十二歳 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 391
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062759281

作品紹介・あらすじ

あの頃のこと、憶えていますか?
おとなになるってムズカシイ。私も「何かになれる」んだろうか。
第42回講談社児童文学新人賞受賞作

鈴木さえは小学6年生。ポートボールが大好きで友だちもいっぱいいる楽しい毎日だったはずなのに、突然何かがずれ始めた。頭と身体がちぐはぐで何だか自分が自分でないみたいな気がする。こんな私でも大人になったら、みんなが言うように「何かになれる」んだろうか?

感想・レビュー・書評

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  • 当時の12歳と今の12歳ではかなりの違いがありそうだが、著者の年齢に近いこともあり共感するシーンが多数。海も山もある小田原の風景が浮かんでくる(河川敷グラウンド(酒匂川スポーツ広場だっけ?))。
    夏休みに海で足が着かなくなるシーンでなぜかじーんとした。あの頃を色々と思い出させてくれてほっこりする一冊。

  • 自分の感性を押し出すために書いてるな〜って感じで、本当の読者(小学生)に向けて書いたんじゃない感じはする。でも、独特の繊細な感受性から紡がれる言葉には文学的な喜びを感じられる要素があるように思います。お姉ちゃんがお尻をふいてくれたのどうのというエピソードが印象的だった。

  • 椰月美智子のデビュー作、小学6年生のもやもやした気持ちを瑞々しい文章で綴った珠玉の小品。何だか分からないけど涙が止まらない少女の気持ちを丁寧に描いていて、大人になって「忘れてしまっているだろう?」と問われている気がした。

    • turlincoさん
      また買って読んでしまった、既読の記憶がない。
      また買って読んでしまった、既読の記憶がない。
      2024/03/05
  • 【本の内容】
    鈴木さえは小学6年生。

    ポートボールが大好きで友だちもいっぱいいる楽しい毎日だったはずなのに、突然何かがずれ始めた。

    頭と身体がちぐはぐで何だか自分が自分でないみたいな気がする。

    こんな私でも大人になったら、みんなが言うように「何かになれる」んだろうか?

    第42回講談社児童文学新人賞受賞作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    大人でもなく、まるっきりの子どもでもない(と自分では思っている)12歳、小学校6年生の女の子が主人公。

    水泳もピアノも絵もポートボール(懐かしい!)も少しかじってある程度できるようになると興味を失ってやめてしまう、器用貧乏な私。

    「私もなにかになれるのかな?」なんて、12歳でその悩みは早すぎるだろ!!

    そういう思春期の悩みは受験が始まる中学生や趣味や夢での挫折を味わう高校生になってからじゃないの?と違和感だらけ。

    ところが、絵が上手なクラスメイトの女の子の、課題で描いた絵を見て気づいてしまう。

    ただ絵が好きな私とこんなにすごい絵が描けるこの子とは決定的に違うんだ…。

    最後のほうは文字通り教科書的で、お利口な自分探しになってしまっていてあまり好みではなかったのだが、このエピソードにとてもはっとさせられ、ここが読めただけでも、本当に読んでよかったと思う。

    あさのあつこ、森絵都、佐藤多佳子…と児童文学出身で好きな作家は多い。

    ぜひ一般向けの物語も書いてほしいと思う。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • #読了。講談社児童文学新人賞受賞作。「何かになれるんだろうか?」大人への入り口で戸惑う小学6年生の女の子の物語。ちょうど読む本が途切れてしまい、小学6年の娘に借りて読んだ。未来の自分に向かって質問を落書き的にするところは良かった。あれは、大人になっても出来ることだな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「大人になっても出来ることだな」
      そう言えば、子ども向きの話のように思えなかったなぁ、、、どうしてだろう?
      椰月美智子の書いた「しずかな日々...
      「大人になっても出来ることだな」
      そう言えば、子ども向きの話のように思えなかったなぁ、、、どうしてだろう?
      椰月美智子の書いた「しずかな日々」は結構好きです。
      2012/08/22
  • 後半どうしても感覚的に折り合えないところがあり、それはちょっと強引、と思ったので★ふたつ。そっちにもっていこう、っていうのが見えてしまうとやっぱり物語としてはおもしろくない。

  • 2023.10.29
    女性の思春期って感じ。
    女性向けだと思う。

  • まだまだ小さいと思っていた、わたしの娘。
    12歳がだんだん迫ってきて、ときに難しくなってきた。
    はて、12歳とはどんなことを考えていたっけ? と思い手に取った本作。
    実際には娘も読めるように青い鳥文庫版を手に取りました。

