- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062758819
感想・レビュー・書評
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4冊分まとめての感想
「館シリーズ」自体は第1作目の『十角館の殺人』しか読んだことがなく、それもだいぶ昔に読んでいたので、他シリーズの内容やそこに関わっている人達のことをほとんど何の知識も無しでこの『暗黒館の殺人』を読み始めてしまったことを少しだけ後悔…。
それでも、この物語で繰り広げられた一連の出来事の濃密さ、闇の深さは底無しかと思うくらいボリュームのある内容で、充分世界観に浸ることができました。
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1・2巻はまだまだ物語の序盤、建物の説明や人物説明がほとんどだったのが、3巻で謎の解明が始まり、そこでようやく事件の全貌が見えてきたように見せての、4巻のドンデン返しが凄かった!
自分が今まで見て(読んで)信じていた事柄や、それこそ“記憶”と言っていいものをほぼ全て否定されててしまったような衝撃。言われてみれば1巻の最初からあちこちに伏線が張られていて、偶然か、それとも何かに導かれた必然なのか暗黒館に集められた人々の過去と未来がひとつに繋がった瞬間は鳥肌が立ちました。
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長きに渡って疑問に感じていた“視点”の正体や、“ダリアの祝福”の謎、そして一連の事件の解決。さらに、最後の最後で“中也”の本名を明かした時には「やられた!」って思いました。
最初は、厨二的な文章表現が少し小っ恥ずかしく思いながら読んでいましたが気付けば自分もすっかり暗黒館の魅力にはまっていたんだな、と読み終わってから染み染みと感じるものがあります。もし、中学か高校生の頃に読んでしまってたら絶対に影響されいてただろうなぁ…もっと早く読んでいたかった、それも全シリーズを通して。そうしたら文句なしの☆5でオススメしたい作品です。 -
「視点」が何なのか分からず、とても鬱陶しく感じて、
「視点」をどう読めば良いのかを調べたいと思い、インターネット検索をしてしまった。
これが大きな間違いで、つまりそれは推理小説を最後のページから読むような話だったのだ。
しかしそこは綾辻先生。
答えが分かってしまっても、畳みかけるように真実が分かってくるこの第四巻は、トイレに行くのにも本を手放せなくなってしまうほどだった。
最初から気になっていた中也は、なるほど、あの人だったのか!
この本を読み終わった後は、館シリーズの最初からもう一度読みたくなった。 -
なるほどそうきたかーーーーー!一番館シリーズっぽくなくて、一番館シリーズっぽい館でした。これは前の館シリーズを読んでからじゃないと読んではいけないやつ。
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「館シリーズ」第七作。二六〇〇枚に及ぶ巨編ミステリ。
名前の如く屋根と壁、そして家具までも黒い館、暗黒館。館の主、浦登柳士郎の息子、玄児に招待されやってきた中也、彼は館で起こる殺人事件に遭遇する。
文庫本で四冊に分けられた本作を読むのに大変、骨が折れた。何分長いので、これから読む方には覚悟して頂きたい。まあ、活字中毒の方には寧ろその逆か。
ゆっくりと時を刻んでいく物語。漠然とした違和感を抱えたまま解決編を迎えた。ああ、そんな感じなんだろうなと拍子抜けしてしまった。が、しかし読み進めていくと新しい真実に驚愕した。いつの間にか過去と現在を行き来する視点に翻弄されてしまっていたらしい。
何よりも綾辻作品らしいトリックだった。
本作は「館シリーズ」の分岐点であり、シリーズ全体の解答編でもあるだろう。「館シリーズ」には欠かせない一作だ。 -
中也君の正体、並びに不可思議な視点の謎、そして玄児の出生の秘密…
まだまだこの暗黒の館には謎が犇めいている。
最後まで読み進めても気になる事が沢山残ったまま、
まだダリアの魔性が現世にも残っているかのような余韻のある終わり方で良かったです。
特別寄稿も個人的に胸の熱くなる人選で、兎に角最後まで楽しめました。
改めて十角館等を読んでみると、また違った感慨が生まれるかもしれません。