モロッコ水晶の謎 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062759885

作品紹介・あらすじ

とある社長邸のパーティに招かれた推理作家・有栖川の目前で毒殺事件が発生!邸内にいた10人の中でグラスに毒物を混入できたのは誰か、そして動機は…。犯罪学者・火村が超絶論理で謎に挑む表題作ほか「助教授の身代金」「ABCキラー」「推理合戦」を収録。本格推理の醍醐味に満ちた"国名シリーズ"第8弾。

感想・レビュー・書評

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  • 『助教授の身代金』はタイトルを読んで、まさか火村先生が誘拐される?!と思ってしまった。
    あとがきにある通り、まんまとタイトルにミスリードされちゃった(笑)
    火村先生の推理では、あの部分でそこまで推測していたのかと、改めて観察眼に脱帽。
    他の作品も面白かった!
    掌編の『推理合戦』はすごく平和で和む。
    友人二人の推理に負けじと意地になって行動するアリスが可愛かった!

  • タイトルになっている〝モロッコ水晶の謎〟をはじめ、予言(予告)モノを集めたのかな?という印象。読後すっきりではないのだけれど、実際は割り切れないことの方が多く現実ってこんなものかも…と逆にリアリティを感じた。

    中篇3篇の中にある超短篇〝推理合戦〟も面白かった。
    著者もあとがきで触れられているが、こういう箸休めのソルベみたいなのも好み!

  • 国名シリーズ8作目らしい。中編3作、短篇の推理合戦の4作品。題名はこじつけでない事を願いつつ、なぜこの表題にしたのかを意識しながら読んでいく。

    助教授の身代金:助教授といっても火村ではない。真犯人の動機が解決を遅らせる。普段何気ない言動を記憶している火村、それが解決へと誘う。

    ABCキラー:アガサのABC殺人事件を倣っているのだろうか?警察に届いた手紙を書いた者、殺人犯、被害者が複数入り乱れ、より複雑になっている。そこが読み応えがある。

    モロッコ水晶の謎:表題作、やはりこじつけか?例えとしてモロッコの路地が迷路のようで、推理の行き詰まりを表現しているというのは無理がある。水晶もモロッコ産ではない。作中の表現で、人は親しい友人に打ち明け話をするのではない。通りすがりの人に人生の重さを語るというような表現はよくわかる。

    間に推理合戦という短篇がある。箸休めだそうだ。焼き鳥が食べたくなった。

  • '22年6月28日、聴き終えました。Amazon audibleで。確か、紙の本で、2〜3回、読んでいるはず。

    シリーズ中の中編&掌編としては、かなり本格色が色濃い、と思っていて…大好きです(まあ、全部好きですが)。

    「助教授の身代金」…初読み時は、一番好きだったかな…有栖川さんの小説としては、かなりアクロバティックだな、と感じました。で…シビれた!

    「ABCキラー」…う〜ん…素晴らしい!犯人の仕掛けに、唸りました。

    「推理合戦」…他の有栖川ファンには怒られるかもしれませんが…audibleで改めて聴いて、これが一番好きになったかも!ハハハ!

    「モロッコ水晶の謎」…これも、結末はかなりあっけにとられました。そりゃあ、さすがの火村も、苦戦するワな┐(´д`)┌そして、エンディングの、美しさ!

    audibleで改めて体験して…有栖川有栖さんに、またもガッツリハマってます!次も!!!

  • 作家アリスの国名シリーズ8作目。
    4作品からなる中編小説。
    個人的にこれぞ!っていう作品がなかった。
    すっきりせず終わってしましました。

  • 超短いけど、『推理合戦』がすき。シンプルだけどまとまりつつオチもいい。

  • 長編から読んでいたので、初短編。まさしくフィールドワークが読めて面白い。事件が起きるまで焦ったいって事も無いし、サクサク読める。お口直しのシャーベット「推理合戦」もなるほどねっと軽くて好き。

  • 予言がテーマの短編集。

    表題作の前に差し込まれている「推理合戦」が好き。掌編だからすぐ読めちゃうんだけど、ちゃんとアリスが推理してて好き。
    というか、朝井さんと火村先生に対抗して現場までいっちゃうアリスが可愛い。
    この話のために買っても惜しくない(笑)

