ランドマーク (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 792
レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757980

作品紹介・あらすじ

今、何かが壊れ始める……
大宮に姿を現した超高層ビル。建設に携わる設計士と鉄筋工、立場の違う2人の運命が、交差する……

大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。圧巻の構想力と、並はずれた筆力で描く傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 最終的に何が言いたいのかはよくわからなかったが、つまらなくはなかった。
    もう少し読解力があればなぁ。吉田さんごめんね。

    大宮を舞台に、2人の主人公の「ねじれた」日常を描く。
    1人は、なんとなく貞操帯をつけ始めた鉄筋工・隼人。
    貞操帯をつけてしばらくしてから、「イライラするはずの日常にイライラしないので、イライラするために貞操帯をつけ始めたのだ」と思い至り、その自説がおかしいことは自覚しつつ、1人妙に納得している。
    これは認知的不協和の、自分の認知を変えたパターンをうまく小説に落とし込んだものなのでは、とかなんとか思っているが、この自説のくだりは面白かった。
    また、雑なプロポーズをした相手・こずえに対し、「貞操帯をつけていることに誰も気づかない。俺って自分で思っているより社会に認識されていないのでは」などと吐露。
    これもスポットライト効果な気がしている。吉田さん絶対心理学かじってるでしょ。知らんけど。法政大の経営学部だって。じゃあ違うか。

    もう1人は、設計士の犬飼。
    妻の紀子は都内のマンションで半ば1人暮らしのような生活を送っているが、それは犬飼の勤務先が絶えず変わるため。
    犬飼自身は、大宮スパイラル建設のために、しばし大宮のホテルに居を構え、あちこち行ったり来たりしつつ、職場の若い女性・菜穂子との不倫関係を続けている。
    終盤、紀子は体調不良とのことで実家に帰るが、不倫に気づいたのか否か、真相は語られない。
    この際「お前まさか気づいたか」とは言えずに悶々としている犬飼の描写が秀逸。
    ラストで隼人の職場の良治が大宮スパイラルで自殺するが、それに際して車で現場に向かう途中、「これを口実に紀子を家に呼び寄せても『いやよ』と言うだろうし、菜穂子に会いたいと言えば会ってくれるだろうが、もし自殺の件がなくともこの2人の答えは変わらないだろう」と犬飼は考える。
    先の隼人が自分の実在感の希薄さを痛感している場面と通じるところがあるが、ここでも「人間、他者が何をしていようと行動は変わらないものだ」的な、人間にとって第三者の存在って大したことないよね~という吉田さんの自説が見える。ような気がする。

    ねじれた構造の大宮スパイラルの脆さ、危なっかしさについて、焦燥感に駆られながら車を運転する犬飼が考えている描写がある。
    大宮スパイラルという架空の建物は、もしかすると、「こういう人間や社会というのは首の皮一枚で繋がっているもので、ちょっとした拍子に壊れかねないものだ」的なことを表象して作られた建物なのかな、と思った。

  • 物語だが、あちらこちらを積み上げたりねじったり離したりして、まるで未完成の建物を見ているようだ。建てる目的や意図も分からない、奇を衒っただけのモノ…。

    今まで読んできた吉田修一さんの小説には考えさせられる内容が多かったが、本作は登場人物の配置が未完成、という感じで消化不良だった。実質的な主人公である2人(隼人と犬飼)が、どこかで対峙する展開を見たかった。彼らの人物像は対照的なところが面白いと思っていたのに。

  • ごくごく普通の日常に、貞操帯や壁一面の毛皮など、異質な物がふいに姿を現しぎょっとさせられる。少しの歪みがしだいに膨らみ、支えきれなくなり、やがて崩壊する。

  • あぁ、そこで終わるんですかという終わり方。
    建築中の高層ビルのねじれが象徴する人間のゆがみ。

  • 終わりが、、、、終わらない一冊。笑

    たまーにある、さてこのあとはご想像に、、、的な全てにおいてシメがない一冊で、せっかくここまで盛り上げてー!!!!

    っていうなんとも締まりのないオチでした。

    建築の内容がおおく、超鋼力鋼とか、H鋼とか、高力ボルト云々の話が出てきて、建築の勉強を思い出しつつ、こんな建物も建てられるのか!?

    と、小説ながらに見てみたい気持ちでいっぱいでした。笑

    そして、建築士一級を最初に取ったのは田中角栄っていうのも、へぇー!へぇー!情報でした!笑

  • ねじれた建造物で、人が崩壊していくって発想がすごい。無機質なものに囲まれていると、人が壊れていくのもわかる。人の心があっての、デザインだからね。暖かいものの中で暮らしたいよね。

  • 吉田修一さんの作品がすきで
    読み漁ってるけど、これはよく分からなかった!

  • 地上35階のねじれて螺旋を描く超高層ビルの設計士と鉄筋工ののそれぞれの話。
    あまりよく理解できないけど、この先どうなるのか…と読み進めて行ったけど、結局何だったんだろう?って終わり方…もやもやな後味

  • 2016.9.25

  •  生きているひとは、
    皆、
    どこか捻れていて、
    どこか不安定だ。

    隣の誰かが
    何を考えているかなんて
    知るよしもなく、
    それでも
    わかった気になって
    日々を過ごしている。

    捻れた日々の中で。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。
1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。
2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。
その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。体当たりの演技を披露した広瀬すず出世作としても名を残すことになる。

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