「恐怖の報酬」日記―酩酊混乱紀行 (講談社文庫 お 83-6)

著者 : 恩田陸
  • 講談社 (2008年5月15日発売)
3.52
  • (22)
  • (51)
  • (67)
  • (11)
  • (2)
  • 本棚登録 :427
  • レビュー :56
  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760201

「恐怖の報酬」日記―酩酊混乱紀行 (講談社文庫 お 83-6)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • これも、談話室でおすすめを受けて読みました。

    ノスタルジーや異国情緒を感じさせる不思議な空気を紡ぎだす恩田さん。
    しかし2003年まで海外に出たことがなく、そういう不思議な異国情緒は、海外文学作品や海外映画がルーツだったとは。
    恩田さんが海外旅行をしないでいた唯一の原因は飛行機恐怖症にある。
    彼女は、のだめの千秋くんさながら、(具体的な理由は定かではないけど)とにかく飛行機が怖くて怖くてたまらないのだ。
    そんな恩田さんが一大決心をしてイギリス、アイルランドに旅立つ。
    飛行機に乗るまでにページの3分の1が費やされる(笑)。

    この本における恩田さんの頭の中は、極端なところ、70%が飛行機への恐怖、20%がビール、10%が今まで読んだ本や書いた本の回想とこれからの構想。
    紀行文として読むとちょっと物足りないが、メインはそこではなく、恩田さんが普段どんなことを考え、どのようなことからヒントを得て小説を書いているのかなんかが垣間見えて面白い。
    この恩田さん、想像力が本当に常人ではない。
    いつも感嘆してしまうような、細かい伏線や練りに練られたようにみえる構想は、実のところ、細部は考えずに「ほとんど勘だけで」書いているという。まさに作家になるために生まれてきた方なんだと思う。
    恩田さんには、水面下でちらちらしているアイデアやイメージが具体的なものに姿を変える瞬間があるという。
    また、世界のあちこちに、お話の欠片が放置されたり隠れていたりして、それを見つけるというのが自分の商売なのだとも。

    アイルランドのタラの丘で恩田さんは「古くからの場所が持つ不思議なオーラ」を感じ取る。(ちなみに、「タラ」って、風と共に去りぬの舞台と同じだ~と思ったら、まさにここに似ているということで、アイリッシュ系のスカーレット・オハラの父は自分の農地に「タラ」と名付けたのだとか。素敵だ。)
    そして、お話の一場面をイメージする。

    “灰色の雲のグラデーションを見ているうちに、ぼんやり浮かんできたのは船だった。
    空を船が飛んでいる。
    それも、古い帆船が大小一列に並び、船隊となって丘の上の高いところを飛んでいるのである。
    おお、なんて綺麗なんだろう。
    私は何もない丘の上を見上げる。もちろん、空には何もないけれど、帆船の群れは頭の中で見えている。”

    こんな風に旅先の景色を見てイメージが広がっていけたら、なんて豊かな旅になることだろう。彼女の感性の豊かさが本当にうらやましい。

    ほかにも、恩田さんが今まで書いてきた作品(ライオンハードだったり、ネクロポリスだったり、中庭の出来事だったり…)のこぼれ話もあり、恩田陸ファンは一度読まれて損はないと思う。
    あと、恩田さんのビール好きには、イメージとちがってびっくりするでしょう。三浦しをんさんといい、女性作家さんはお酒好きが多いのかしら(笑)

  • ザクザク。した文章が心地よい。飛行機嫌いと飲んべえは、楽しい。

  • 恩田陸の『恐怖の報酬』日記を読みました。

    酩酊混乱紀行 イギリス★アイルランド★日本〈ほぼ縦断〉とサブタイトルがついています。
    恩田陸がビールを求めてイギリス、アイルランド、生麦(キリンビール)、札幌(サッポロビール)、沖縄(オリオンビール)と旅行してひたすらビールを味わうという旅行記でした。

