冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.81
  • (861)
  • (1287)
  • (1153)
  • (138)
  • (31)
本棚登録 : 9113
レビュー : 867
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758222

作品紹介・あらすじ

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう-。第31回メフィスト賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 敢えて、このデビュー作品のレビューに書き込もう。

    註:この作品のレビューではありません。
    「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞した辻村さんへの雑感です。

    直木賞受賞に対して:(7/18)

    辻村深月さん、直木賞受賞おめでとうございます。
    と彼女のファンとしては素直に祝福したいし、私が1年前から公言していた予想は見事に当たったのだけれど、この作品で? となると疑問……。
    直木賞はこの作品に与えられたというよりは、今回、辻村深月という作家に与えられたのでは?と邪推するのは私だけ?
    惜しくも落選した「楽園のカンヴァス」はブクログレビューで4.29と稀に見る高評価なのに比べ「鍵のない夢を見る」は、3.20と1点以上も差があるし……。
    なんだかなあ、というのが正直な感想です。
    選考委員の桐野夏生さんの会見も、下記のように、もやもや感のある表現で、この作品に対する具体的な評価はほとんどないし……。

    ──選考委員の桐野夏生さんは選考の経緯について説明した。概要は次の通り。
    「(選考委員による投票の)最初の方で(候補の5作中)3作が落ち、残ったのが原田マハさんの『楽園のカンヴァス』と、辻村深月さんの当選作『鍵のない夢を見る』でした」
     「辻村さんの作品については、短編集であるという点が議論の的になりました。非常に多作で長編もたくさんお書きになっていて、何度も大きな賞の候補になっているのに、今回は短編集であるということで、(この作品での受賞に)若干反対する方もいらっしゃったんです。でも、やはり今の時代を非常に書いている若い作家ではないかということで評価を得まして、当選されました」
    「原田マハさんは残念ながら落選されましたが、非常に柄(がら)の大きな作品であるということで、大きな嘘をついているというところでたいへん大きな評価もありました。ただ柄の大きな作品であるところの瑕疵(かし)、インターポールが出てきたりですとか、作中作がやや弱いのではないかということで、マイナスの点数を付けられる方もおりました。本当に僅差で、今回は残念でした。次作に期待しております」

    これじゃあ、差があるんだか、ないんだか。

    今回は文藝春秋の強引な”がぶり寄り”と言ったところじゃないんですかね。
    さらに言うと、今回の結果で、これからの原田マハさんの動向が注目を浴びる。
    今年下期、或いは来年上期に、まともな小説を書けば、直木賞受賞は確実でしょう。
    今回、彼女を落とした選考委員にはある種の後ろめたさがあるはずだから。
    こんなことが起こるから、これまでのノミネート回数とかを視野に入れずに、純粋に作品のみを評価して直木賞を選んでほしいものだ。
    でなければ、はなから「この作品にではなく、この作品を書いた作家に与える賞だ!!」と開き直るとかね。

    で、辻村深月さん本人はどう言っているかというと、
    「読者を信頼し、結論まで踏み込んで書かなくてもいいと思った。目に見えるハッピーエンドだけがエンタメではない」
     自然体で書けたが、「いつも通り全力で取り組んだ仕事」と胸を張る。
    これまで多くの本から幸福を得た。
    書き続けることで「本の世界に恩返しできたら」と結んだ。
    らしいのだが、「ベタでも最後までハッピーエンドを書き続けたい」と語った彼女はいったい何処へ消えてしまったのだろう。
    結婚、出産を経て心情が変わってしまったのだろうか。残念だ。
    しかも──

    ─第147回直木賞を受賞(2012年7月17日発表)した辻村深月さんの『鍵のない夢を見る』(文藝春秋、1470円)がすでに品切れという店舗が、18日の段階で相次いでいるらしい。

    いったいこの本を読んで「面白い!!」と感じる読者がどれほどいるのか甚だ疑問だ。
    その後、「辻村深月ってあまり面白くないね」という風評が飛び交い、彼女の作品の人気がなくなることを危惧する私が変わっているのだろうか?

    まあ、よく解釈すれば、これで彼女自身、足かせも重荷も取れたことだし、今後は本当に彼女の書きたい小説を自由に書いてもらいたい。
    次作に期待するのみだ。
    「スロウハイツ」や「名前探し」のような、心揺さぶる小説を。

    • jyunko6822さん
      おっしゃるとおりです。私は「凍りのクジラ」からずっと辻村さんを応援していたので、この作品しか読まずに他の本をもオミットされてしまうのではない...
      おっしゃるとおりです。私は「凍りのクジラ」からずっと辻村さんを応援していたので、この作品しか読まずに他の本をもオミットされてしまうのではないか心配・・・
      2012/07/22
  • 辻村深月さんのデビュー作。
    「かがみの孤城」に引き続き手に取った。

    設定がなかなか面白い!
    雪の中、隔離された校舎の中に集められた生徒達。
    その中にはすでに自殺した人物がいるらしい、でもそれが誰なのかが思い出せない。
    一人一人減っていく生徒、一体誰がその犯人なのか。
    もう先が気になって気になって…一気読み不可避でした(´∀`*)

