。

    ところで、平安時代の人って事あるごとに「出家したい」って言いすぎ!(笑)
    今でいうところの「引きこもり」みたいなものかな?
    「ちゃんと現実と向き合いなさいよ!」って思ってしまうわけです。
    古典を学ぶ意義って、こうした昔の人の考え方を知ることにあるのかな。

    『源氏物語』、正直ここまで心を動かされる小説だとは思っていなかった。
    高校の国語の先生が『源氏』のおもしろさを熱く語っていたことや、この作品の研究に一生を捧げる人がいることも今ならわかるなあ。
    1000年先にも語り継いでいきたい最高の恋愛小説です。

  • 巻一に記載

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学国語専攻部卒業。60年『田村俊子』で、田村俊子賞受賞、63年『夏の終り』で女流文学賞受賞。73年、中尊寺にて得度。92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、95年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、2011年『風景』で泉鏡花文学賞を受賞。2006年に文化勲章受章。『現代語訳源氏物語』『奇縁まんだら』など著書多数。徳島県立文学書道館館長、宇治市源氏物語ミュージアム名誉館長。

「2020年 『ひとりでも生きられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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