野川 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 136
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758253

作品紹介・あらすじ

急逝した友人の一周忌近く、故人からの遺贈として届いた一枚の絵地図。友人が好んだ野川の散歩道を描いた絵の片隅で、大人が子供の手を引いていた。それは子を妊った娘の未来像か、東京大空襲の翌朝に母親と歩いた荒川土手の風景か-。はるか時空を往還し、生と死のエロスの根源に迫る、古井文学の到達点。

感想・レビュー・書評

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  • 新聞に載っていた著者の文章に惹かれて買ったもの。全編にわたって夢と現をどちらとも知れず漂うような小説。六十を越えて生から死を観じる主人公と、戦中の空襲や、青春時代の記憶などが入り混じる。

  • 生も死も過去も現在も自分も融けあう。
    ---
    「我でも我以外の者でもなくなったわたしと、その自身のことを話すわたしは、また一段、次元を異にするのか。わたしの滴すらもはや見出せぬわたしも、すでに異ったわたしか。最後のわたしとは言葉のことか、言葉となりわずかに留まって、わたし自身のことを語りながら消えていくのか。あるいは最後のわたしとは、解体消滅の際にあるのではなくて、いまここに、また反復の日常の内にあるわたし、いや、ここにあるわたしをまた見出すという、安堵と呼ぼうと絶望と呼ぼうと、そのことなのかもしれない」

  • ゆめとうつつのあわいをふわふわしているようで、その真ん中にはひとすじ、確かに道がある。みたいな。

  • 生活の中でたまーにある、たくさんの人といるのに急に自分の回りにフィルターがかかって自分以外がスクリーンの中にいるような感覚になる。この人の、句点の連なりによる淡々とした、ボソボソと喋っているような長ーい文章がけっこう好み。

  • 那覇などを舞台とした作品です。

  • ぜったい読む

  • 今回の旅はこの小説とともにあった気がした。長距離列車で移動しながら、うつらうつらとなったりしながら読み進めていたのだけど、その感じがこの小説の感じと非常に合っていたと思う。この世とあの世。今と昔。夢とうつつ。あいつと自分。不思議な空気感が漂っていて、最初はそれが慣れないのだけど、徐々にそれが心地よくなってきて。堀江さんの「河岸忘日抄」と似た雰囲気があるけれど、それよりもこっちの方が数段上を行っている。。。たぶん今の現役の日本人の作家で最高峰はこの人だと思う。いや、わからないけど。何の理由もないけど直感的にそう感じた。こんな小説を、この域の小説を書ける人はこの人しかいないんじゃないだろうか。。。ちょっと他の作品も読みたくて仕方ない。この本を日本から持ってきて良かった。(08/8/26)

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著者プロフィール

1937年東京都生まれ。小説家、ドイツ文学者。東京大学大学院修士課程修了。〈内向の世代〉と称される一人。71年「杳子」で芥川賞、83年『槿』で谷崎潤一郎賞、87年「中山坂」で川端康成文学賞、90年『仮往生伝試文』で読売文学賞、97年『白髪の唄』で毎日芸術賞。他の著書『この道』『ゆらぐ玉の緒』『雨の裾』『白暗淵』『辻』『野川』『山躁賦』『詩への小路』『半自叙伝』『人生の色気』など。

「2019年 『深淵と浮遊 現代作家自己ベストセレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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