新装版 長い家の殺人 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760355

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  • 越後湯沢にあるロッジ、ゲミニー・ハウス。
    学生バンド“メイプル・リーフ”のメンバーが、
    大学卒業を前にして、ラストライヴの練習のために
    そのロッジに集ったとき、殺人劇の幕は上がる――。
    メンバーの一人が、合宿初日の夜に荷物とともに失踪し、
    翌日、絞殺死体となって発見されたのだ。
    しかも、死亡推定時刻は初日の夜の間であることが判明。
    殺害されたあと、発見されるまでの間、
    死体はいったいどこへ移動させられていたのか?
    警察の捜査も行き詰まり、半年が経って、
    メンバーが一人欠けたまま行うことになったラストライヴの日、
    またしても惨劇は繰り返される――。

    綾辻行人、有栖川有栖、法月綸太郎らと同時期にデビューした
    いわゆる“新本格第一世代”の一人である著者の
    デビュー作が新たなカバーデザインで蘇った新装版。

    「葉桜の季節に君を想うということ」で近年注目された
    歌野晶午のデビュー作ということで、
    新装版が発売されたときに購入しておいたのが、やっと読めた。

    学生バンド内での殺人事件を描いた青春ミステリであり、
    また、驚きのトリックと確かな推理が登場する
    しっかりとした本格ミステリでもある。

    死体移動に用いられたメイントリックは、
    物語が始まって50ページくらいまでで容易に看破できる。
    島田荘司が絶賛したというトリックだから期待していたのに
    「えっ、それ?」と思ってしまうようなトリックだったが、
    もしかしたらこの作品が初出なのかもしれない。
    だとしたら、確かに凄いかも。

    そのトリックを実行するにあたってクリアしなければならない
    付随的な問題の存在が謎解きの際に明かされるが、
    犯人があれだけ大変な思いをして仕掛けたトリックなのに
    起こる現象がやたらと地味なのはちょっと残念。

    そのためか、謎解きもかなりさらりとした印象で、
    物語のボリュームのわりにラストがあっさりしすぎだと感じた。

    また、ミステリにはよくあることだが、
    登場人物の会話が不自然なのも気になった。

    よくできてはいるが、印象に残りにくいミステリ。
    個人的にはあまりピンとこなかったので
    島田御大が何を絶賛しているのか、これから読んでみようと思う。

  • トリック自体は凡庸なもので自分でもすぐ分かった。伏線もだいぶ分かりやすく配置されてはいた。もっとも犯人が誰なのかは最後まで分からなかったが、あれを証拠とするのもいかがなものかとも思う。
    それでもかなり面白く読めたのは、作者の前書きや島田荘司さんの解説からこの作品の背景を頭に入れることができたからだろう。
    特に島田さんの解説を読んで歌野さんの作品をもっと読みたいという気持ちに強くさせられた。

  • ある程度ミステリを読んでる人ならトリックは序盤でだいたいわかってしまいそう。
    解説代わりの島田荘司氏が語る、本書を書いたときの著者の話が面白い。

  • 本作は歌野さんののデビュー作で、「誰が、なんで、どうやって殺したのか」が
    メインとなっている、王道ミステリ。やっぱこういうのでなくっちゃ!

    誰が主人公なのか分かるまでは、そして主人公が主人公らしくなるまでは、
    視点が落ち着かず、誰の目を通して物語を見たらいいのか分からず、
    ちょっと読み進めるのに苦労したけど、けっこう楽しめたかな。

    トリックは分かってしまったし
    (『ケイゾク』あたりで使われていたような・・・)、
    ここはひっかけだなーってところは分かってしまったけどね。

    本作は1988年にノベルス版で、1992年に文庫版で刊行されたものの
    新装版なので仕方のない部分もあるね。上記の頃に読んでたら
    わたくしの感想やミステリへの好奇心はまた全然違っただろう。

    『白い家の殺人』『動く家の殺人』と続編もあって購入済みなので
    どっぷりと歌野ミステリにつかってしまおう。

  • 『葉桜の季節に君を想うということ』で歌野晶午を知ってから、デビュー作を読んだ時がなかったので…時代を遡ってみようと。

    島田荘司の占星術殺人事件を読んでいる感覚に陥った…

  • 良くもなく悪くもなく。動機が弱い。この理由で仲間を二人も殺せるのか疑問。リアリティが感じられない。

  • ちょっと雑なトリック。殺人の動機も至極自分本位で、ラストも後味が悪い。それでも最後まで読ませてくれるのは、デビュー作として凄い作品。

  • かなりリスクのあるトリックじゃないかな^^; わくわくしながら読ませてもらいました。

  • 苦手な「本格ミステリ」の
    見本的な作品だった。
    トリックを描くことが中心になって、
    読み物として面白くない。

    そのトリックさえも見破れて
    しまったものだから
    ただ時間を無駄にした感じ。

    ”消失死体がまた元に戻る!?完璧の「密室」と「アリバイ」のもとで発生する、学生バンド“メイプル・リーフ”殺人劇―。「ミステリー史上に残ってしかるべき大胆なアイデア、ミステリーの原点」と島田荘司氏が激賛。この恐るべき謎を、あなたは解けるか?大型新人として注目を浴びた鮮烈なデビュー作。 ”

  • かなり早い段階でトリックが分かってしまい、
    結末もその通りだったのがちょっと残念。

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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