水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760324

作品紹介・あらすじ

仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。一年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか?密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは…!?本格ミステリの復権を高らかに謳った「館」シリーズ第二弾、全面改訂の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 今回もまぁ見事な不穏な雰囲気ムンムンの開幕。
    焼却炉、バラバラ死体、仮面の舘主人、ラプンツェルさながらの謎の美少女。どこまで裏切られるかが私の楽しみだったが、レビューを見る限り見聞色の覇気の開花に目覚めた読者は多いようですね。

    私はというと、動機とトリック詳細から解明まで、頭が回るはずもなく終盤は我ながら引くレベルで食い気味でした。

    2年で4人が亡くなり1人が行方不明。
    生死のわからぬ亡霊に脅える主人の姿に自分の推理に自信が無くなる。個人的には十角館よりも好きです。

    そして前作、苦手なタイプだった島田さんがイケメンに変貌を遂げていた。犯人からすれば、こいつさえ居なければでしかない彼のズケズケスタイルが一周回って好きになった。何故か脳内再生は乞食風のアメリカンヒーローなのだが...(苦笑)

    理論的を投げ捨てた着地点に感動。
    死してなお現世の人間を魅了させ1年前の事件を引き起こし、そしてまた現世の者達によって何かが起ころうとしている。その亡き者一成画伯の妖気じみた雰囲気がおぞましい。

    どうしてもケチつけるなら、腑に落ちないのは執事倉本の鈍感さです。しゃきっとせんかい!

  • 館シリーズ、第2作。
    「十角館」の建築家中村青司が手掛けた「水車館」。人里離れた山中に孤高にそびえる。そこで、2年連続でおきる殺人事件。
    過去と現在を交差させながら、事件が進む。
    水車で発電している大きな建築物。周木さんの堂シリーズにも負けてない。
    画家の子息の邸宅で、その作品を収集している。とすると、風森さんの渦巻く回廊の鎮魂歌。きっと、皆さんに影響を与え続けているシリーズなのだと思います。
    そして、ちょっとノスタルジックな雰囲気が良い。
    探偵役に前作から続けて、島田潔を迎える。ということなら、やはり、順番通りに読まないとですね。
    事件そのものだけでなく、犯人の直接の動機となった事故や幻想作家の遺作の存在も、さすがでした。

    • 土瓶さん
      もうスッパリ忘れてるから読み返すのもありかな。
      もうスッパリ忘れてるから読み返すのもありかな。
      2023/11/03
    • おびのりさん
      そうそう。そして、最新作までたどりつければと思ってます。
      そうそう。そして、最新作までたどりつければと思ってます。
      2023/11/03
  • 館シリーズ第二弾
    今回も中村清司が建てた館で次々と殺人事件が起こる。
    館の構造把握や登場人物がなかなか覚えにくくて図と紹介部分にずっと付箋貼ってた…。

    解説の有栖川さんも仰っていたとおり、今回はベタベタなミステリーという具合で、正直トリックもだいたい予想がついた。
    あと館に名探偵、怪しい住人、商人、医者、教授など集結すれば、かの有名なお髭の作品がチラつく。

    ただ前回に引き続きスピード感やいっきにトリックが解き明かされる最後の畳み掛けは食い入るように読みきった。
    読んだあとの満足感は最高!
    次の館が楽しみ。

  • 綾辻行人さんの館シリーズ第二作。
    現在と過去を行ったり来たり。
    ハラハラドキドキで一気読みでした。
    出会えて良かった作品です。

  • 十角館に続き読了。
    驚きの大仕掛けがあった十角館とは異なり、より本格ミステリ感が色濃い作品でしたが、面白かったです!
    様々な伏線や謎が合理的に解決されていくので、違和感もなく、とても緻密に積み上げられたミステリとなっており、注意深く読めば気づけるような絶妙なラインの描写が素晴らしいなと思いました。
    シリーズはまだまだ続くので、楽しみです!

  • 人里離れた孤高の水車館。仮面の館主。謎の美少女。価値ある絵画。過去と現在を交互に明らかになっていく事件の概要。散りばめられた数々の伏線。大小様々なトリック。読者にフェアだよなぁ。前作の衝撃とはまた違う魅力があった。ラストの絵画のシーンにはゾワッとした。

  • 館シリーズ第2弾。
    過去と現在に行き来しながら追う殺人事件の謎。
    限られた登場人物の中起こる不思議な現象。
    前提を覆されるトリック。
    再度読むとまた違った視点で見れそう。
    情景描写が独特で自分的に難しい場面もあったけど。
    前作同様緻密さを感じる1冊でした。

  • 綾辻行人『館』シリーズ2作目。

    仮面の主人・藤沼紀一と美少女・由理絵が住む、中村青二が設計した『水車館』。

    1年前、殺人事件が起こり、容疑者とされる男は行方不明のままだった…

    1年後、その『水車館』に島田潔が訪ねてくる…
    行方不明となっている古川の友人として。

    誰も見たことがないという、画家・藤沼一成の遺作『幻影群像』の秘密とは…

    正木が古川に入れ替わってることにはすぐに気づいたんだが…
    正木がどこか隠し部屋に潜んでいるのではないかと思ったんだが…
    さらに入れ替わっていたとは…
    そんなに準備周到だったとは…
    そんなに奥が深かったとは…
    まさかそんなって、感じだった。

    確かに『幻影群像』、他人には見せれないよな、紀一にすれば。
    まさか…なぜ??…だっただろうから…

    正木にとっては島田は本当に招かざる客だったんだろうな…

    島田さえ来なければ…だろうな…

    島田が『館』シリーズには探偵役として、出てくるのか…

    『館』シリーズ、読み続けなくては…


  • 水車館の過去の惨劇,死と消失と絵画盗難。現在と過去の事件がリンク。主語の違いから仮面の下を怪しむが,真相解明までには至らず。不気味な結末の余韻に浸る。

  • 館シリーズは自分もその館にいるような没入感が楽しくて大好きな作品。
    表紙イラストの怪しげな館を参考にして、水車館と登場人物を想像しながら読み進めていくワクワク感がたまらない。
    水車館はわかりやすい伏線が張ってあるけど、そこがわかっていても最後まで面白い。
    単に誰が犯人か?とか、どんでん返しに驚くということよりも、水車館で繰り広げられる怪しげな非日常感を楽しむ作品だと思った。
    現在と過去を行ったり来たりするので、その揺さぶられる感じも飽きることがなかった。

    クライマックスを早く読みたい気持ちもあるけど、水車館ワールドが終わってしまう寂しい気持ちの方が大きくて、一気には読まずに大切に読んだ。
    館シリーズのような非日常で小説ならではの雰囲気を体験することができる作品が自分は好きなんだと改めて気付いた。
    十角館→迷路館→水車館と読んだので、次は人形館を読むのが楽しみ。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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