    「助教授の身代金」は昨今の誘拐事件事情(?)がよく分かる。この事件では誘拐というか、なんというか、真犯人の歪んだ愛と性癖の結果というか…。
    犯人は怖かっただろうな、全然意味がわからなくて。

    「ABCキラー」はドラマ特別編の記憶朧気にありながら読んだ。予告状の犯人が一番不気味。そいつも捕まえて欲しいよ火村先生。

    そして表題作。
    予言の裏の切ない想いが引き起こした殺人事件。
    占いという曖昧模糊のものを根底としながら、あくまで推理は論理的。
    げに不可思議は人の信じる思いかな。
    そしてこの話の見所は、アリスが火村先生との想い出を第三者に話してたら1時間も過ぎたという点ではないかと思うのです。その直前の火村先生の悩みへの想いの部分も捨てがたいけどね。

  • 短編集。「ABCキラー」、あの脅迫状で引き込まれて、期待していたので、ちょっと肩透かし。
    表題作もなんだかいまひとつ。犯人は意外だったけど、トリック、動機もはっきりしない。ああ、所詮フィクションか、と思った。
    どうも全体的に淡々としてる。のめり込めなかったな。「推理合戦」がなかったらあまり手に取ることはないかも。有栖川氏の短編はさらっと読めていいけど、甘いよね。

  • 急に『作家アリスシリーズ』が読みたくなったので、読んでいた本を全て中断して積読から中編集を。急に「あの作品読みたい!」ってなることありますよね( ある…よね…? )

    表題作の『モロッコ水晶の謎』は賛否両論ありそうだなぁと思いつつ、私は「あり」でした。占いとか心理テストとか信じてないふりをしつつ信じてしまう単純だから、( 'ω')ヒェッとなりながら読みました。

    所々に現実で起きた事件の名前も。即調べて( 調べなくても説明してくれています )みたり。『助教授の身代金』と『ABCキラー』は映像化したような記憶があるので、久しぶりに『犯罪心理学者 火村英生の推理』が観たくなりました。

    どの結末も全く想像していなかったので驚きの連続で、楽しかったです!やっぱり火村とアリスの会話に癒される…。
    でも『推理合戦』が1番面白かったです。

  • 表題作の展開が予想外すぎて二度見した。
    水晶占いという神秘的な要素を扱っていても推理はあくまで論理的。
    読んだ直後はまさか!と驚いたけど、実際信じる気持ちがあらゆるものを超越することってあるもんなあ。
    あとの3作品もなかなか楽しませてくれる。
    一番好きなのは推理合戦。

  •  「臨床犯罪学者 火村英生の推理2019」をケーブルTVで録画した。視聴に先立って原作を読むべく「ABCキラー」収録の本書を借りる。
     お目当ての「ABC〜」、オマージュ先の「ABC殺人事件」を児童向けリライトで読んだきりなのだが、原典にひねりを加えて藍より青し。なお、死体の移動などチカラ仕事が要る場合、容疑者をそのように描写していることに気づく。「狩人の悪夢」でもその点フェアプレーだった。
     表題作「モロッコ水晶の謎」、一種の心理的トリックか? 横溝正史のアレでは、犯人の異常な潔癖さが犯行動機に繋がる。松本清張のアレでは、被害者が度を越した善人ゆえに殺される。それら先駆作品を思い出した。

  • ここのところ作家アリスシリーズを集中的に読んだのは、ずっと積読してた本作品をいい加減何とかしたかったから。(←シリーズモノは刊行順に読みたいタイプ)
    4編収録だけど、ひとつは超短いので中編3編って感じ。
    「意図しない共犯モノ」でまとめたわけじゃないんだろうけど、どれもちょっと変わり種な感じで、楽しかったです。

    「助教授の身代金」
    元俳優の誘拐事件が殺人事件に発展するんだけど、被害者の死亡推定時刻は誘拐より前だった。
    自分が殺したはずの人を誘拐したなんて電話を貰ったら、さぞかし怖いだろう。犯行現場を見られたと思うだろうか。録音された台詞がなければ、死んだと思った被害者は実は生きていたと思うんだろうけど。

