完全版 年金大崩壊 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062759106

感想・レビュー・書評

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  • 日本の公的年金制度の問題点についてのレポート・ノンフィクション。
    日本の公的年金制度は、いわゆる「年金官僚」によって、その掛け金(保険料)を彼らの利益のために使われているというのが筆者の主張であり、その具体的な内容についてレポートしたものである。「年金官僚」たちが、自分たちの利益のために使う方法は、例えば、年金掛け金で一般的には役に立たない、無駄な施設や組織を作り、将来の年金官僚の天下り先を確保する等である。これが事実だとすれば(おそらく、かなりの部分は事実だろうという印象を持つが)、とんでもないことだと思わせる内容だ。
    取材・調査は、基本的には各種文献・資料、および、インタビューによってなされているが、筆者の取材力と、この取材・調査に割いたであろう労力と時間に脱帽する。
    この問題を解決するには、年金制度およびその運用に係る全ての情報を、分かりやすい形でガラス張りにすることが必要、と筆者は提言している。それはその通りだと思うし、なお、それに加えて、そういった情報をもとに内容を監査・監督する独立機関も必要なのだろうと思う。
    本書(文庫版)は、2007年に発行されている。今から15年以上前の話である。2000年代前半には、年金記録データが消える、あるいは、国会議員が保険料を未納である、等、年金制度の信頼性を損なうような出来事が多発していた。そこに切れ味鋭くメスを入れたのが本書ということになるだろう。懸念事項は、では、15年後の現在、こういったことはどの程度、改善されているのだろうか?ということだ。是非、「続編」を読んでみたい。

  • 古本屋へ

  • 年金に群がる連中の不正・腐敗を丹念に検証する。ムカついて、最後まで読めませんでした。

  • 2008年8冊目

  • 年金という巨大なマネーを管理する組織は、日銀に匹敵するのではないかと思う。
    その巨大な利権に巣食う輩はさぞかし多いだろう。
    2008/01/02

  • 2004年以降、社会保険庁の不祥事や元職員の犯行が相次いで発覚し、社会から批判が集中。昨年の参議院選挙で、自民党が歴史的大敗となった最大の要因とされた年金問題が、本当によくわかる本。

    2003年9月に刊行された書に大幅加筆・改編されたものだそうで、最近のマスコミを通して何度も聞かされたお話ですが、これだけずっしりと、まとまった書になって改めて思うに、やつらの悪事もひどかったし、ここまでのさばらせてきた政治家や国民性の問題は、どげんとせんといかん、、、と思った次第。

    (2008/2/16)

  • とにかく強制加入の年金システムへの依存度を減らすしか解決策はないと10年以上前から思ってきたが、それを確信に変える本である。厚生年金の方が手厚いセーフティネットというイメージがあるが、むしろ多くを搾取される道具になっているととらえる方が実態に近いかもしれない。国民年金は、頼りがいはないが、掛金が少ない分だけ被害が少ないと割り切り、自己責任に基づく戦略を独自に進める方が正解のような気がする。国外移住もまじめに考えようという気にもなってくる書籍だ。

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著者プロフィール

1955年、和歌山県生まれ。ジャーナリスト。2004年、『年金大崩壊』『年金の悲劇』(ともに講談社)により講談社ノンフィクション賞を受賞。同年「文藝春秋」に掲載した「伏魔殿 社会保険庁を解体せよ」で文藝春秋読者賞を受賞。2020年『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』(講談社)によって日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。
他の著書に、『われ万死に値す ドキュメント竹下登』『血族の王 松下幸之助とナショナルの世紀』(ともに新潮社)、『新聞が面白くない理由』『ドキュメント パナソニック人事抗争史』(ともに講談社)などがある。

「2021年 『キツネ目 グリコ森永事件全真相』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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