    最後まで読んだ感想としては…
    うーん、何となく腑に落ちず…というのが正直なところ。
    「この生徒の中から」と繰り返し強調されるので、途中からそれ以外のオチは受け付けられないという気持ちになってしまっていた。
    かなり長いこと焦らされるので、「メンバー内から納得感のある理由、理屈の上でさらに驚きの展開」まで期待値が上がってしまっていて…
    そこが満たされずといった感じでした。

    一人一人のエピソードが長く、間延びしている感じは否めなかった。
    もう少しコンパクトでも良かったかなという感覚。
    後半はオチだけ知りたくなってしまい、ちょっと流し読みしてしまった。

    辻村さんの中でもかなりエンターテイメント性に寄せた作品。
    設定+プロットで勝負している感じ。
    個人的には、もう少し登場人物の内面に迫る作品の方が辻村深月さんの真骨頂ではないかと感じる。

    作者の名前が登場人物として出てくる小説を始めて読んだ。
    色々と勘ぐってしまう(自分の名前だからきっとストーリーに大きく絡むはず?とか)ので、小説を純粋に楽しむなら関係の無い名前の方が良いかと。
    「心優しく繊細なキャラ」という立ち位置もまたちょっと…(笑)

    <印象に残った言葉>
    ・その人の話をしているのに、思い出せないんだよ!その人の顔も、名前も。その人が誰だったのかもっ!(P120 上、充)

    ・屋上に立っていたのは、角田春子だった。(P442 下)

    ・その声に、菅原榊は顔を上げる。顔に色濃い苦笑を浮かべながら、「深月」と教え子の名前を呟いた。(P474 下)

    <内容(「Amazon」より)>
    エンターテインメント界注目の大型新人・辻村深月が贈る青春小説
    閉じ込められた8人の高校生――雪はまだ降り止まない
    「ねえ、どうして忘れたの?」

    雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――。第31回メフィスト賞受賞作。

  • 辻村深月さんのデビュー作にして、名刺代わりの一冊とのこと。
    そりゃ、主人公の名前が辻村深月ですもんね。

    青春小説としても、ミステリとしても、ちょっとしたホラーとしても、素晴らしいです。
    エピソードを中心にして、実に高い構成力でもって、読者を引き込むとともに、登場人物の内面を描き出しています。

    文章のタッチが好き。
    どうなるんだろうって、ずっとわくわくしながら読めます。

  • 辻村深月のデビュー作。
    メフィスト賞受賞。
    高校が舞台で、ホラー的な構成の作品です。
    悩み迷う様子は、いたってリアルに、まじめに描かれています。

    ある雪の日、進学校に通う8人の男女は、ほかの生徒が来ないことに戸惑う。
    こうこうと明かりがついている校舎には、誰もいない。
    閉じ込められ、2ヶ月前の事件を思い出す‥
    文化祭の最終日に、屋上から飛び降り自殺をした生徒がいたのだ。
    ところが、それが誰だったのか、どうしても思い出せない‥

    それぞれに人には言えない悩みを抱えている高校生たち。
    委員長の鷹野、特待生の清水、鷹野とは幼馴染の辻村深月、深月が苦しんだときに相談に乗った昭彦、髪を茶色に染めている梨香、梨香に片想いの充、梨香と幼馴染の景子、停学が終わったばかりの菅原。
    クラス委員をつとめる仲間で、居心地のいい関係だったはずなのだが。
    誰かが自殺したいほど苦しんでいたのを見過ごしたのか?
    この状況は、その生徒が作り出した空間らしい‥

    悩みがあるとみんなが知っているのは、このうちでも辻村深月くらい。
    友達だと思っていた相手に距離をおかれ、理由を聞いたところ、再三ひどく傷つけられたのだ。
    食事を取ることが出来ない時期があり、カウンセラーの下へも通った。
    自分でも、最初は自分が自殺したのではと考え込むほどだったが‥

    ヒロインに同じ名前をつけたんですね。
    この意味は‥?

    上巻はペースが遅くて、正直、長い。
    少しずつ、登場人物の境遇や気持ちがわかってはくるけれど、本筋に迫る決定打はないので。
    難しいわけではないから、一気に読めます。
    後半に一人、また一人と姿を消すホラー効果は出ていますが。
    長々と書いた部分が、下巻でどう効果を表すのか?期待しています。

  • 「自殺したのは誰?」


    雪の日に8人の高校生が学校に閉じ込められる。8人は共通して、学園祭の日に自殺したクラスメートの顔も名前も思い出せない。止まる時間。

    展開が全く読めない、実に面白いミステリー・ホラー作品である。
    ただ単純にミステリー・ホラーとして読んでも面白いが、僕はこの物語の真髄は登場人物の心の闇にあると思う。

