- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062758314
感想・レビュー・書評
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シリーズ三作目。
人生の一ページ、そこに心残りや謎を絡ませていく五つの物語。
うん、雨の夜はこんな静かなバーとちょっとした謎解きが実に心地よい。
じっとマスターの語りに耳を傾けたくなる。
あくまでもマスターの想像に過ぎない、それでも誰もが耳を傾け心が解放される、そして読み手までもがゆっくり心をほぐされる、この時間が好きだ。
表題作はもちろん、最後の「孤拳」は言葉にできないぐらい好き。
心に宿る想い、蛍のようにぼんやり淡く光る想いがせつなさと共に心にそっと忍び込んでくる気がした。
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香菜里屋シリーズ③やはり切なく、悲しいストーリーだけど、どこか温かさも残してくれるシリーズ。「孤拳」がとても印象的。『猫に恩返し』はちょっとゾッとさせられる。友人の香月の登場も多くおもしろかった。
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「この街で、オレを待ってくれる人はもう誰もいない」戦場カメラマンを目指すため、恋人・奈津実と別れた螢坂。16年ぶりに戻ってきた有坂祐二は、その近くのビアバー「香菜里屋」に立ち寄ったことで、奈津実の秘められた思いを知ることになる(表題作)。マスター・工藤が、客にまつわる謎を解き明かす第3弾。
(2009年)
— 目次 —
螢坂
猫に恩返し
雪待人
双貌
孤拳 -
短編推理小説。ビアバーのマスター・工藤哲也が推理する。殺人事件なんかではなく、客にまつわる謎を解く。表題作・蛍坂では16年前の謎を解き明かすのだが、あまりに手がかりがなさすぎて、無謀な推理のような気がする。でも美味しそうな料理とアルコールだけで楽しめる。
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「香菜里屋」というビアバーを舞台にマスター・工藤が店に持ち込まれた謎を解き明かす連作短編集の三作目です。表題作である「蛍坂」をはじめ全五編が収録されています。前の二作のように香菜里屋に持ち込まれた事件を工藤や常連客達が解いていくと思いきや、ある仕掛けがある一編や今まで明かされていなかった工藤の過去を思わせるような場面がある一編があり、前の二作とは違う変化が面白いです。次のシリーズも楽しみになりました。
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★3.5
香菜里屋シリーズの3作目で、全5編が収録された連作短編集。タイトルに冠された“螢”のように、どこか儚げで物悲しく思える作品が多かった気が。ただ、その後にはビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤による、ほっこりとする解説が付け加えられるので、心が沈むことがないのが有難い。中でも「孤拳」が特に印象的で、真澄と脩治を襲った現実は辛いけれど、工藤の言葉に救われる思いがした。そして気になるのが、「雪待人」ラストでの香月の一言。謎に包まれた工藤を知れる次巻を早く読みたい!それはそうと、今回も料理が絶品だった。 -
シリーズ第3弾。
「螢坂」「猫に恩返し」「雪待人」「双貌」「孤拳」の5編収録。
お客にまつわる謎をマスター工藤が解き明かすシリーズ。
謎解きだけでなく、さり気なく出される料理がたまらない。
想像力を掻き立てられますよぉ。
そして工藤の過去もきになります。
あと1冊でシリーズ完結。
物凄く寂しいです。