イトウの恋 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 341
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760034

作品紹介・あらすじ

「私とあなたはまた旅に出ましょう」
日本が西洋と出会ったばかりの時代の、切ない恋の物語。

「文学史上屈指の「通訳文学」の誕生である。」――鴻巣友季子

維新後間もない日本の奥地を旅する英国女性を通訳として導いた青年イトウは、諍いを繰り返しながらも親子ほど年上の彼女に惹かれていく――。イトウの手記を発見し、文学的背景もかけ離れた二人の恋の行末を見届けたい新米教師の久保耕平と、イトウの孫の娘にあたる劇画原作者の田中シゲルの思いは……。

感想・レビュー・書評

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  • イザベラ・バードの紀行文はまだ読んだことがない。少し読んでみたくなった。伊藤はどのように描かれているのだろう。確かにかの時代、通訳は必要だ。イザベラの通訳として淡い恋心、慕情を抱く伊藤鶴吉視線の話。手記、日記、書いている当時はなんてことないただの雑文でも50年、100年経つと価値が出てくる。その重要性がよく分かる。記録というのは面白いものだ。歴史の隙間に埋もれている事柄を掘り起こし、未来の直接関わりのない人間に感動やら勇気を与える。言葉、文字がある限り続く現象であり時間が持つ雄大なロマンでもある。

  • 書棚で見つけてピンとキター。
    「これってバードさん関連のやつじゃね?」と。

    我が一推し漫画の一つ、「不思議の国のバード」の
    主人公、英国女性探検家「イザベラ・バード」、その
    日本探検に随行した日本人通使「伊藤鶴吉」のお話。
    漫画では「イト」と呼ばれてます。

    中島京子先生による小説の中では、イザベラは「I.B」と、
    伊藤は「伊藤亀吉」とされ、その手記を解明する主人公
    達や、関わる世界は創作ですが、なかなか現実感ある。

    これまで「有名な偉人」や「伝記」として、世に知られて
    はいなかった人々が、何かのきっかけで調査がされて
    一般的に知られることになった話が増えてる気がする。
    …まぁ、私が知らなかっただけかもしれないですが。はは。

    映画などの「シンドラー」や「杉原千畝」もそうだし。
    イザベラ・バードと「イトウ」も、最近知りました。
    小説や漫画は、「私」という、世界の中の小さな所にも
    知りえなかった遠い世界を知らせ、連れ出してくれる。

    ありがたいことです。

    追記:この本の中にも「アイヌ民族」の対する記載がある。
    バード氏が目指す「蝦夷地」そしてアイヌとの交流。
    現日本の民族である「和人」が行った、先住民族への軽視と蔑視を
    2019の今、やっと私たちが改めて反省できる時が来たのだと感じる。
    「未知」のものを知り、認め、素直に互いの文化を尊重しあえる「心」。
    そういう感性や人格を、今後も保ちあえるように、本から学び
    過去をきちんと知り、人に優しく生きられるよう努力したいものですな。
    本を書き作る人々に感謝感謝。

  • 2019/1/1 記
    明治初期の女性探検家 イザベラ・バードに興味を持った。
    読んだのは漫画「ふしぎの国のバード」シリーズ」。
    そこに登場する通訳が不思議な存在だと思ったら、友人からこの本を勧められた。
    イザベラバードさんの「日本奥地紀行」をオマージュした作品とのこと。

  • 作中作の設定が面白すぎる。
    最初に読んだ時は「なんだこの話、面白いけど読みにくいなあ」と思ったものだけど、この作者独特の呼吸に慣れた今だと純粋に面白い。珍しく情熱的な恋の話。でも恋に失敗している辺りがやっぱり中島京子だなあ。

  • 櫂林学園中等部 郷土部顧問 久保耕平
    赤堀くん
    田中シゲル 「ビースト海峡」の劇作家 イトウの娘の娘の娘

    久保耕平が自宅で見つけた祖父の遺品の中にあった亀吉の私記の前半がきっかけで後半をさがすために郷土部として活動する

    イザベラ・バード
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89

    伊藤亀吉~鶴吉
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E9%B6%B4%E5%90%89

    <参考文献>
    日本奥地紀行 イザベラ・L・バード
    イザベラ・バード 旅の生涯
    明治百話 篠田鉱造 岩波
    明治の横浜~英語・キリスト教文学 児玉晃一 児玉敏子
    毒婦の誕生 悪い女と性欲の由来 朝倉喬司
    黙阿弥の明治維新 渡辺保
    高橋是清電 現代語訳 矢島裕紀彦
    寄せ場文献精読306選

  • 絶対ハズレはないだろうな〜と思ってました。(どや)

    面白い。そしてすごい調べてある・・・
    昔の時代背景しかり全部全部。。。
    本当に頭が上がりません。
    横浜の雰囲気、とても小説の中で出てました。本当にイトウの翻訳文の章はとても面白かった。
    ただ、現代の部分はシゲルが劇画原作者ということを活かすなど、もっと盛り上げて欲しかったなーと。

  • 作中の人物、旅行家のイザベラ・バードさん、通訳の伊藤亀吉さんも、実在する人物だったんですね。イザベラ・バードさんの著書に着想を得てこれだけの作品を書かれた中島さんもすごいと思いましたし、結ばれはしませんでしたが、イトウの純朴な恋心にも打たれました。イトウよりも不器用な印象の久保先生とシゲルのその後が気になります。

  • 読みやすかったけど。

    オチがなー。

    先生とシゲルの仲はどうなったのか気になる終わり方でした。

    再読はないかな。。。

  • 佐々大河「ふしぎの国のバード」つながり。イザベラ・バードの日本の旅で、通訳として活躍したイトウが手記を残していた、という設定で、その手記を求める中学校教師と、イトウの子孫の劇画原作者が出会い、手記と、二人をめぐる物語が交互に語られていく。/「きっちりと結い上げた黄金色の髪には光があたり、彫りの深い西洋調の面貌の中に、私が質問に答えるたびに見せる感情の動きが見て取れた。感心、猜疑、諦観、好奇、軽蔑、といった感情がめまぐるしく婦人の顔面に浮かんでは消えるのを、私自身、好奇と感心の念を持って見入った」「どんな言葉を使うかは、どんな人間として扱われるかを決定する」「娘、おまえは誰のようにもなる必要はない おまえ自身の不可思議な人生を生きるのだ」、イトウの尊大と誇り、真摯さ、熱情と落胆、行動力、まっすぐに醸成されていくバードへの思い、それを知りつつ、応えつつも、考えたあげく受け入れられないと決め、去っていくバード。現代のふたりのほうは、徐々に距離を詰めていき、親密にはなり、もう一歩踏み込むのだろうか、というところで幕切れて。つながる、つながる、明治と現代の日本とイギリスをめぐって。

  • 明治時代の通訳家の青年が年上の西洋人に惹かれていく手記を発見したことから始まるお話。
    手記をきっかけに色んな物語が広がっていくのが面白かった。最近現代の軽い内容の小説ばかり読んでたから、明治時代の移り変わりの激しい時代のはざまで生きた人々の生活や思想も垣間見れて新鮮だった!中島さんの作品はしっかり作り込まれていてすごいなー!マッサンのエリーがIBとかでドラマか映画化してくれたら面白そう☆

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著者プロフィール

中島京子(なかじま きょうこ)
1964年東京都生まれの作家。『FUTON』でデビュー。著書に『小さいおうち』(直木賞)、『かたづの!』(河合隼雄物語賞・柴田錬三郎賞)、『長いお別れ』(中央公論文芸賞)等。2019年5月15日、新刊『夢見る帝国図書館』を刊行。

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