    さらに、恩田陸は強度の飛行機恐怖症とのことで、その恐怖についてもしつこく書かれています。

    とは言え、アイルランドのどこまでも続く丘を見ているだけで、手紙を書く青年、手紙を読む少女、空を飛んでいく帆船たち、それを見上げている少年、といったイメージが浮かんできて1篇の物語が書けそうだ、というところが恩田陸の小説家たる所以なんだろうな、と思いました。
    まあ、それ以外は飛行機恐怖症でビール好きの飲んだくれのお姉さんだというギャップもいい感じなのですが。

  • 再読。コワイ飛行機に乗って美味しいビールを飲みに行くエッセイ。全般的に楽しい旅行記。その中で恩田さんがどうやって創作しているかの一端がうかがえる。場所の力でイメージがわいてくるんだって。そう思って、柳川や奈良や屋久島や函館が舞台の作品を読むと、作品の舞台を恩田さんが歩いている絵が浮かんできてちょっと嬉しい。

  • 再読。初読については失念。

    題名の通り恩田陸の恐怖(飛行機)についての記述が多いけれど、それよりも恩田陸の描く物語の核のようなものについて語られている方が印象深い。それが昔の作品だけでなく最近の作品にも脈々と受け継がれているのがよくわかる。
    あとビール工場ツアーについてもなかなか面白く、行ってみたいという気になる。

  • 『隅の風景』を読んでまた読みたくなり本書を手に取る。
    やっぱりこっちの方が面白いでしょ、飛行機嫌いの気持ちも良く分かるし、何より麦酒の美味さが伝わってくる。
    おかげで楽しげに感じられた麦酒園にも行くことになったし。
    実際は日本の麦酒はそんなに美味くないし、麦酒園もそれほど面白いものではなかった、少なくとも当方にとっては。
    それでも騙されてみようか、行ってみようかと思わせる楽しげな酒紀行、是非ご一読をば。

  • 飛行機が怖いという意外な弱点を持つ恩田氏のエッセイ。彼女ほどではないにせよ、飛行機が得意ではないので共感できる部分も多い。
    それより行く先々で展開する妄想のレベルと、瞬間的なイメージを作品につなげる独特の手法は、天才とはこういう人のことをいうんだなと圧倒されるばかりでした。
    だけど、ちょっと飲み過ぎじゃないかな。

  • 300307840  B915.6-オン

  • 恩田さんのエッセイ。
    初エッセイといっていいのか微妙な「小説以外」が本当に小説以外を寄せ集めたごっちゃごちゃな内容だっただけに、今回は純粋なエッセイになっていて安心しました。

    恩田さん自身、エッセイが得意な作家さんというわけではないのですが、もう「小説以外」を読んでいたおかげで慣れた&恩田さんがエッセイ上手になってるのですらすら読めます。

    しかし…本当に飛行機のくだりが長い!
    恐らく恩田さんが飛行機嫌いという事は一生忘れないんじゃないかと思うほどです(笑)

    渡英後は、土地を巡り今後の作品へのヒントを得たり、おいしそうな物を食べたり、大好きなビールを飲んだり、満喫している様子が実にうらやましい内容でビール党であればあるほど悔しさが募ります。

    帰国後の各ビール会社巡りなんて鬼畜です!
    ビール党へ悪魔の誘惑本と呼ぶ事にしたいぐらいです(笑)

    あくまでビールありきなので下戸の方はそれほどでもないかもしれませんが、飛行機のくだりさえ突破できれば楽しめる一冊だと思います。

  • イギリスに行く前に、折角なので読んだ。普通。

全56件中 1 - 10件を表示

「恐怖の報酬」日記―酩酊混乱紀行 (講談社文庫 お 83-6)のその他の作品

恩田陸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

「恐怖の報酬」日記―酩酊混乱紀行 (講談社文庫 お 83-6)を本棚に登録しているひと

ツイートする