空の境界(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.82
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本棚登録 : 2363
レビュー : 190
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758925

作品紹介・あらすじ

二年間の昏睡から目覚めた両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる"直死の魔眼"。式のナイフに映る日常の世界は、非日常の世界と溶け合って存在している…!もはや伝説となった同人小説から出発し、"新伝綺"ムーブメントを打ち立てた歴史的傑作-。

感想・レビュー・書評

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  • BOOK・OFFの2100円分クーポンを使い切ろうと本棚を物色していたところ全巻見つけ購入。
    奈須きのこさんが原作のFateシリーズなどはアニメを見ていたが、小説を読むのは初めてだった。
    俯瞰風景の冒頭から始まり、時系列はまばらに展開されていく形。あまり長くない、潔い文の一つ一つに、この物語の世界観が詰めこまれている気がする。次巻が楽しみ。

  • 両儀式という先天的に特殊能力を備えた美少女は、名家の出であり、二重人格者であり、つむぎに赤い革ジャンを引っかけミッションに臨む。刃物でターゲットに立ち向かう。生を語るにしろ死を語るにしろ、ともすれば独善的に陥りがちな持論に、粘り強く合理性を持たせるやり方が採られている。

    こういった設定や文体の傾向から、評価する向きもしない向きも、その根拠を中二病に据えがちな作品だ。しかし特筆すべきはその一貫性で、ここまできたらもう「病」でなく「力」である。好きで好きで堪らない世界観を、楽しみながらも、苦しんで書いているのが伝わってくる。ぶれない。作者の注ぐパワーが漲っているから、多少引っ掛かるところがあっても、読まされてしまう。

    伝奇と新本格のハイブリットとして売り込まれたんだそうな。どう構成で魅せてくれるのか、展開が楽しみ。

  • 再読。感想は下巻を読み終わってから。

  • アニメより原作の方が好きかもしれない。アニメは再放送の編集版だったからかもしれないけど。浅上藤乃の生い立ち、こんな言葉で片付けきれないけど、悲しすぎる。

  • 空の境界
    令和1年6月11日
    空の境界と言う物語の良さが私にはわからなかった。
    所謂、同人小説の中で話題になっていたらしいものの、流行や流行りに疎い私としては、まるで全く刹那的な衝動感を現実的に感じるポストモダンの後裔と言うものがさっぱり理解できなかった。

    本作の熱心なファンには失礼な話で有るものの、タイトルの名前からして「からの境界」ではなく、「そらの境界」と思っていたほどで、ライトノベル的な青春的な響きを持つタイトルなのだなと、思っていたぐらい。

    ポストモダンの後裔で、尚且つ刹那的な衝動感を現実的に感じる様な肉薄感を文字として読む事が出来たとしても刹那的な衝動感を現実的に感じる事が分からなかったのだ。

    ポストモダンの後裔の新作家らによる作品群は「起点と結論が一致しない純文学として如何に物事が空思想であるのか?文体として読ませる立場」にあるものの、現代純文学自体が衰退し、ポストモダンが高齢化したまま勝手に空転し続けたままで、そこから先が全くなかったという時に、本作の熱心な読者にとっては都市の中での衝動的・刹那的な空虚な観念の倒錯を是とする様な新しい小説は肌身に感じる様に熱狂的に迎え入れられたであろう。

    剣道の型で日本刀が乱舞する世界に在っては、本作の主人公・両儀式が持つ高々knife程度に己を託す矮小さを恥じて、ちっぽけな存在の決してちっぽけでは無い自分自身の狂気を表わしたのだろうと思うと、それが合う人にとってはとても肌身に感じてマッチングをするのであろうと思うとき、都市の中で孤立した街露を彷徨う青少年(FtM・MtFやminority)の刹那的な気持ちが描かれている様に思える。

    ポストモダンの空虚さと言うものが、ぐっと身近に肌身に感じられる様な反動が来ていたのではないかとする時に、本作をreal timeで読んでいた愛読者は、矢張りポストモダンの立ち位置に懐疑的でもっと強い瞬発的な意思を持っていたのだろうと思う。

    拙い表現では上手く、言い表わす事の出来ない、空虚さと刹那的な衝動感を肌身に染みて文字に表わしたものである時に、読後年数が経って物事を俯瞰して考えられるようになってから初めて読後の後味を噛み締めている様なものであった。

    ライトノベル・ジュブナイル小説の体をとってはいるものの、文学史の中で行き詰ったポストモダンの立ち位置をもう一度、都市の中での孤独で単立化した自分自身を再自覚させる比較的高齢の大人の読み物である時に、本作の良さが分からなかったのは、その当時に懐古調の三島文学を読んでいたからなのかもしれない。

    「張りつめた様なリアルな空気感の現代文学」と言うものと「古典調の文学」との間には、時間と言う隔絶した壁の様なものがあって、「同人世界における共同幻想の維持」と言うものに疎かった私には、ポストモダンの後裔のその先の作者らの提唱する空思想の別文体化のそれの何処が良いのかまるで全く理解できなかった。

    都市の中で人知れず孤独に抱える人間の持つ獣性を今一度取り戻そうとした野心的な試みがポストモダンの後裔のその先である時に於いて、古典調の文学読者らとは別に現代文学の先端は別に新しい世界観を模索する為にもがいていたのだと思う。