    椰月美智子さんは初めて。
    本作はデビュー作にあたるようで、確かにところどころかなり荒いが別の話も読んでみたいなあと思わせる筆力を感じた。
    けれどやはり気になるところはいつまでも気になってしまい、特に途中から作者が前面に出てきて「さえ」を使って昔語りを始めてしまうような近さがこの本の根幹が語られていく場面で出てくるので、残念ながら大事なところで集中力が切れてしまった。

    それでも、色んなことがジェットコースターのようにめまぐるしく過ぎ去っていったのに、あるものについてはいつまでも濃く、アンバランスで危うくて、ダサくてイタい……でもそういうものこそ今の自分のベースになっているあの貴重な時間のことを「人間離れ」するさえを見ながら思い出した。

    身体の変化や思想の変化、あんなに近いと思っていた友達と自分との間に横たわる相容れない距離、不意に顔を上げたときの世界と自分との間にある果てしなさ、それでも自分は何者かになれるだろうという楽観と、そうかと思えば深淵の前で背中をトンと押されるかのようなあの急転直下の絶望と。
    あるいは、どんなことにも自分の想像を超える努力や継続が必要なのだ(あるいは”だったのだ”)という当たり前の、だが天井ごと落ちてくるような避けきれない事実に直面したときのやさぐれ感。などなど。


    さて、本作は「さえ」の抱えるこころの靄がラストまでハッキリと分かりやすく晴れることはない。
    「ああ! もう少しで思い出せそう……!」というときのような歯痒い描写であれこれ描かれていたと思えば、ラストでは勝手に自分の中で解決してしまったようで、読者であるわたしを置いて晴れ晴れと小学校を卒業してしまったので読後は寂しかった。

    いや、実際には「さえ」の心の中で何が起こり、どう解決したのかは書かれてはいるのだがそれがあまりにも作者の個人的な実感に基づきすぎている気がしてしまい気になるのだ。
    作者がいかに12歳の自分に戻って書いたとて、本当の12歳になれたわけでない。
    そしてまた、12歳を思い出すつもりで読むわたしもいい大人で、どれだけ没頭しても決して本当の12歳にはなれない。
    分かっている。
    だが、そうだとしてももしわたしが12歳でこの本を手にしていたら、「さえ」が短いページ数の中で、最後は駆け足で箇条書きのようなスピード感で解決してしまった(あるいは自分の中で落としどころを見つけてすっきりしてしまった)ことにとても裏切られたような気持ちになってしまうかもしれないなあと思ったのでした。
    いやいや、救われる12歳もいるのだろうから、わたしに合わなかったというだけのことです。
    なのでいつまでも大人の作者の姿を透けて見てしまうのをやめられなかったのが申し訳なかったです。

    でも児童文学面白いなあ。
    大人でも夢中になれるカテゴリーなのですね……!(目から鱗)

  • 第42回講談社児童文学新人賞受賞作

    「あの頃のこと、憶えていますか?
    おとなになるってムズカシイ。私も「何かになれる」んだろうか。
    鈴木さえは小学6年生。ポートボールが大好きで友だちもいっぱいいる楽しい毎日だったはずなのに、突然何かがずれ始めた。頭と身体がちぐはぐで何だか自分が自分でないみたいな気がする。こんな私でも大人になったら、みんなが言うように「何かになれる」んだろうか?」

  • 椰月さん2冊目の本。(私にとって)

    「何か」になれるのか
    という不安を、25歳である自分は今大きく抱えていて、
    でも、この本の12歳の主人公も同じで、
    なんだか少しほっとした気がする。

  • 表紙なんだろう。物語にそうなら浮き輪があるべき。
    小田原の話。

  • 読んでいる途中は少し肌に合っていない、なんだかしっくりこないイメージがしていました。ですが、今思えばそれも12歳という不安定な時期の描写の一つでは無いかと、自分自身で納得しています。

  • さえやみどりやカナはこれからどんな大人になるのかなぁ。きっと面影を残しながらもきれいな女性になっていくんだと思う。西田をはじめ男の子たちは面影どころかそのままで、大人というよりもただの大きな人になってるんじゃないかな。男って大人になってもずっとばかなままなんじゃないかな。遊び方も規模こそ大きくなったりするけど根本はあまり変わってない気がする。
    少なくとも小学6年生のさえが考えたり悩んだことを同じ小学6年生の男の子がするとは思えない。というかずっと追いつかないようになっているような気もする。
    そんなさえがお父さんと好きなものが似ているのが面白い。そういうときはふたりは共犯者になって愉快な方法で楽しむって、娘がいる父親なら羨ましくて仕方ない。

