うたかた (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760010

作品紹介・あらすじ

アイツにとって、俺は、うたかたのような存在でしかなかったのかもしれない。でもあの時の幸福は、うたかたではなかったと思う-。チンピラの焦がれる恋を描く表題作ほか、大阪で彼を待つタミ子や、障害を持つわたしの実らぬ思いなど、自分を「消え去る泡」のように感じてしまう5つの恋を描いた、切ない短編集。

感想・レビュー・書評

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  •  娘が田辺聖子さん推しなので読んでみました。

    切ない恋のお話の短編集。
    恋の終わり方がどうなんだろうって憤っちゃうお話しがいくつかあったけど、昭和32年〜40年に書かれた作品だから、今ほど自由恋愛じゃないんだろうな。家柄の違いだったり、上司が勧める縁談だったりでうまくいかない。

    断る方にも事情があったのかもしれないし、断られた方にも幸せを望んじゃいけないと思い込んじゃう事情があったり。

     話としては『うたかた』と『虹』が好き。
    男性としては『大阪の水』の岡野さんが好み。現実世界では嫌だけど。

     何年かしたらまた読みたい。

  • 短編集。初期の習作?なのかな。
    どれかに「物ほしそうな、愛の乞食になりたくない。」というフレーズが出てくる。二次創作の好きな作品に出てくるフレーズですが、これは「感傷旅行」の原案だそうなのでたぶんそっちかな。
    意外と暗い。タイ旅行の話「私の愛したマリリン・モンロウ」なんか良かった。
    シナリオライターの話「突然の到着」などを読むと、もっとキャッチー(?)じゃないと売れないのか、と悩んでいたのかなあとか思います。

  • 恋の話に正しいとか正しくないとかはないと思いますが、筋が通ってないのは嫌です。でもこの小説はそういうところがなくて良かったです。
    タイ旅行に持って行って半分読み、日本に持って帰ってきてから最後の話がタイが舞台だったことに気づいて残念に思いました。

  • 切ない恋の短編集です。
    最初訳が分からなくなりましたが、だんだん慣れました。
    うたかたの恋はなかなかつらかったですが、こういう恋も
    ありかなと切に思いました。

  • 昭和39、40年に書かれた短編集。なのにフレッシュ。どれを選らんでもやはり好き!と思える作家です。

  • 私の愛したマリリン・モンロウが好き。

    自分を好いてくれる男に情を覚えながらも、自分がどうしようもなく惹かれる男を選ぼうとする“あたし”。“あたし”はどういう運命を、未来を2人の先に予感していたんだろう。

    どちらかといえば私はコテコテの大阪弁が出てくる作風が好きだけど、男性を一人称に置いた短編も書かれるのね、とそれはそれで興味深く読んだ。

  • 短編集。
    暗めの話ばかりで好きになれなかった。

  • 5作からなる短編集。

    すべて恋愛がテーマですが
    後味が悪いものもいくつかあります。

    それは主人公が想いを寄せる相手であり
    主人公自身であり。

    田辺さんの描く女性って
    いい意味でも、卑屈だったりクセが強くて
    男性どころか同じ女性でも
    なかなか共感できなかったりするんじゃないのかな。

    ひとことで言うなら
    すごく面倒な人が多い(笑)
    そういう女性を書かせたら、田辺さんはすごい。

    ほろりとくるものもあれば
    イライラするものもあるので
    とにかく多彩な1冊。

    ただ、やっぱり時代背景や
    クセがありすぎる登場人物が多いので
    星3つにしましたが
    気持ち的には星3.5です。

  • 2話目「大阪の水」の、旅行行く記念に心斎橋でハンカチ買うたのとこが、ものすごく印象に残っています。

  • 乃里子シリーズのあとでの短編はなんだか物足りない気もしましたが、
    切なさ満点の聖子ワールドはしっかりとありました、ここにも。

  • 映画目当てで行った地元の代議士の後援会で能理子と出会った俺は
    周りの悪い仲間にはない清楚な美しさにのめりこんだが
    彼女は姿を見せなくなり腑抜けたまま能理子を探し回る「うたかた」
    友人の結婚式でタミコは守の友人である
    東京から大阪へ赴任してきた岡野と知り合い
    彼のさわやかな物腰にひかれていく「大阪の水」
    社長に抗議した卯之助を援護したために会社を辞めさせられたわたしは
    足がよくないせいで再就職もままならず趣味の絵に没頭しながら
    母の集金の仕事で得た収入で細々と食べている「虹」
    ドラマ作家の僕が友達の女である百合子にエロ作家の類子と
    彼女と同棲している康男を紹介され、
    さらに類子から手芸家の紅子と引き合わせられる「突然の到着」
    タレントのあたしは俳優の志門と恋人だが彼の酒癖の悪さに辟易して
    内緒で大学生の礼二とみき子・八木さんと連れ立って
    東南アジアに旅行に来た「私の愛したマリリン・モンロウ」
    装画:上楽藍 デザイン:大久保伸子

    最近改めて人気が出てきている田辺さんを読んでみる。
    想いの大きさが不等号になっている恋愛小説集です。
    初出は一番古いもので53年も昔に出たものだけれども色褪せていない。

    一番ガーンときたのは「私の愛したマリリン・モンロウ」。
    自らのサービス精神のせいで
    美青年だけれども気まぐれで酒癖の悪い志門と別れられないのだと
    思っていた千果子が彼への想いに気づく所にやられました。

  • 何かの雑誌で「おすすめ」されていて、初めて読んだ”田辺聖子作品”でした。
    正直、ドキドキのワクワクもするポイントがなくて、淡々と読み進んだ感じ。
    伝えたいことや「山」が、私には難しかったのかなぁ。
    これといった事件のない、ドラマを見ているようでした。

  • 大阪の水とわたしの愛したマリリンモンローがよかった。
    「運命に無抵抗でありながら、柔軟に折れなかった」という文章が好きだった。

  • 田辺聖子の作品には
    自由奔放でちょっとオシャレで
    仕事もそつなくこなしている
    可愛らしい女の人と

    決して男前ではないけれど
    何か1つ(特に食)について
    こだわりを持っていて
    女性を気持ち良くしてくれる
    テンポのいいトークをするという
    いわゆる中味が詰まったいい男がほとんど。


    当然のように男の人に甘え
    当然のようにそれを受けとめながら、上手に楽しい時間を過ごすという
    なかなか出来ない軽快な日常がくせになる。


    そんないつもの田辺聖子とは一味違うのが、
    今回の“うたかた”

    ちょっとした思い切りが足りなかったり
    環境に上手に乗っていけないだけで
    よくありがちな、うまくいかない恋愛小説のような展開になってしまうんだ、と驚き。

  • 「うたかた」がよかった。大阪弁かっこええ

  • 親が置いていったから読んだ本。
    なんか少女漫画みたいだと思った。
    けどそんな展開が好きなんです。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

田辺聖子の作品

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