    「ABCキラー」
    A町でA氏が、B町でB氏が射殺される。アルファベット順の殺害を仄めかす手紙が警察に届いて、C町でC氏が殺され、D町でD氏が殺される。
    事件そのものが演出がかってて面白かった。絶叫城の事件に触れられたりして、サザエさん時間の作品世界に突如生まれた時系列に驚いたり。
    殺人犯が2人、手紙書いたのはまた別人という事実が、結果を複雑にする。最初の2件の犯人(C氏)が殺されてることで動機を分からずじまいにしちゃうの、理屈はそうなんだけど、なんかズルい(笑)。そして手紙の筆者も明かされずじまいで、ズルい。
    D氏のトリック(剥がした人工芝の上で殺害し、人工芝ごと運んでもとの庭に戻した)は、実行可能なんだろうか。
    記者の因幡が手紙を出した張本人かと思ってたのに、有栖川さんのあとがき読むとそういうことでもないみたい。なんで登場したんだ?因幡氏。

    「推理合戦」
    超短編。火村と焼き鳥食べれるなんて朝井小夜子さんになりたい(笑)。
    推理のからくりを知りたくてS***町まで出向くアリスが可愛かった。

    「モロッコ水晶の謎」
    火村お得意の理詰め推理。自分と彼女は将来結ばれると占われてるんだからここで死ぬ訳はない、って思考回路は、信仰の力と人間の勇気が炙り出されて怖い。でも全く物証がなくて犯人の自白に頼らざるを得ない事件は、いつもちょっとモヤモヤする。
    行き詰まる推理をモロッコの迷路のような路地に喩えるのは良かったけど、水晶はモロッコ産じゃないし、タイトルがややこじつけ気味に感じた。
    この作品の一番グッと来たところは、アリスのモノローグ「人は、親しくなった友人に打ち明け話をするのではない。このように、通りすがりの者に人生の重さを戯れに吐き出す。だから、私は火村から聞けない話があるのだろう」ですね。腐女子に刺さる名文です。このフレーズだけで名作認定です(笑)。

    解説の「モロッコ水晶の謎」解釈は、美苗に責任転嫁しているという見解は慧眼だけど、弘俊が阿江を愛していたとするのは穿ち過ぎだと思う。この物語はどう頑張ってもそうは読み取れない。姉を愛していた、まではアリだと思うけど。

  • 間に挟まれた掌編「推理合戦」が良いね。表題のモロッコ水晶も、この逆説的なというか逆転のというか「ゆえに、〜である」がとても面白かった。

  • 数年ぶりの再読。この時期に再読したのに特に他意はない。四編収録されているが「助教授の身代金」は覚えていたものの他の三編は全く覚えていなかった。そういやこの「ABCキラー」で因幡丈一郎が初登場してたんだなぁとしみじみ。表題作でもある「モロッコ水晶の謎」のオチは個人的には十分あり。むしろこういう動機な方が人間くさい気がするのは私だけかしら?

  • 「助教授の身代金」は好みです。でも読み終わってから彼女が身代金を運んでいる時の気持ちを想像したらいたたまれない気持ちになりました。いちばんの好みはやはり「推理合戦」かな。表題作は解説を読んで目からうろこでした。表に出てこない部分をそんな風に考えながら読むのも読書の楽しみですね。そして因幡の白兎が気になります。今後どんな活躍をしてくれるんでしょう。

  • 中編の名作ぞろいだが、その分、推理合戦ががいい。スパイスが効いている。
    こういう作品は好きだ。

  • 単行本やノベルズ版を整理して文庫本に揃い変えているのだが、ぜんかい読んだのがいつなのかをまったく覚えていないくらいの再読になった。「助教授の身代金」だけよく覚えていて、他の三編はほとんどの内容が飛んでいた。気が利いているのはやはり「推理合戦」。殺人事件が起きるミステリを愛しているが、こういった作品があるとシリーズもののファンとしてはとても楽しい。「ABCキラー」と「モロッコ水晶の謎」は根気とひらめきが活躍した印象。ナイフで暗幕を切り裂くような推理だと感じるが、論理でギリギリまで積み上げたからこそ成り立つ。

  • う~ん何というかモヤモヤ感がいっぱいの終り方で、いつも通りと言えばそうなんだけどすっきりしない。

  • 表題作は、あの長さが必要だったのかもしれないけど少し弱いような気がした。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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