文庫版 百器徒然袋 風 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2286
レビュー : 170
  • Amazon.co.jp ・本 (842ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758628

作品紹介・あらすじ

調査も捜査も推理もしない、天下無敵の薔薇十字探偵、榎木津礼二郎。過去の事件がきっかけで榎木津の"下僕"となった「僕」は、そのせいで別の事件にも巻き込まれてしまう。探偵を陥れようと、張り巡らされた罠。それに対し、榎木津の破天荒な振る舞いが炸烈する!「五徳猫」「雲外鏡」「面霊気」の三篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • ★4.0
    再読。「待たせたな!僕だ。うはははは」、相変わらずの榎木津節が懐かしく、下僕たちに吐く罵詈雑言の数々が最高に面白い。そして、「いんかーん!」と「にゃんこ」に完全にしてやられた。全3編の中でも「面霊気」が一番興味深く、誰もがその時々で異なる仮面を被っている。が、時に大人の対応が含まれてはいるものの、それは決して偽りではなく、そういうものなのだと思う。それはそうと、満を持して登場した榎木津父の言葉、京極堂による榎木津評に思わず泣きそうに。また、本人も言っている通り、本島さんは本名が一番嘘臭い(笑)。

  • 2015.07.10

    五徳猫:風俗店のいざこざ
    雲外鏡:インチキ霊感探偵
    面霊気:鬼面とコソ泥騒動

    薔薇十字探偵団の話。羽田隆三絡み。
    ラストで榎木津の意外な一面も

  • 中学生の時分には何度も挫折した妖怪シリーズですが、「姑獲鳥の夏」も「魍魎の匣」も意外と読めたので久しぶりに買ったら榎木津が主人公だったので驚いた。
     五徳猫は好きな話。ストレートに良い話は大好物。変に捻ると不愉快なだけだから。
    雲外鏡。敦っちゃんがカッコ良かった。
    面霊気。木場修は榎木津の幼馴染である限り出世できないと思う。
     しかし語り手が違うと京極堂がえらい行動的だ。関口の語りがちょっと苦手なので、本島の語りのほうが面白くて好き。もちろん本編の狂った世界の語りは狂った人にしかできなくて、本島には無理かもしれないけど。でもこの人面白いよ。地の文で突っ込みをいれるんだよ。女の子にすら。口に出さずに。なんという小心者。あとマスカマが半端なく小物でどうしようかと思った。
     京極堂はやっぱり優しい。榎木津は意外と優しい。木場修はかっこいい。関口は出番無かった。

     久しぶりに全巻買いなおそうかなあ。学生時代は塗仏あたりまで集めて売っちゃったけど。久しぶりに再読したくなった。

  • 『百器徒然袋―雨 』に続いて、今回も榎木津が主役。
    京極夏彦の作品はみんなおもしろいけど、京極堂シリーズの中ではあたしは断然、この2冊が好きです。

    なんてゆーか、爽快。いや、痛快?
    他の京極堂シリーズはどちらかといえば、全体的にしっとりした?感じなんだけど、この2冊は、メチャクチャ…というか、ムチャクチャというか…。
    ひたすら榎木津が楽しそう(笑)。

    そして、そういう榎木津の、自由奔放で唯我独尊・傍若無人なところが好き…というか、うらやましい。

    さて、で、短編集、というには1つずつが長いけど、3話収録。

    ストーリー的に一番好きなのは、2話目の「雲外鏡」。
    関西の自称・霊能探偵と、榎木津のやり取りが笑えます。

    で、一番興味深いのは、3話目の「面霊気」。
    この話の中で、たびたび、「仮面」という言葉が出てくるんだけど(例えば、p.659の本島の独白とか、p.688-689の京極の台詞)、それがすごく、おもしろいし、わかりやすい。

    少し話は飛んで…。

    ドイツの社会学者に、ニクラス・ルーマンという人がいます。
    で、その人が「Person」っていう概念を使うんだけど…(日本語訳では「パースン」とか「人格」と訳されてます)。

    ルーマンのPerson概念を、ちゃんと説明するのは難しい…っていうか、あたしには無理なので、大雑把に言うと、Personっていうのは、「期待の束」。つまり、ある人に向けられる期待を、まとめあげたもの、です。

    社会学では、似た言葉に「役割」っていうのがあるけど、役割が、ある地位についている人びとに共通して向けられる、一般化された期待を指すのに対して、Personは、ひとりひとりに向けられる、個別的でより具体的な期待を指します。

    例えば、「先生」一般に向けられる期待(=役割期待)と、「○○先生」っていう、特定の人に向けられる期待(=Person)、みたいな。

    で、Personっていうのは、個別・具体的な期待なので、その人の就いている職業だとか、家族構成(と、その人のそこでの位置づけ)だとか、その人のいわゆる「性格」だとか、「嗜好」だとか、年齢だとか、性別だとか、その人と、自分が、これまでどういうコミュニケーションをとってきたのかだとか、すんごくいろんなことから、つくりあげらていきます。

    で、「意外」な場面に出くわすと、「この人にはこーゆーところもあるんだ」→「今度からこの人の前ではこれをするのはやめよう」…てな感じで、つくり換えられたりもしたり。

