φは壊れたね (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062758987

作品紹介・あらすじ

その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「φは壊れたね」。これは挑戦なのか?N大のスーパー大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。Gシリーズ、待望の文庫版スタート。

感想・レビュー・書評

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  • 趣味の悪い装飾が施されたシンナーの匂い蔓延るジャンキーな室内にて、ある芸大生がY字型に吊るされた状態で発見された。身体には造形物の折れた翼。その翼で隠れた胸元に刺さるナイフ、服を染め上げ床に滴る血液。
    何と芸術的な死体だろう。

    現場の下の階に住む友人宅に遊びに来ていた山吹早月は、友人が大家代理を務めていた経緯で発見者である被害者の同級生に合鍵を渡す事となり、事件に巻き込まれる。その後死体発見までの過程がビデオに収められていた事実を含め現場は完全な密室である事が証明された。そのビデオのタイトルが「Φは壊れたね」である。...Φって何だっけ(高卒)
    ーーーーーーーーーーー

    山吹を中心になんとも魅力的で個性的でクレイジーな仲間達が私を魅了してくれたので、考察を忘れ純粋に文章を楽しんでいた。最初こそ脱線気味の彼等の会話に違和感を感じていたが、私が学生の時もこんなもんだったなと、揚げ足までいかずとも何かと笑いに変えたがるお年頃だったなと妙な愛着が湧く。

    シリーズの初手として、キャラの押し出し方が匠の技術だ。ぐいぐい前に割り込む物が一人もいない。密室のトリックも理にかなっているし、何より事件の真相を語る山吹の親友、だんまり海月及介くんが1行以上話し出す後半はなんだか彼に心を開いてもらった様な気がして喜びニヤつきながら読み進めていた。「変人、読書をするの図」の出来上がりだ。

    さて、ニヤニヤを経て真相を知ると疑問に出るのは被害者の意図だ。仔細語るべからずとなるがここだけは未だに首がすわらない。ついでに探偵と隣人の存在が不可解だったが、これはシリーズ物と言うだけで妙な希望を抱いてしまう。見当違いかもしれないが今後の細やかな楽しみにしたいと思う。
    ーーーーーーーーーーーーーー

    「ものを見た時人間はそのものを限定して思考する。関係のあることだけが背景ではない。」
    なんとも哲学的な言葉だが、死角を的確に表現したミステリの醍醐味をサクッと2行に収める海月くん。そんな彼のファンになった事は、言うまでもないだろう。勿論脳内イケメン補正がかかる。(不純)

  • おもしろかった。
    コミカルな登場人物と、テンポ良い文体で、一気に読んでしまいました。S&Mシリーズのキャラクタも登場して、嬉しいです。

  • ボリュームもちょうどよく、とても読みやすく3日で読了。森博嗣作品、2作目。知ってる登場人物が出てきて、嬉しくなった。
    トリック自体はそこまで驚きはしなかったが、個人的には好きな一冊。

  • 『密室の中でYの字に浮遊する死体の謎を解く』

    友人のマンションを訪ねたことで、密室殺人事件に巻き込まれた山吹。大学院生 西之園萌絵らとともに事件の謎を解く。Gシリーズ11冊中、9冊をブックオフで発見し、即、大人買い!この後も楽しみなシリーズです!

  • 背中に作りものの翼をつけてYの字に吊るされた男性の死体。部屋は密室状態で、その密室の一部始終を記録したビデオテープのラベルには「φは壊れたね」の文字が。Gシリーズ第1作。

  • Gシリーズ#1。未読のシリーズだったのだけれど、外出先で手持ちの本がなくなり、ついに手をだしてしまった。シリーズはあと10冊ある。。
    海月君のことを知りたくなる出だしの1冊。

  • 『タイトル』

    森博嗣を読むと、なんだか同人作品を読まされているような気分になる。キャラクターが目立ちすぎて、背景が真っ白くて、よく喋るけどよく語られはしない。

    作品の為に命を投げ出すことが動機であるならば、あまりに美しくない。宙に吊るされた天使が女にナイフを突き刺されて死ぬ事が作品なのかと思ったのだけど、ビデオテープに録画された物が作品だとしたら、女のクソつまらない演技も山吹すらも作品になるのではないかと。あくまでも海月の推理しか書かれていないから事実はわからないままだが、運やタイミングがズレたら全く成立しない稚拙な犯行に思える。

    そもそも○○シリーズみたいなの、あんまり好きじゃないからな。好みの話で申し訳ないデス。まあ、御本人様も商業作家だと仰ってるから的外れには変わりないけれど。

  • 既読

  • Gシリーズ一作目。あっさりと読めます。
    キャラと会話は相変わらずとても好き。
    犀川先生にはもっと出てきて欲しい…。

    トリックとかストーリー自体は、今回はあっさりし過ぎて微妙かなと思ったけど、でも今後の展開が気になる!

    かちん。
    可愛いな。

  • ついに読み始めました!Gシリーズ!
    春休みになったから、シリーズもの読み倒します。

    S&Mシリーズから変わらず、キレッキレの文章。精密に組み上げられた構成、本文の端々に垣間見える繊細さと哲学。
    早く続き読みたいです。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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