子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.07
  • (770)
  • (764)
  • (500)
  • (47)
  • (10)
本棚登録 : 5787
レビュー : 643
  • Amazon.co.jp ・本 (569ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760508

作品紹介・あらすじ

交わることのない、人の想い。切ない終わりがやってくる。「浅葱、もう少しで会える」『i』は冷酷に2人のゲームを進めていく。浅葱は狐塚や月子を傷つけることに苦しみながら、兄との再会のためにまた、人を殺さなければならない――。一方通行の片思いが目覚めさせた殺人鬼『i』の正体が明らかになる。大人になりきれない彼らを待つ、あまりに残酷な結末とは。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • やられた。
    辻村作品を読むときは絶対に騙されないように、特に『名前』に気を付けて読むのに、やられた。
    呼び名や名前から受ける固定観念的印象、いつもの手なのに毎回引っ掛かってしまう。

    上巻があまりに暗かったので、どうかお願いします、そんな気分で読み始めた。
    帯や裏表紙に書いてある言葉があまりに残酷だったので、嫌な予感しかしなかったのだ。

    でも、さすがは辻村さん。
    凍りのくじら、でも思ったけれど、辻村さんは深い深い闇に登場人物を陥れておきながら、たった一言でそこにスポットライトを当ててみせる。
    一言で救ってみせるのだ。

    ただ、一言で救われるということは、受け身の形では絶対に成り立たないだろう。
    長い物語を通して、成長したからこそ、成長して自分が求めるものを知ったからこそ、ただ一言だけで救われることができるのだ。

    悲劇的なラストに温かな光が差し込む。
    それは月の光のごとく深い夜を照らしてみせる。

    面白かったです。

  • どうして彼女(辻村深月)の作品からは、こんなにも愛を感じられるのでしょうか。
    とても残酷で、悲しくて、切なくて、けしてハッピーエンドではないのに胸が熱くなるこの読後感。
    しかも後半のどんでん返し。またしてもやられた感がハンパなく、違和感がありながらも気持ち良く騙されていました。その反動で切なさ倍増で涙が止まらず…。
    ラストは浦沢直樹の『モンスター』の様だな〜と思いました。

    • vilureefさん
      はじめまして♪

      フォロー&花丸ありがとうございます。
      辻村さんの本は今までに一冊しか読んだことがありません。
      是非読んでみたいと思...
      はじめまして♪

      フォロー&花丸ありがとうございます。
      辻村さんの本は今までに一冊しか読んだことがありません。
      是非読んでみたいと思っているのですが後回しになってしまって・・・(^_^;)
      でもフーミンさんのレビューを見たら読みたくなりました。

      最近、読書もちょっと停滞気味でなかなかレビューがアップできませんが、みなさんのレビューはマメに覗いております。
      これからもよろしくお願いします(^_-)-☆
      2014/06/05
    • フーミンさん
      はじめましてvilureefさん。
      こちらこそ花丸&フォローありがとうございます。
      私もブクログでのレビューを通して初めて辻村さんを知っ...
      はじめましてvilureefさん。
      こちらこそ花丸&フォローありがとうございます。
      私もブクログでのレビューを通して初めて辻村さんを知ったので、これから彼女の作品を追いかけていきますが今のところハズレなしな感じです。今までいかに視野が狭かったのかを痛感して、これから色々な作品に触れたいと思っている所です。
      vilureefさんのレビューはとても引き込まれるものが多く、是非参考にさせてもらいます♪
      こちらこそよろしくお願いします☆
      2014/06/05
    • akitukiyukaさん
      コメント&花丸ありがとうございます。
      せっかく褒めていただけた考察は、どちらかというと勘に近いです(笑)なので申し訳ない気がしつつ、うれし...
      コメント&花丸ありがとうございます。
      せっかく褒めていただけた考察は、どちらかというと勘に近いです(笑)なので申し訳ない気がしつつ、うれしかったです。
      最後の上原愛のところは成る程!となりました。辻村さんの構成の勝利ですね。
      フーミンさんのレビューはあたたかいいいレビューですね。
      私も浦沢さんのモンスターを思い出しました。あのラストも私は大好きです。
      2014/06/06
  • 面白かった。
    上巻も止まらなかったけど、下巻は半端なかった。
    残酷で切ない。