    したがって、Personっていうのは、何が、その人に対して期待できたり、できなかったりするのかを、その都度その都度、限定するためのもの、です。

    で、何が期待できたり、期待できなかったり、っていうのは、その人がどういう人として捉えられているのか、ってことなので、Personを、最初よりもさらにざっくり言うと、その人「像」とか、「その人らしさ」って感じ。
    (なんかもう、学問的な概念定義としてはありえない表現に…。ちゃんとした研究者の方々、ごめんなさい↓↓)

    んで、何が言いたいかというと、京極夏彦が「面霊気」の中で使う「仮面」という言葉は、ルーマンのPerson概念を、非常に、簡単に、かつわかりやすく説明してるなぁ、と。

    言うまでもなく、「Person」(英語で「パーソン」、ドイツ語で「ペルゾン」)の語源は、ラテン語の「Persona」(ペルソナ:仮面)だし。

    なんだか、長々と書いた割に、言いたいことはそんな短いのかよ、って感じですが、京極夏彦はホントすごい。
    てか、もう、社会学者になっちゃえばいいのに(笑)。
    んで、他の社会学用語も、もっとわかりやすく説明してくれればいいのに。

    難しいことをわかりやすく伝えるスキルとセンスがほしい…。

    あ、補足ですが、一応。。。
    あたしのPersonの説明はかなり杜撰なので、ルーマンのPersonについてもっとちゃんと知りたい方は、以下を参照ください。

    ・『社会システム理論』〈下〉の第8章(だっけか?)「構造と時間」。
     (たぶんその章に、「期待、役割、パースン」とかっていう節があったハズ)
    ・『ポストヒューマンの人間論―後期ルーマン論集』の第4章「人格という形式」。
     (ルーマンの著作の中で唯一、Personを中心的に取り扱った論文)

  • 例年より早い梅雨入りという事でジメっとした気分を粉砕する豪雨もしたたるハイスペック紳士、榎木津礼二郎第2段★
    前作「雨」に続き憂鬱な気候を吹き飛ばす3連作。
    どうやら名字だけは覚えて貰えた本島君。またしても榎木津一味に捲き込まれ…(に行ってる!?)
    「五徳猫-ゴトクネコ-薔薇十字探偵の憤然」
     劇団京極堂の化け猫捕物帖。マスカマダ・カマスカス君ww
    「雲外鏡-ウンガイキョウ-薔薇十字探偵の然疑」
     榎さんに挑戦状。閣下に喧嘩売るのは56億7千万年早い(笑)
    「面霊気-メンレイキ-薔薇十字探偵の疑惑」
     榎木津元子爵サプライズ出演。最後の榎さんの手紙にきゅん♡
    今回は一言でいうと逆恨み。それも榎木津本丸でなく下僕を餌に誘き出す肚だけど、
    売られた喧嘩は倍返し!!分かってるのに笑っちゃうのね。続編出ないかなー。
    ラジオドラマがあるとの事で今更ながら早速試聴♪
    佐々木蔵之介GJ!超ハイテンションww京極先生のアフレコも巧すぎ!!!!

  • 「五徳猫 薔薇十字探偵の慨然」「雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑」「面霊気 薔薇十字探偵の疑惑」の3篇。
    「雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑」で笑わせてもらった。相手(敵)があまりにも雑魚キャラすぎてむしろ哀れにすら思えるほどに、コテンパンにやられている。
    榎木津父は見た目はまだしももっと快活な人だと思ってたから意外。
    榎木津の直筆で「本島敏夫様」と本名が。ようやく名前出た。こういう所が榎木津は狡いというか。マジで美味しい所もって行き過ぎじゃね?てか格好良すぎじゃね?と思ってしまう。
    番外編は榎木津大活躍、薔薇十字団みんなで結束して悪を倒してる感じがして、なんかさっぱりするな。悪役もいかにもな雑魚な悪役だし。
    そして関口君は並な人間じゃないな、と思う。並じゃない駄目っぷり不幸っぷりだということに。関口偉大。

  • 「百器徒然袋 雨」よりもスラスラと読むことができた。

  • 170103読了。
    榎さん、最後優しいー。
    薔薇十字なのに最後泣きかけたー。

  • 個人的に好きだったのは五徳猫。
    招き猫の上げてる手に、
    意味があったことに驚き。

    雲外鏡の銅鏡手鏡のシーンは、
    同作のコミック版のお陰で
    理解がすすんだ。

    面霊鬼はパパ登場だけで、
    普通に驚きました。

  • 「わははははッ!待っていたぞ」敬してやまない薔薇十字探偵・榎木津礼二郎の独擅場なのだ。唯我独尊とばかり横行闊歩する天下無類の極楽蜻蛉である。百鬼夜行シリーズを読むにつけ、いつか彼にすべてを委ねてみたかった。「この世に不思議なものなど何もない」とのたまう京極堂でさえ、彼の特殊能力は解説不能に違いあるまい。『五徳猫』どもを虚仮にし、『雲外鏡』を粉砕し、『面霊気』を蹂躙しつくす。いやー、愉快愉快。通勤バスで笑いをこらえられず、同乗の衆には疎んじられるも、傍目を気遣う小心では彼を慕う資格なし。『雨』に先んじて読んだので、楽しみは半分残っている。

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