冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 9719
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758222

感想・レビュー・書評

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  • 「冷たい校舎の時は止まる(上)」
    クラス委員の8人が、高校にとじこめられた。


    辻村深月デビュー作が、メフィスト賞だったのは、ちょっと意外でしたが、中身がオカルトホラー要素満載の密室、しかも、時が止まり、外には出れず、現実世界から隔離されたもう1つの世界、となると納得。


    主人公の位置づけである深月は、ある雪の日、幼馴染の鷹野と何時も通りに仲良く青南学院高校に通学した。ところが、クラスの皆は、登校してこない。やがて、仲が良い景子、充、昭彦、あやめ、梨香、そして停学明けの菅原も登校してくるが、その他生徒に加え、教師も他クラスも登校してこない。痺れを切らした菅原が、学校から出ようとすると登校時には開いた扉が開かない。窓も割れない。電話も繋がらない。そして時計も動かない。8人は謎の空間に閉じ込められる。あやめが、人の中に人が閉じ込められる事例を持ち出し、やがてある仮説に辿り着く。


    と、正にオカルト王道を行くストーリー。とはいえ、この物語の背景にあるのは、深月と彼女と仲の良かった角田春子との確執であり、いや、確執ではなく春子による一方的な攻撃と虐めでなんですけどね。


    自分がいくら勉強しても成績は上がらないけど、自分より勉強してなく見え部活も継続する深月は、常に上位。だから気にくわないと攻撃を始める春子。進学校ならば当たり前の課題であり、深月が可哀想で仕方がなかったです。自分で自己消化しろと。虐められる側は、そんなはっきり主張できないですよ。虐める側が異常な訳でね。だから、深月のそばに鷹野や昭彦らがいて良かったなと。


    上巻では、何故この空間か発生したのか。次第に皆に浮かぶ自殺したクラスメイトの漠然とした記憶に、マネキンに代わっていく仲間、とオカルト感満載です。誰もが、この空間のhostをつかめない中、迫る恐怖と戦う。すごい怖い訳では無いですが、徐々に伝わる仲間の絆の強さの方が響きました。冒頭に、


    冷たい校舎の中で、彼らと一緒に過ごしたこと。今また、あなたが新たにページを開き、雪降る通学路を歩き出そうとしていること。それを思う時、前が向けます。これはわたしの名刺代わりの話になりました。初めまして、辻村深月です。


    とあるように500ぺージでボリュームが多いが、意気込みは伝わりました。

  • 辻村深月さんのデビュー作。
    「かがみの孤城」に引き続き手に取った。

    設定がなかなか面白い!
    雪の中、隔離された校舎の中に集められた生徒達。
    その中にはすでに自殺した人物がいるらしい、でもそれが誰なのかが思い出せない。
    一人一人減っていく生徒、一体誰がその犯人なのか。
    もう先が気になって気になって…一気読み不可避でした(´∀`*)

    最後まで読んだ感想としては…
    うーん、何となく腑に落ちず…というのが正直なところ。
    「この生徒の中から」と繰り返し強調されるので、途中からそれ以外のオチは受け付けられないという気持ちになってしまっていた。
    かなり長いこと焦らされるので、「メンバー内から納得感のある理由、理屈の上でさらに驚きの展開」まで期待値が上がってしまっていて…
    そこが満たされずといった感じでした。

    一人一人のエピソードが長く、間延びしている感じは否めなかった。
    もう少しコンパクトでも良かったかなという感覚。
    後半はオチだけ知りたくなってしまい、ちょっと流し読みしてしまった。

    辻村さんの中でもかなりエンターテイメント性に寄せた作品。
    設定+プロットで勝負している感じ。
    個人的には、もう少し登場人物の内面に迫る作品の方が辻村深月さんの真骨頂ではないかと感じる。

    作者の名前が登場人物として出てくる小説を始めて読んだ。
    色々と勘ぐってしまう(自分の名前だからきっとストーリーに大きく絡むはず?とか)ので、小説を純粋に楽しむなら関係の無い名前の方が良いかと。
    「心優しく繊細なキャラ」という立ち位置もまたちょっと…(笑)

    <印象に残った言葉>
    ・その人の話をしているのに、思い出せないんだよ!その人の顔も、名前も。その人が誰だったのかもっ!(P120 上、充)

    ・屋上に立っていたのは、角田春子だった。(P442 下)

    ・その声に、菅原榊は顔を上げる。顔に色濃い苦笑を浮かべながら、「深月」と教え子の名前を呟いた。(P474 下)

    <内容(「Amazon」より)>
    エンターテインメント界注目の大型新人・辻村深月が贈る青春小説
    閉じ込められた8人の高校生――雪はまだ降り止まない
    「ねえ、どうして忘れたの?」

    雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――。第31回メフィスト賞受賞作。

  • ことしの読み初めはだいすきな辻村深月さんのデビュー作にした。だいすきなのに読んでいなかったのはなんとなくホラーっぽい雰囲気を感じていたせいもあるが、もったいなかったというのがいちばんの理由である。「かがみの孤城」を読んだことで、ではどんなデビュー作からここまで辿り着いたのか? 気になってようやく読むことにした。わたしの辻村作品デビューは「子どもたちは夜と遊ぶ」で、それはもう特別な一冊だが、デビュー作を読んではじめて感じられることもあるだろう。優しさと繊細さをもつ8人がたどり着く場所へ、わたしもともに行く。

  • 登場人物の表面と内面を知るほどに、謎が深まっていく。
    多角的な視点で知っていくからこそ、他人の気持ちは理解できないと分かる。

  • 内容説明
    雪が降る登校日、クラスメイトの鷹野と深月はいつもと同じように高校に向かう。だが、教室に入った彼らを迎えたのは、たった二人のクラスメイトだった。先生も他の生徒の姿も無く戸惑う彼らに、静かに死が歩み寄る・・・・。メフィスト賞受賞の青春ミステリー、待望の漫画化!

