新装版 風の武士(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758901

作品紹介・あらすじ

公儀隠密を命じられた信吾は江戸から東海道を経て熊野の秘境へ向かう。安羅井国の財宝を独り占めしようとする紀州藩の隠密、幕府のお庭番が入り乱れるなか、信吾はついに安羅井国への道程を描いた丹生津姫草紙を手に入れる。凄惨な血闘の果てにたどり着いた地で信吾が見たものは?司馬伝奇長編の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 司馬遼太郎の傑作隠密小説。スケールが壮大。
    伊賀同心、貧乏御家人の柘植信吾が、熊野の秘境、「安羅井国(やすらいこく)」を巡る大秘事に巻き込まれていきます。
    幕末という時代背景、安羅井国についての伝承も押さえられていて、リアリティーある冒険活劇になっています。司馬遼太郎と言えば精緻で立体的に時代を浮き彫りにしていくのが特徴的だと思っています。一方で、このような忍者物のように想像の部分が多くを占めるかなり読みやすいものもあります。
    柘植の冴え渡る剣技は、司馬の剣客小説や忍者小説を彷彿とさせカッコいい!安羅井国をめぐるミステリーも心を捉えて離しません。
    江戸に帰還した後の夢を見てるかのような描写も余韻があっていいし、読後感の爽快さを後押ししています。
    やはり、司馬遼太郎は最もすきな作家さんです。

  • 20201210

  • こちらもまた4日で読了し、久々に短編以外の司馬作品を約一週間で読みきった形に。

    主人公が世間離れをした行程をして下界へ戻ると幕府が過去のものになってしまっていたりと微妙に時代背景は押さえてある。そのころの史実に比較的忠実な他のいくつかの司馬作品を先に押さえていたがゆえに余裕を持って楽しめる部分がちらほら。

    シバさんはその紀行文の中で歴史学者に会う度に自身は学者ではなくてある文筆家であるに過ぎないと繰り返す傾向があるのだけれど、改めてそれを実感させてもらった次第。小説を書いているときの彼はあくまでも「いち小説家」として日本の歴史を楽しんでひも解き、それをもって自身の問いかけたかったことを見つめた結果の「ひらき」を書き残し続けていってくれたように感じる。巻末の解説文から本作の空想が出兵を控えた若き日の彼の体験に基づいたものであろうことを知ることになるのであるが、読後の爽快感と相まってこの部分がとりわけ感慨深かった。少なくとも自分は日々の体験の中から自国の歴史にからめて思うこと、感じることをこう明確には書き残せない。だからまずは彼の書き残したものを読む側としてその作品群から自分なりの解を探して見つけて拾う作業から始め、そしてそれを継続してゆきたいと改めて強く思う。

  • 三人の女性の間を、行ったり来たり揺れ動きつつ、主人公・柘植信吾の隠密道中は続く。
    畿内に入って以後、安羅井国が近づくにつれて、展開もどんどん緊迫してゆき、一気に読めてしまった。
    目的を果たし、江戸に帰還した信吾を待つ運命もまた、夢が醒めた後のようで、ラストも余韻があって良かった。
    映像化したら、今でも面白いんじゃないだろうか。

  • 16/10/19読了

  • 物語の終盤になって、やっと面白くなってきた。
    最後の種明かしは楽しめたが、司馬さんの小説にしては、登場人物の人間的魅力がちょっと少なかったように感じる。

  • 概略は省き、感想だけ。


    頑張って上下巻読んで、良かったのは壬生狼が出てきたとこくらいかなぁ(笑)
    司馬遼太郎ってこんなファンタジー小説書くんですね。といってもちゃんと読んだことあるのは燃えよ剣くらいですが。


    主人公の信吾が危なっかしいのは読むにつれて愛着がわいていきますね。

  • 司馬遼の初期作品は自分には合わないのですが、「風の武士」は読みやすかった。終わり方が良かった。

  • 梟の城、上方武士道、の次に書かれた司馬さんの初期作品の一つなのだそうです。伝奇小説。個人の歴史観に過ぎないとの批判があったとして、私は司馬先生の歴史の授業が好きで好きでたまらないのだから仕方がない。そんな生徒には、先生がパタンと教科書を閉じて、今日は面白い話をしましょうと言った特別授業のような、放課後校庭の隅の草原で聴く自由授業のような、格別の面白さです。たまりませんよ。

    それでいて読了後、磯貝勝太郎氏の解説で、歴史とはかくも面白きかなの、納得もある。

    安羅井国、国名は最後まで気にはなっていたのですが。

    柘植慎吾の居合刀術すごいです。
    お勢以、ちの、お弓、皆素敵。


    メモ
    太秦の広隆寺(秦河勝)、比奈ノ浦の大酒神社(大避、大闢)
    日猶同祖論

    ゴルドン夫人と日英文庫

  • 司馬遼太郎の初期の作品。小気味良いテンポで話が進み、一気に読んでしまいました。古代ロマン溢れ、僕は大好きです。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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