    だからこそ、都市部の中で狂気を託する凶器は「高々knife一本」であるし、「万能なほどにknife一本に己自身を託さねばならない、追い詰められたような状況の時」に「真に肉薄して如何に物事が空であるのか?」と言う事を文体によって表現しようとしたものであるように思える。

    純文学ほど「中身が無い」と言われるのは、私達が物語調・古典調の文学に親しんできたからであって、純文学ほど空思想を別文体で表す事が出来るか?と言う課題と向き合わされている事に気が付くと、幾ら純文学と言われる様な物を読んでも肝心な中身が無い事を文章で表わしているだけのものであるので、全く以て物語の起承の帰結が無いままに中途半端に終わってしまうという事を理解できずに小説と言うムダ金を使ってしまう。

    ちっぽけなknife程度の鋭さが哀れでしかならない。
    そして、それこそが紛れも無い矮小な私達の存在そのものである時に、そのちっぽけなknifeが未来を開闢する僅かな希望でしかない。

    雑多な繁華街の露頭で猥雑な小さな情報の一つの様なものでしかない時に、それが「たかが小説、されど小説」と言うものを新しくきらりと光る様に書かれたからこそ、一部の根強いファン層がいるのも分かるというもので、空転し続けるポストモダンが齢老いて醜くなった後に、青少年にとってのrealityを伴って現れたものであるとすると、一部で評価が高いのも理解できるというものである。

    そこに於いては、現実の現実感の無さがより個々人に突き付けられる形で、世界にとっては何でもない私達にとって、世界観の中にとっての何かであると定義付け様としたのでは無いのかと思う時に、本当の面白みが見えてくるのだろうと思える。

  • 中二病を楽しむ小説

    目次
    <blockquote>「第一章 俯瞰風景」
    「第二章 殺人考察(前)」
    「第三章 痛覚残留」
    </blockquote>
    小説にビジネス本のアプローチは野暮だなと思ったので、マンガに似た、一言感想文で終わらせようと思います。

    まず、章ごとに内容がぜんぜん違います。時系列は完全にバラバラです。そして、一つの章で語られる話の流れも、訳がわからないまま一気に最後まで行ってしまいます。その上、微妙にボカされていて、スッキリしない感じがします。完全に伏線を回収しきらず、微妙に「To Be Continued」となる終わり方です。

    その上、主要な登場人物の中では一言二言で全て理解し、具体的に行動に移りますが、当然読者や主人公の彼は置いてけぼりになります。「独善的な」文体と、「やさしくない」物語の流れでしょう。

    ただ、その無茶苦茶な構成が中二病と言われる人達にとっての身近な有り様なので高評価になっているレビューもあります。逆に常識的かつ生真面目かつ中二病らの独特な文化についての理解、認識が全くない人にとっては、何がいいのか全く分からない、低評価を下しがちな作品です。

    こういった作品は、そういった嗜好性において極端な、かつ非常に限られた人達向けの小説、ということができるんじゃないでしょうか。ただ、それ以外には愉しむのではなく、こういった作品に対して「理解する」為に向き合うのならいいんじゃ無いでしょうか。
    前も述べたように、なかなか小説としては異文化の領域です。どことなく猟奇的であり、そして物語のコアを理解する事が難しい点では、異色のミステリーであると言えます。

    解説ではそのモチーフとしてのオカルト性から、「伝奇小説」としています。
    ただ、ライトノベルのような感じもする。

  • 現代オカルトファンタジー。一度は奈須先生の文章を読んでみたかったので。殺人狂の式と、それに惚れている黒桐が中心に話が進む。霊、魔術、超能力とオカルトめいた話と、人格障害、無痛症などのリアルな話が良い配分で、フィクションだが違和感を感じづらい。最初は文章の言い回しが少しくどく感じたが、慣れてくると味になる。上巻を読んでみて、表紙に使われた色のイメージ通りの本だと思った。闇の黒、夜の青、血の赤、そしてナイフの銀色。たぶんこの巻は登場人物の顔見せに過ぎないのだろう。次巻が気になる。

  • <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=336497

  • いわゆるラノベというよりは、アクやクセが少なくて読みやすい。ウンチクを散りばめつつ、描写もキャラのお芝居もかっこつけてるなぁという感じはする。
    文章がくどいと感じたところがいくつか。物語は楽しくはないし読後感も良くはない。しかし、さくさく読める。中、下巻も入手したので先も読んでみます。

  • 読み方が「からのきょうかい」だとは思わなかった…
    そして長い長編なのかなと思ったら、各一つの事件を巡って展開する短編形式で話が進んでいく感じだった。アニメ向きな感じがする。
    京極夏彦とか西尾維新タイプの、中二的なかっこよさがある文章。詭弁と言葉の歪み方に深さが足りない気がするけれど、後半は勢いがついて面白くなってきた。黒桐くんが、人の良い男の子なのか、頼れる先輩タイプなのか、クールタイプなのか、いまいちキャラが掴めてないので中巻に期待。

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著者プロフィール

ゲームシナリオライター・小説家。ノーツ所属。シナリオを手がけた主なゲームに『月姫』『Fate/stay night』『Fate/hollow ataraxia』など。小説作品には『空の境界』『DDD』『月の珊瑚』などがある。

「2020年 『空の境界 the Garden of sinners(10)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奈須きのこの作品

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