ウェディング・ドレス (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 458
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062759724

感想・レビュー・書評

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  • メフィスト賞受賞作品。
    キワモノかと思ったけど、意外と正統派ミステリーだった。あっという間に読み終えて、それまでモヤモヤしていたことが、きちんと繋がるのは醍醐味。ただ、同じような顔の人が何人も出てきたり、やたら大仕掛けなトリックだったり、ちょっと都合良すぎ?と思える面も。

    男女それぞれの話が交互の章で語られる。それぞれ素敵な2人だったと思っていたのに、結婚式を境に離れ離れになり別の時空で生きてるかのように相手に出会えない。その前の雑談でパラレルワールドの存在を話していたこともあり、ミスリードを招く。今まで一緒にいた相手は本当の姿だったのか?お互いがお互いを探して見つけられず、当初の幸せだった頃の人物像からかけ離れてく。誰が悪で何が2人を遠ざけてるのか、結末まで目が離せなかった。

  • とにかく滅茶苦茶だった。あからさますぎる「ユウ君」呼びと先の読めない展開にワクワクするというより疲れてしまった。本当に最後ちゃんと収まるんだろうかと不安になりながら読んだが、収まっているといえば収まっているが、滅茶苦茶だった。顔似てる奴どんだけいるんだっていう。そして悪魔の館のトリックはひどすぎる。

  • 黒田研二のデビュー作であり,メフィスト賞の受賞作。「私」という女性視点と,「僕」という男性視点から描かれる男と女の出会いから結婚までのエピソードと,結婚式の直前に発生する悲劇。そして,「私」の章と「僕」の章で描かれている内容が少しずつずれてくる。
    プロットは,よくある時間のズレを利用した叙述トリックである。「私」の章で描かれているのは,「僕」の章で描かれているより1年前の話であり,「私」の章の主人公である祥子を襲ったのは,祥子が1年前に結婚しようとしていたフィアンセである三笠勇紀だった。
    祥子は,勝田という小説家の隠し子であり,勝田が祥子の母がウェディングドレスに残した秘密を隠すために,三笠勇紀を利用して祥子を襲う。祥子はその復讐のために,一年後に「僕」を罠にハメる。
    叙述トリックとしては,ややことば足らずの部分があり,よくできていると感心させるより,純粋にオチで驚かせようという感じの作品である。
    登場人物の性格の悪さは好み。黒田研二の作品は,基本的に一癖も二癖もある人物が出てくるのがたまらない。
    なお,建物の中が回転していたので,既に死亡していた死体が動いたと感じたという,アリバイ工作に使われた物理トリックはバカミスっぽくて結構好き。とはいえ,全体的に見ると,評価は★3くらいになるかな。

  • 2015年10月24日読了。
    2015年175冊目。

  • メフィスト賞受賞作。
    結婚式当日、何者かに襲われた祥子。
    トリック自体は好きなタイプのものだか、ある程度は予想がつくのと扱ってる題材が堪え難いので星3つ。
    (図書館)

  • 初読みの作家さん、ブクログでフォロワーさんの評価が高く興味を持った。今作が処女作でメフィスト賞を受賞している。以下ネタバレになりますのでご注意ください。







    序盤から人称変化による叙述トリックの匂いがプンプンしている。恋人同士の男女がそれぞれ交互に出来事を紡いでいくのだが、二人の行動、出来事に微妙な差異があり、事件勃発時には全く異なる事象が展開される。このへんで時系列誤認のトリックが想起される。この展開は過去の読書歴からして驚くことではなく、どのように騙してくれるのか?そう簡単には…などと余裕もあったりしたのだが…


    中盤以降二人が離れ離れとなっていくにつれ、事象に関わる人物が多く登場するのと、二人に起こった事件があまりにも違い過ぎる故、これは作中作のあるメタ構造では?とも思えた。これは大きな勘違いであったが…さらに殺人事件における密室まで登場してしまい、これは収集つくのか?どうやってまとめるのだ?と疑問に思うのだが、離れていた二人が再開することによって、かつてなかったほどの大量のパズルピースが、すべてハマり二重三重のどんでん返しが展開される。よくぞこれをまとめあげたな!という読後感を得た。これは物語の出来云々ではなく、作者の努力を称えたいという種類のものである。


    詰め込み過ぎなカンジもする、強引さもあったかもしれない。ただ時系列や人称変化によるトリックはすでに20~30年も前に折原一、中町信らによって描かれているではないか!これだけではダメじゃないか。もっともっとやってやろう、という黒田氏の気概を大いにに感じたのだ。個人的に特筆事項は、密室殺人に物理的仕掛けまで取り入れてきたことだ。一歩間違えばバカミスになりかねなく、実際どうなの?と突っ込まれかねないが、それを押し込んでまとめ上げた努力を大いに称えたいと思う。

    好き嫌いの分かれる作風だし作家さんだと思う、が自分は大いに気に入った。他の作品も読んでみようと思う。

  • ユウ君との結婚が決まり、幸せの絶頂だったはずの祥子。しかし、その結婚式の当日、祥子はウェディングドレス姿のまま何者かに拉致され凌辱されてしまう。さらに、ユウ君は事故で亡くなったことを知る。
    一方、遅れて教会に到着したユウ君は、ズタズタに引き裂かれたウェディングドレスを見つける。それ以降、祥子は失踪してしまう。
    以後、祥子視点のパートとユウ君視点のパートが交互に展開し、複数の事件が絡み合う真相が明らかになる。

    メフィスト賞には当たり外れがあるからとあまり期待せずに読み始めたのだが、実に面白かった。時制と人物錯誤のトリック、というところまでは途中で気づくのだが、それ以上のこと、二重三重の人物誤認トリックと肝心の黒幕の正体、動機などにはなかなか気づけないだろう。

    細かいところにツッコミを入れれば色々とあり得ないことはあるのだが(心理描写とか、藍田麻美殺害の方法とか…でも、これもこれで面白かったけれど)、それを差し引いてもよくできていると思う。

  • ちょっと現実味の薄いお話だと感じてしまって、もうひとつお話に入りこめなかった。
    途中は結構面白かったんだけど、読後感はイマイチ。
    個人的にこういう叙述トリックは好きじゃないからかも。

  • ???

  • ズレて戻る感じがいい

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著者プロフィール

黒田研二(くろだ けんじ)
はじめに(前半)
第1 章 こころの病とリカバリー──回復を阻害するものの克服──
関西大学名誉教授、大阪府立大学名誉教授、西九州大学教授 医学博士
専門は社会医学、社会福祉学、公衆衛生学。精神疾患、難病、認知症をもつ人々や要介護
高齢者の支援に関する研究を継続している。
【著書・業績】
『地域包括支援体制のいま──保健・医療・福祉が進める地域づくり』(編著)ミネルヴァ書房,2020 年
『学生のための医療概論(第4 版)』(共編著)医学書院,2020 年
『高齢者福祉概説(第4 版)』(共編著)明石書店,2014 年 など

「2021年 『ポスト・ソーシャル時代の福祉実践』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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