  • 解説:藤田香織、講談社児童文学新人賞、本の雑誌2008文庫ベスト10第6位

  • 12歳の一年間の話し。
    そんなこともあったな〜と懐かしい気持ちに浸れた。
    包帯に憧れ…自分もそんな事あったな〜

  • 凄く劇的に何かが起こるわけでもなく、ありがちな12歳の日常を描いている。読んでて共感出来ることも、懐かしく思うことも多かった。日々の暮らしを一生懸命頑張ろうみたいな。

  • さえちゃんは友達にも恵まれて毎日楽しい。ポートボールの代表選手にも選ばれて頑張っている。絵が綺麗に書ける友達に憧れたり。好きな先生が担任では無くなって悲しかったり。脚を怪我したり。色々な事が有るけれど私は元気です。

    本当に何という事の無い日常で、さえちゃんは勉強もそこそこ、運動も得意、ピアノもそこそこ弾ける。総合すると結構ハイスペックな小学生。それで悩まれても暗黒の少年時代を通過したarinko少年の心には響きませんでした。
    「しずかな日々」があまりにも素晴らしかったのでとても期待してしまいました。もしかしたら女性の方が分かるのだろうか?

  • ポートボールに馬乗り、懐かしい。自分も小学生時代に良くやった。十二歳の時の記憶が色々と蘇ってくる。作者さんと同じ歳なので小学生時代はだいぶ昔になってしまったけど、あの頃はあの頃でいい時だったのなぁと思い出させてくれました。主人公がおばあちゃんにいつの時代が良かったか?と質問し、今、と答えていたけど確かに自分も今と答えるよなぁと妙に共感した。

  • 共感できた。

  • 頭と体が分離してる感じ・・・・私も覚えがあるなあ。
    リアルな日常を描いているだけなのにこんなに読ませるってすごい。
    時折出てくる頭痛にちょっとドキドキしながら読みました。
    えー、病気で死んじゃうタイプの話~?なんて。

  • 女の子の十二歳は、男の子の十二歳とは違う。確実に。
    6年生の娘も息子もいる自分には、それが手に取るようにわかる。
    主人公・さえちゃんの“自分が自分でないような感覚”(彼女はそれを「人間離れ」と表現した)。この時期にたぶん特有の不安定さは、乗り越えられるものでも目をそらせるものでもなく、しばらくはこれと付かず離れずの関係を保ちつつ、成長していくのかもしれない。
    十二歳の日々のささいな出来事や学校行事を通して、揺れる女の子の心情がとても繊細に、丁寧に描かれていた。

  • 著者の"しずかな日々"を先に既読。"しずかな~"は男の子、今刊は六年生女子・さえちゃん。学校行事での出来事を軸に進む一年は、さすがっ!、女子!!…多感さが煌めきを増す。二冊とも、大人目線の懐かしさぶりに変に媚びない"サラサラ感"が好きだな♪

  • ざっくりと、わたしはこのように感じました。

    今を精いっぱい生きるのが大事というはなし。

    どんなにつらく、もどかしい人生だとしても、
    どんなにややこしく、厳しい世の中だとしても、
    どんなに昔が良くても、
    過去が過去であると実感しうる限りは、
    地に足をつけて、今を受け止め、前を向こうというはなし。

  • しずかな日々が良かっただけに、少し残念な気持ち。不安定な時期の気持ちがうまくとらえられているとは思う。こんなときにこそ、オフジと感想を言い合いたい。

  • 大人でもなく、子どもでもない、そんな危ういお年頃。

    十二歳のときの自分がどんな子だったか。さえみたいに、「人間離れ」はしなかったけど、色々と渦巻いていた。何も感じなかった子どもの頃には戻れないし、しっかりと固まって大人になるのはもう少し先。十二歳は特別な年頃だ。それが、小学校を卒業する年齢というのも何か面白い。

    家族や友達、先生やクラスメートのちょっとしたことが、細々と書いてある。そういうなんでもない気付きが、この小説の魅力。

  • 【あらすじ】
    鈴木さえは小学6年生。
    ポートボールが大好きで友だちもいっぱいいる楽しい毎日だったはずなのに、突然何かがずれ始めた。
    頭と身体がちぐはぐで何だか自分が自分でないみたいな気がする。こ
    んな私でも大人になったら、みんなが言うように「何かになれる」んだろうか?
    第42回講談社児童文学新人賞受賞作。

  • 高学年向け。個人的には好きではない。けれどよく国語の文章問題で出てくる作品。年頃の女子の葛藤。

  • ”第42回講談社児童文学新人賞を受賞”
    なるほどー。

  • 2013/05/17

  • 自分が12歳の時を思い出しながら読んだ。ポートボールとか懐かしい。同窓会でそんなことを話したかも(笑)。12歳の頃なら共感できたかもしれない。今だとあまり共感できないかな。少し冷めた目で物語を読んでいた。大人になったってこと?これは児童書?

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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