    雪の降る登校日、いつも通りに教室に向かった8人の仲間達。だが、そこに待っていたのは誰もいない教室だった‥‥。閉ざされた扉、割れない窓ガラス、止まったままの時計。理解を超えた事態に戸惑う彼らに、静かに悪意が迫るーー。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    文句を言いつつも(笑)、はまりにはまっていた
    辻村センセイのデビュー作!
    すべてはここから始まったのね...
    リンクの多い辻村先生の作品だから
    きっと何か新しい発見があるはず♡

    と思って読んでいたのですが。
    あれ?これ見たことある展開...
    展開って言うかプロットが...

    これ、「名前探しの放課後」じゃーん!
    (あっ既にここでネタばれですね。ごめんなさい)

    って言うか「辻村深月」って登場人物がいることに驚いた。
    どっちが先なんでしょう?
    どうしてこの子をペンネームにしたのかな。

    そしてリンクの多い作品だけどその後はこの子出てきませんね。
    それとも私が知らないだけかしら。

    まぁでも、作者の名前をつけるだけあって(逆かも知れないけど)
    なんだか普通の子なのにすごく特別扱いだよね。

    そりゃーまぁ、疎ましく思う子が出てきても仕方ない感じ?

    そしてその子の名前を付けちゃうって言うのもねぇ...
    なんだろうあれかな、勝手な憶測を承知で言わせてもらうと、作者の願望なのかな?

    こんな風に愛されたかった、
    守られたかった、
    特別扱いされたかった...

    そう言う意味では作者の立場は春子側なのかも、
    なーんて穿った見方までしちゃいました。

    内容は相変わらず、SF(SukoshiFushigi)です。
    と言うか思いっきりファンタジーです。

    現実じゃない世界に仲間たちが落ち込み、
    一人一人消えていく。

    でも現実じゃないから現実の世界ではちゃんと生きてる。
    ちゃんと誰も傷つかない。

    神隠し、最近でもありましたね。
    突然消えた飛行機...

    現実的には海中に沈んだ?と思われるけれど
    数年後にひょっこり出てきたりしたら
    彼女らのような体験をしているのかも知れない。

    それはそれで、そうだといいな...って言う気持にも、なる...

    下巻はレビューしませんが、
    途中で違和感の原因はわかると思います。

    この人の作品ばっかり読んでたからかも(汗)

    でもなー。
    なんだか人物像がみんな希薄なんですよね。
    一生懸命説明を加えているんだけど上滑りしてると言うか...

    あ、でも、これを読んだらぜひ「ロードムービー」を読んでください^^
    登場人物のその後が分かります!

    そしてロードムービーで感じた違和感も、あー昔からそうだったのね...ってなると思う。

    私は逆に読んでしまったけれど、それはそれで
    ニマニマしながら読めました^^

    登場人物への愛は、とーっても深い人なんですね。
    書き込みすぎて上滑りなのか。
    スピンオフ系が好きな人はつい読みこんじゃうだろうなぁ。
    (←まさに私w)

    辻村深月のその後もぜひ読んでみたいです。

  • 恐らく初めての辻村深月氏。
    これがデビュー作らしい。

    辻村さんの本をどれか読んでみようと思い、
    悩んだ挙げ句に手に取ったのがこれでした。

    初々しさからか文章はやや冗長で
    途中で意味が逆転しまっている描写すらある。

    けれどもミステリーとして
    読者を引き込む力は思いのほか強く
    その閉ざされた冷たい校舎のなかは
    とても薄ら寒くてぞわぞわする。

    面白いのは作者の名前を冠した人物が
    主要キャラとして登場するところ。
    短編ならともかくこれだけの長編で
    なかなか珍しい気がする。

    感想は下巻にて。

  • 面白いんだけど、ちょーっと長いかも。
    でも、面白いのは面白いんだけど。
    そして、種明かしが上手だね。この人は。
    で、「そうだったのか!」とわかると、また初めから読みたくなる、みたいな。
    群像劇も上手。
    ただ、分厚い上下2冊なので、やっぱりちょっと長いかな・・・。

  • 雪の日に校舎に閉じ込められた8人
    どうしても思い出せない自殺したクラスメートの名前。
    謎・謎・謎・・・で続きがきになります。
    かなりの長編ですが、一気によめそう。
    登場人物の名前が作家と同じ名前なのにはなにか意味があるのかな?

  • 直木賞作家だということでとりあえずデビュー作買ってみました。


    「鍵のない夢を見る」は、文庫に下りてきたら買ってみたいと思います。
    そう思わせるくらいの面白さはありました。


    「冷たい校舎の時は止まる」は結構な長編なので、比較的時間をかけて読みました。帯にあるように読み始めたら止まらないって感じではなかったです。

    ただ、終盤に一気に謎が解かれていくカタルシスは良かったです。
    一応他の作品も読んでみたいと思います。

  • 初辻村深月なのでデビュー作を読んでみた。読んでいる間、「耳をすませば」の西老人が雫の物語を読んだ時の気持ちは是くあっただろうかと思っていた。8人を書き分けをしているようでいて、実は一人の人間の色々な面を強調しただけに見えるが、高校生のうちから書きはじめたと知って納得。頻繁にある重複した表現も一生懸命さが伝わった。下巻ではどのような展開になるのか楽しみだ。

著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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