    浅葱に早く終わってほしい、終わらせてあげたいと思いながら、でも悲しい終わり方しか想像できなくて、後半は読むのが辛かったな。

    i=θだと分かった時は、ちょっとガッカリしたけど。
    二重人格はミステリーにありがちな着地点だよね。

    でもどちらの浅葱もある意味人間くさくてよかった。
    そうだ、生きることにもっと執着しなくては。

    『人間には誰でも、大好きで泣かせたくない存在 が必要なんだって。
    君が生きているというそれだけで、人生を投げずに、生きることに手を抜かずに済む人間が、この世の中のどこかにいるんだよ。』

    この言葉で、あぁ、浅葱はこの先ずっと独りでどこかで生きていけるんだなぁと、少し救われた。

    読了後は、表紙を見ながらしばしぼんやりしてしまった。
    そして、タイトルがしっくりきてちょっと感動した。

    けど、恭司は私の中でナゾの存在だなー。

  • 休みの日に一気読み。
    上巻は孝太、月子、浅葱、恭二の四人を中心として語り手もくるくる変わりながら関係性と個人の特性を読者に染み込ませる感じだったが、下巻は浅葱の独白、過去の語りに重点を置かれていたように思う。
    上巻の感想で書いた二つの疑問と推理?が当たってしまっていてちょっとがっかりもあったけれど、そんなことが些細なことであるくらい物語が素晴らしかった。
    今までの作品はなんとか堪えた涙が、後半にはどうしようもなく溢れていた。

    • フーミンさん
      はじめまして。

      akitukiyukaさんの『子どもたちは夜と遊ぶ』の上巻のレビューを読んで、なんて鋭い考察力なんだ!とびっくりしてい...
      はじめまして。

      akitukiyukaさんの『子どもたちは夜と遊ぶ』の上巻のレビューを読んで、なんて鋭い考察力なんだ!とびっくりしていました。すごいよ~!当たってるよ~!と言いたかったのですが、まだ下巻を読んでいない様子だったので我慢してました。

      私なんか、先を予想する事はしても細かい部分は何も考えないで読んでしまうんで、ちょっと羨ましく思ってしまいました。
      akitukiyukaさんの様な読み方が出来たら、また違ったおもしろさがあるんだろうなーと。

      すみません、興奮しておもわずコメントさせてもらいました。

      2014/06/06
  •  ゲームの進行に徐々に追い込まれていく浅葱だが、ⅰは無慈悲に浅葱を追い込みながらゲームを続けていく。そして浅葱は残酷な決断を迫られていく。

     ミステリのネタとしてはそこまで驚くべきものではなかったですが、やはり辻村さんの文章力、表現力はすごい、と思わされた作品です。

     上巻では説明的な文章も多く、テンポが遅かった印象ですが、下巻では浅葱が徐々に追い込まれていく様子がものすごく緊張感にあふれていて、月子とその友人たちの微妙な人間関係の描き方もしっかりと、そして何よりも第九章の浅葱の心理描写の迫真さは読んでいるこちら側も苦しくなってくるほどでした。

     ゲーム後の展開はとにかく切ない……。だれも悪い人はいないのになぜこうならざるを得なかったのか、人間の難しさ、運命の皮肉さについていろいろと思わされました。

     不満点を書くとすると、結局最後まで、いま一つ人物像をつかみきれなかった登場人物がいたことでしょうか。結構思わせぶりな雰囲気だったのに、結局その人物についてはあまり語られず、なんとなくモヤモヤとなってしまいました。

  • 目を瞑りたくなるような話だ。この物語を、理解し、消化し、受け入れるには、私はまだ時間が必要で、できるかどうかもわからない。そういう話は、私は好んで読まない。

    殺人ゲームなんてお話、できれば読みたくなかった。
    自分の都合で、関係のない人をゲームで殺すなんて、私は受け入れられないし楽しんで読めない。お兄ちゃんに会う為のゲーム?バカバカしい。ゲームで人を殺す i と θ に、やり場のない気持ちを抱いた。
    どうして、ただ、会えばいいだけでしょ?と。

    月子が好きな浅葱。普段は冷静でも、誰よりも負けず嫌いで一人でもがいて、皆の前では涼しい顔をする浅葱。
    月子が好きだった浅葱は消えて、
    月子は浅葱を忘れた。
    最初から月子と浅葱の間には何もなかった。
    少しの掛け違いで、崩れていくふたり。
    とても切ないです。


    藍と浅葱。月と太陽。
    月は藍色の空によりそり、藍色の空は月を包む。
    太陽は浅葱色に空を照らし、浅葱色の空は月を待つのでしょうか。
    (・・・無理やりでしょうか?)
    そんな事を思いつつ、読みました。

  • 上巻の前半は話が見えずなかなか読み進められなかったのですが、話が進むに連れて、引き込まれていきました!

