- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062757980
作品紹介・あらすじ
今、何かが壊れ始める……
大宮に姿を現した超高層ビル。建設に携わる設計士と鉄筋工、立場の違う2人の運命が、交差する……
大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。圧巻の構想力と、並はずれた筆力で描く傑作長編。
感想・レビュー・書評
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いびつ…。
建設中のスパイラルビル…それは、重箱を少しずつずらして重ねたような35階建の螺旋状ビル。
そこで作業員として建築に携わる隼人。
ゼネコン現場責任者として携わる犬飼。
同じビルに関わっていても、2人の生活圏格差は顕著。
特に何か事件めいたものも際立つ問題もないけれど、ジワジワと2人の日常が歪んでいく。
隼人は自ら望み〝いびつな日常〟を選択し、犬飼は自身が望まぬところで〝いびつな日常〟の真ん中に立たされてしまう。
スパイラルといういびつなビルに関わることで、知らず知らずにその呪いに絡め取られてゆくような…そんな話し。
例えば、危険な場所に近づけば当然に事故リスクが高まるのと同じで、人が作り出した不自然な物が不自然な日常を呼んでしまう…そんなことって本当にあるのではないだろかと思ってしまう。
今年の16冊目
2021.10.2詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人に勧めたくならないけど
自分の中で好き
私にとって吉田修一さんの小説はそういうものです。
万人受けするものじゃない気がするけど
吉田さんの表現する描写と雰囲気がわたしは好みです。
これも同じ建物に関わる犬飼と隼人の2人が出てくるが
決して交わらないあたり、粋だなと。
同じ時を生きていることが伝わり、共存を感じました。
現在のことしか書かれていないのに
犬飼と隼人の育った環境の違いが伝わるのが面白い。
同じ建物に関わる仕事でも犬飼はエリートだしお金持ち。真面目に育ったんだろうなと伝わります。
一方隼人は高卒で田舎育ちでやんちゃしてたんだろうなと。今がたのしきゃいい、という感じ。
そんな2人は同じ建物に関わりながら仕事内容は異なり生活の余裕も違くて。本人たちはそれを考える場面こそないがこう読み手は客観的に見るためそれを強く感じる。資本主義社会を味わいます。
このランドマークタワーがそれぞれの人生を比喩しているというのも読みどころか。
それにしても、吉田修一さんは知識が特に広いと感心。
建設というかなり専門的なことも小説書くためとはいえ学ばれていてすごい。これだけでなくいつも専門知識やその仕事ならではの生活感だとかを丹念に描いていて、その詳しさに驚かされます。
あとこういう一見光を浴びない人、泥臭いことをする人にスポットをよく当ててるなという印象。しかも今まで関わったことないような人なんですよね。そして特別なことは特に起きなくて。それだからとてもリアル。それが好き。他人の人生を覗き見する感じ。面白い。
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う〜ん。。。結局なんだったのでしょう?
書評を見て回って少し納得。主人公2人はねじれの関係なのね。だからどちらも線。空間にありながら厚みがない。最近のエンタメ小説に慣れているとまったく味がしないけど、奥を探り出すときりがないのかも知れない(?)。 -
建設中のねじれた高層ビルと、それと比例するように不安定になっていく主人公。特に隼人は、突発的に何をしでかすかわからない、常に不気味な存在だった。
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話がひとつのまとまりに集約していくことなく、終わってしまった。
埼玉在住なので大宮やその辺りの風景に多少知見がある自分が見てもそうなのだから、道や風景のわからない人はさらにわからないのだろう。
期待してただけに残念。 -
不穏。
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残念ながら、吉田修一作品好きなのに、何か伝えたいのか、理解できなかった。
最後まで読むのが苦痛だった。 -
ごくごく普通の日常に、貞操帯や壁一面の毛皮など、異質な物がふいに姿を現しぎょっとさせられる。少しの歪みがしだいに膨らみ、支えきれなくなり、やがて崩壊する。
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あぁ、そこで終わるんですかという終わり方。
建築中の高層ビルのねじれが象徴する人間のゆがみ。 -
終わりが、、、、終わらない一冊。笑
たまーにある、さてこのあとはご想像に、、、的な全てにおいてシメがない一冊で、せっかくここまで盛り上げてー!!!!
っていうなんとも締まりのないオチでした。
建築の内容がおおく、超鋼力鋼とか、H鋼とか、高力ボルト云々の話が出てきて、建築の勉強を思い出しつつ、こんな建物も建てられるのか!?
と、小説ながらに見てみたい気持ちでいっぱいでした。笑
そして、建築士一級を最初に取ったのは田中角栄っていうのも、へぇー!へぇー!情報でした!笑 -
ねじれた建造物で、人が崩壊していくって発想がすごい。無機質なものに囲まれていると、人が壊れていくのもわかる。人の心があっての、デザインだからね。暖かいものの中で暮らしたいよね。
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吉田修一さんの作品がすきで
読み漁ってるけど、これはよく分からなかった! -
地上35階のねじれて螺旋を描く超高層ビルの設計士と鉄筋工ののそれぞれの話。
あまりよく理解できないけど、この先どうなるのか…と読み進めて行ったけど、結局何だったんだろう?って終わり方…もやもやな後味 -
2016.9.25
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生きているひとは、
皆、
どこか捻れていて、
どこか不安定だ。
隣の誰かが
何を考えているかなんて
知るよしもなく、
それでも
わかった気になって
日々を過ごしている。
捻れた日々の中で。 -
この人の本、もう何作も読んでますがほんとめったに当たらないね
<主にハズレ作に共通して言えること>
・タイトルがかっこいい
・章のナンバリング・サブタイトルのつけ方に何か伏線があることが多くておもしろい
・ここで!?という終わり方
・読んだ後に何も残らない(良く言えばさらっと読める)
今回も例に漏れず、上の4つを満たしています
扱うテーマはいつもおもしろいのになー
上から目線で言わせてもらえば「もったいない」です
ただ、描写力に関しては一目置いてる
都市を描くことが多いように思うけど、本当にどれもリアル
この作品も大宮使ってる人ならもっと楽しめるかも -
ちょっとなんだ、コレ的な部分もある。ランドマーク的なタワーの建築現場に男の象徴を司るものを抑える鍵を一つずつ埋め込んでいくのは何かの皮肉のようだ。
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主人公のイライラや閉塞感が緊張感を持って伝わってきた。
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それっぽいけれど、結局よくわからない話でした。