    「自殺したクラスメート」を必死に思い出そうする過程で、登場人物たちは自分の過去を回想する。それも、それぞれが抱える闇の回想だ。

    とても優しい心を持つが、自分のことを卑屈に思いすぎ世界の事象に対して全ての責任を負おうと苦しむ深月。

    誰に対しても優しく他人を受け入れるが、それは実は上辺だけであって本当の意味で悩んでいる人の助けにはなれないと思う充。

    サバサバしていていつも本音でぶつかる気丈な性格だが、実はとても繊細で重い家族の悩みを抱える梨香。

    嫌味なく言いたいことが言え気遣いができるが、友人が自殺してしまった過去を持ち「他人事とは思えない」と考えることができず、「責任感」が拭えない昭彦。

    成績優秀で絵画もコンクールに入賞するほどの秀才であるが、器用に何でもできる反面『本物』にはなれず人と本心でぶつかることを避けてきた清水。


    上巻だけではまだこの5人の話までしか出てこない。
    「思い出して」と反芻されるセリフは、実は「自殺」という悩みの行き着く果てを考えることによって各登場人物がそれぞれの心の闇を振り返って、そして受け入れるようにしているのだ。

    人間は、心の闇、僕は「弱さ」と解釈しているが、それを受け入れないと成長できない。本当の意味で大人になれない。

    そういうことを、「自殺したクラスメート」を思い出そうとする過程で、悟らせようとしているのではないだろうか。


    高校生を登場人物にして上述したようにすることは、「子供から大人へ」ととてもわかりやすいメッセージである。

    何も高校生だけが考える必要はない。むしろ、僕のような大学生が考えるべきなのではないだろうか。
    大学生はモラトリアムと言われ、大人になる最後の、そして最も難しいステップだと思っている。「自分で考え、決断すること」が大人になることだと思っていて、そのためには「心の闇(=自分の弱さ)」を受け入れなくてはならない。


    そんなことを考えさせてくれた作品です。
    作者の考えとズレるかもわかりませんが、僕は上述したような受け止め方をしたしそれで良いと思います。

  • さあ自分たちのしたことを思い出せ。不思議で不気味な世界なのに、気心の知れた友人たちしかいない居心地のいい世界。その場所が恐怖と不安へと変わる。自殺したのは誰?なぜ?仲良く付き合っていても人の心はわからない。わかってもらえない。本当のこと。あんなことで、そんなことで。そこに自分が関わっているのか。それとも自殺したのが自分なのか。下巻もどんどん読み進めていこう。

  • 季節を間違えて咲いた花のように、全身に受ける風と温度の全てに感じたまま自らを与えるような、感受性の強い人でした。だからその心の弱さに同じく傷付く己の弱さが、彼女だけは救いたいと痛むのです。脆くて壊れやすい少女、辻村深月を。彼等をこんなにも繋いでるものは、各々が傷口から流れる赤い絶望を持っていると解っている強さだと思います。時が止まり封鎖された冷たい校舎で、8人全員があの日5時53分あの一瞬に問う。枯れるほど泣き叫ぶ人達が居た目前で空を踏み、燃え散った翼は貴方なのですか、と。それが平等に愛されるべき命だったということ、それが重要なのだ。そしてまた1人、消えていった。

  • 登場人物の表面と内面を知るほどに、謎が深まっていく。
    多角的な視点で知っていくからこそ、他人の気持ちは理解できないと分かる。

  • もともと白深月と呼ばれる系統の作品を読んで辻村深月を好きになり、調べてみるとなんと綾辻行人ファンでそっち系の作品が主な作家さんなんだとか!私の大好きな綾辻行人のファンだなんて!とりあえず読まずにはいられず、彼女が私の名刺代わりの作品とも呼んでいるデビュー作を手とってみた。

    一人ひとりが順に消えていくという構成や作風など、やっぱり綾辻行人ファンだな!と共感できる部分が多く、すごく身近に感じました。まだ下巻は読めていないので、感想までは書けませんが、デビュー作のしかも上巻だけで591ページも書けるだなんてもう才能のかたまり!!

    しかもこの作品、高校生の頃から書き始め、その後大学4年間をかけて書き上げたのだそう。ここまでの長編を制服を着ている時から書いていただなんて本当にすごいなと思いました。

    そして前回読んだ「サクラ咲く」とも同様、彼女の描き出す学生たちの内面が本当に大好きで…表面上は分からなくても実は内面で色々なことを考えている、実は闇深い(?)学生たち。しっかりとストーリーを進めつつも、じっくりと描いていく回想シーンがすごく好み。あー、早く下巻が読みたいです!!

    ただ、辻村深月作品には読む順番があったようで、、もっと早くそれを知りたかったと思わずにはいられません、、

  • ホラーなのかな。夜読むと怖いです。結局のところ最初から誰が自殺をしたのか…それを突き止めたくて読み進めてる感じ。下巻はどういう展開になるのかな

全867件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。
千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞をそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第15回本屋大賞の大賞を受賞した。
他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。
昔からファンだった作品の映画シリーズ、2019年3月1日公開予定の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』で映画初脚本を担当する。

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)のその他の作品

辻村深月の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
米澤 穂信
伊坂 幸太郎
有川 浩
有効な右矢印 無効な右矢印

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)に関連する談話室の質問

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする