源氏物語 巻九 (講談社文庫)

著者 :
制作 : 瀬戸内 寂聴 
  • 講談社
3.78
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本棚登録 : 158
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758352

作品紹介・あらすじ

亡くなった大君のことを思い切れないまま、薫の君は、今上帝の女二の宮と結婚。中の君は匂宮によって、京・二条の院に迎えられ懐妊するが、姉宮の面影を求める薫の横恋慕に悩み、異母妹・浮舟を大君の身代わりにと勧める。しかし、可憐な浮舟に匂宮も心惹かれはじめ…。思うにまかせぬ運命の不思議。人の心と運命に、男も女も翻弄される第九巻。

感想・レビュー・書評

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  • 薫と匂宮、そして中の君と浮舟(本文にはこの名前は出て来なかったように思うが)この4人を取り巻く恋愛事情が本巻の主題というところか。光源氏から見てきて、わりと自由に恋愛しているようにも見えるし、性的にも奔放な様子が描かれているように思う。けれど結婚ということになると、顔を見たこともないような異性と、親の心積もりだけで取り決められてしまうようでもある。何かしっくりいかない。まあ、そういう時代だったと言えばそれまでだけれど。そんな中、匂宮がひょんなことから初めて見かけた浮舟に手を出そうとしたり、それを大してきつくとがめようともせず、また悪い癖が出たと太っ腹な対応の中の君。はたまた、中の君のからだに、薫のかおりが残っていると、嫉妬心をおこす匂宮。ぐずぐずして、なかなか行動に移せない薫。これらの人間模様が楽しい。いまもむかしもそういう点は変わらない。そして、浮舟を宇治にまで連れ去る薫の行動。女性に対して、こうも積極的になれたのは初めてのことではないだろうか。ちょっと清々しくもある。さて最後の巻で、どういう展開になるのやら。楽しみだ。

  • 2007/10

  • 光源氏は亡くなり、柏木の君も亡くなって、因果応報、薫の君と匂宮の横恋慕ごっこが綴られる。毎度毎度いい加減になさい、としか言いようがない。女性陣にしても、中の宮も浮舟も、そこまで自分の境遇を憐れに思う必要はまったくありません。

  • 大君、中の君の2姉妹の父・八の宮の寂しい晩年の状況は今に通じるものを感じます。失意の世の儚さは今も同じです。そして2人の重要な人物、薫の君と匂宮の対照はますます鮮やかで、禁欲的で慎重居士の薫の君と快楽的で精力あふれる匂宮の二人が印象的です。その薫の君の中の君への想いが捨てられず、何ども匂宮へ譲ったことを後悔する心持が出てくることはいかにも女々しいように思いますが、御簾の中で大胆に行動し、その香りのゆえに匂宮に疑われてしまうという描写からは、柏木もそうであったように、やはり男の本性を紫式部が冷徹に描いているように思われます。

  • 宇治の八の宮の姫君たちの物語がつづく。

    亡き大君(おおいきみ)のことが忘れられず、悲しみに沈む薫の君。
    妹である中の君(なかのきみ)は匂宮の妻となるが、その面影が大君と見まがうほどに似てきたため、薫は中の君を自分のものにすればよかったと後悔する。

    2人の姫君たちには異腹の妹がいて、名を浮船という(巻九にはまだその名は出てこない)。
    薫は、大君に似ているというその人に会ってみたいと思う。
    ところが、ふと浮船の姿を見かけた匂宮がそのまま彼女を自分のものにしようとしてしまう(ここでは危機一髪で難を逃れた)。
    亡き人のことをずっと一途に想っている薫と、美しい女性には抜け目なく言い寄っていく匂宮。
    対極的な2人が浮船をめぐってどんなドラマを繰り広げるのか、最終巻が楽しみだ。

    この巻九には「早蕨」「宿木」「東屋」の3帖が収められている。
    おもしろいと思ったのは、この時代の人たちがよく音楽やトークで夜を明かしていること。
    「カラオケでオール!」的なノリは1000年前からあったってことなんだなあ。

    寂聴さんの「源氏のしおり」が本当にわかりやすい。

  • この巻は、源氏が輝いていた時代の物語に匹敵するくらい面白い。ページをめくる手が止まらなくて、ついつい長湯してしまう(お風呂で読んでいるので)。

    本巻では亡くなった大君に瓜二つの浮舟が登場。大君に未練たらたらの薫は、浮舟に恋をしてしまう。一方、薫とワル仲間の匂宮も、浮舟を一目見るなり恋してしまう。今まで散々一緒に女遊びをしてきた薫と匂宮が一躍恋のライバルになるところもこの巻の見どころだ。

    今まで出てきた女性たちと異なり、浮舟は意思が弱い。アクシデントとは言え、どちらの男性とも関係をもってしまい、以後どちらかを断ち切ることができない。今までの物語では、いずれは妻として迎えることが多かったのだが、薫も匂宮も浮舟は単なる浮気相手のまま。紫式部は、女性の物腰が柔らかくて拒否せず意思が弱くて負い目があると、都合のいい女になりやすいことをよく知っている。こういった心理描写は本当に圧巻。

    寂聴氏の解説によると、この後浮舟は「ドラマティックな運命を辿る」らしい。長い長い源氏物語の最終巻ということもあり、期待が膨らむ。

  • 巻一に記載

  • 2007年9月17日購入。
    2015年10月18日読了。

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著者プロフィール

せとうち・じゃくちょう 1922年、徳島生まれ。東京女子大学卒。1957年に「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞、1961年『田村俊子』で田村俊子賞、1963年『夏の終り』で女流文学賞を受賞。1973年に平泉中尊寺で得度、法名寂聴となる(旧名晴美)。1992年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、1996年『白道』で芸術選奨、2001年『場所』で野間文芸賞、2011年『風景』で泉鏡花文学賞受賞。1998年『源氏物語』現代語訳を完訳。2006年に文化勲章を受章。他の著書に『釈迦』『死に支度』『わかれ』『求愛』『いのち』など多数。

「2018年 『花のいのち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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