    表紙に惹かれて買った、初 辻村深月作品でしたが、こっからハマりました!

    どうしても悪いのは浅葱なのに、憎めないむしろ愛おしい程に、人間性が描かれています。

    最後の最後まで息つく暇なく、スピード感があってダークで残酷なのに、温かく愛があります。

    最後まで展開が読めずダマされました!
    初の辻村深月作品、最高でした。不思議な辻村ワールドを味わえた特別な一冊になりそうです。

  • 辻村深月を手に取るのはこれが2作目でした。
    物語の本筋である「i」の正体や事件の真実については中盤で答えは分かっていたものの、読み応えのある作品でした。
    月子と紫乃、萩野さんの想いなど現代の女の子の描写は相変わらず上手で非常にわかりやすかったと思います。
    私情でADHDや解離性人格障害など多少の知識はありますが、現代人らしい病を上手く取り上げていたと思います。
    上手く生きる為に人格を創り出しバランスを取れず崩壊していく浅葱は見ていて苦しくなりましたが、
    所謂推理小説のような事件の犯人として処理されるのではなく、最後には月子という希望があり本来の浅葱が生きていける道筋を示す終わり方は辻村深月らしいなと思いました。

  • なんて切ないラストなんだろう。ごめんなさい、ネタバレ含みます。








    恭司はもうきっと二度と月子に会えない。どうしようもなくて浅葱を殴ったのだろうけれど、浅葱に自分として月子に会うことを許して。記憶を失った月子にとっての恭司は浅葱に塗り替えられてしまったから。なんて不器用で切ない愛なんだろうと思いました。けれど月子もまた、記憶を取り戻せば自分の中の浅葱を失う。どこまでも救われないラストがあまりに切ないです。

    そして細かく作り込まれたお話が素晴らしい。浅葱の名前は初めから綺麗だなと思っていたけれど、蝶と同じ名前だったなんて。そしてそこからθというハンドルネームをつけた浅葱の感性が素敵です。

    暗くて怖くて切ない、救いのないお話なのに不思議な美しさがあるお話でした。
    辻村さんの作品ではこの本とスロウハイツの神様がいちばん好きだけれど、よく考えるとまったくテイストの違う作品で自分でも驚きます。

  • とんでもなく衝撃を受ける箇所で仕事に向かわなければならなくなったので、仕事モードにするのがとても難しかった。なんというか胸が一杯になる物語だった。勧善懲悪が基本的に好きな自分自身が、憎むべき犯人まで受け入れてしまう事に驚き、また違和感を覚えています。
    トリックや辻褄等に穴がたくさんあるのかもしれないけれど、この大きな風呂敷に明いている穴はとても美しいです。あまりに綺麗に穴が沢山明いているので模様に見えているのかも。愛おしい物語でした。

    以降ネタバレです



















































    もう浅葱と月子が2人で向き合うシーンではあまりにも感情移入し過ぎて「逃げて!月ちゃん逃げて!」と心で叫んでいました。本当に叫んでいたらきっと通報されていたでしょう。その後で月子と孝太が兄妹だったと分かった時の浅葱の衝撃!嗚呼なんでわからなかったのよ・・・。ていうか救急車だけでも呼べよこのヘタレが!!うおーっというところまでが昼休み。もうね、弁当味よくわからなかったですよ本当に。
    結構まだページがあるのにこの大事件だったのでこのあとどうなるのか辛くて辛くて。。。ひょっとして月ちゃん不在のまま終わってしまうのではいかと思ってびくびくしながら読んでいました。
    ふう・・・何とか一命は取り留めたのかと一息ですよ。ほんと辛い。
    それにしても日向子さんの結婚のシーンで、見送った後に月子が号泣するシーンでは胸がぎゅーっとなって私泣きました、ええ泣きましたとも。なんて心優しく誇り高い子なのでしょうか。

    謎解きと翼君の話はまあおまけみたいのものですが、エピローグがまたよかったですね。これも勧善懲悪派としては不本意ですがとてもいい終わり方でした。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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