新装版 孫子(上) (講談社文庫)

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感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760669

作品紹介・あらすじ

戦史の研究に没頭している孫武は、戦争に勝つには勝つだけの理由があり、負けるには負けざるを得ない理由があることを知った。呉楚の確執が続く古代春秋時代の中国。楚への復讐に憑かれた伍子胥の計らいで呉の将軍となった孫武は、独自の機略で楚軍を打ち破り続ける。孫子の兵法で名高い孫武を描く歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 第二次世界大戦を生き抜いた著者が見ているなら世界観が見えて面白かった。現代の価値観や感覚とはまた違う、あの時代の考え方が散見されて、孫武の生涯の物語よりも、著者の考え方が面白かった。
    孫武がいわゆる学者であって、武将ではないという描かれ方は面白かった。孫武が自分の理論に自信を持っていて、それを広めることや教える事をしたかっただけで、自分の理論をもとに万の軍勢を率いて戦い、呉の国で出世したかった訳ではない、英雄になりたかった訳ではないという設定は読んでいて共感する部分があって、感情移入しながら楽しめました。

  • 野にいた孫武は、戦争の研究に明け暮れていましたが、その卓見を認められ、呉に将軍として召し抱えられます。
    不朽の戦略書「孫子」を書き献上。
    実践でもその才を発揮し、連戦連勝していきます。
    野に遺賢あり!
    上巻は孫武の活躍と晩年が描かれています。

    「理は形(実)を離れたものではありません。形の中に理を見て整理したものでありますれば、理の中に形もあるべき道理であります。人の兵法は知らず、拙者の兵法では、理は即ち形であり、形は即ち理であります。実地に応用して役に立たないなど、決してないと、固く信じています」 ー 307ページ

  • 中国古代、春秋時代、趣味で戦史を研究していた孫武が、呉王闔廬に請われ、図らずも将軍となって、作戦参謀として大活躍。シャーロック・ホームズ並の鋭い推理で敵の裏をかく孫武の戦術が光る。
    肉親の裏切りや計略・謀略が渦巻く春秋時代、一時も心休まることは無かったんだろうなぁ。
    中国の歴史小説は、漢字が難しくて国名や人名が分かりにくいのが難点。

  • 1970年代 読了

  • 勝って戦う

  • 孫子の兵法を記したとされる孫武と孫殯を描いた作品。筆者は史記列伝に記載されてる僅かな記述より想像を加え大きな物語を描いた。後書きにも書いてあるが一人の歴史上の人物を描くのはその人物と同じ呼吸をして人生を生きる事だと。読んでいても大きな息吹を感じる秀逸な作品。

  • ★2012年9月27日読了『孫子(上)』海音寺潮五郎著 評価B
    先日のDVD『孫子』の流れで、原典の『孫子』を読み、この本にとりかかりました。この上巻は、孫子の兵法を著したとされる春秋時代の孫武を取り上げて、そのエピソードを語っている。TVドラマとは異なり、出世、権力には全く興味がない。しかし、自らの研究成果である兵法が現実の戦いに有用であるかどうかを確認することを唯一の拠り所として、呉王に仕えた。政争に巻き込まれる前に、引退したことが語られており、まったく世渡りの下手な孫武が描かれているところが、興味深い。

  • 孫子の兵法で有名な孫武を描いた一冊。一介の軍略家がどうやって呉を代表する大軍師まで上り詰めたかが記されている。おなじみの呉王の愛妾を軍事訓練で処刑して、軍事においては国王の命令に背かなければいけない時もあると、軍規の絶対性を説くエピソードもあった。特に、呉子杵との身の振り方のコントラストも痛烈だった。新王に変わったらさっさと隠遁してしまおうとする孫武とあくまでも呉にすがりついて助けようとする呉子杵の姿勢と生き方の違いがとても印象に残った。あの時、孫武が呉に残っていたら、と思ってしまった。

  • 孫子〈上、下〉 (講談社文庫)
    孫子は兵法書やビジネス書などいろいろ出版されていますが、今回は人物に関する小説『上巻』:紀元前500年頃 呉の孫武 過去にあった戦の研究を進めているうちに法則に気づいていく。のちに呉の将軍として負け知らずの戦いをしていく ★3.6
    『下巻』紀元前350年 斉の孫臏 親友の龐涓の嫉妬にあい両足を切り落とされてしまい復讐の為に立ちあがる★2.9

  • 孫子の兵法を記した,孫武とその5世孫臏の話。上巻は孫武。下巻が孫臏。
    本書を読むまで,孫武とは百戦錬磨の将軍だったのだろうと勝手に想像していたが,全く違った。戦争の研究家で,文人肌の人間のような感じだったのだなと思った。しかし,研究家で机上の論理であり,実践では使えないだろうという呉王闔閭の問いに対し,『理は形(実)を離れたものではありません。形の中に理を見て整理したものであるので,理の中に形が有るべき道理です。理は即ち形であり,形は即ち理です。実地に応用して役に立たないはずはない』と言い切っています。戦についても,『戦わざる以前に既に勝っていなければならないと。戦って勝つのではなく,既に勝っているものを自ら確認し,敵に確認させるために戦は行うのだと。』策についても『情勢によって施すのが最も良いと。前もってここから手を付けて,こう向こうが出たらこうというように決めてかかっては,ことが予想通りに運ばない時にはかえって途方にくれることになる』と。
    次に孫臏。この人は,宮城谷氏の小説で出てきたの幾分は前知識があった。友人であり,援けて来た龐涓に罠にはめられ復讐の鬼になるが,中国では結構こういう場面に出くわす。伍子胥などもそう。『世に必勝の算はない,すべて比較的なものだ。』『斉の威王にこういう話がある。威王の宰相の鄒忌が言った言葉に,妻が自分を立派と言うのは贔屓しているからで,妾が自分を優っていると言うのは恐れているからで,来客が自分を美しいと言うのは機嫌をとっているからです。このように人は真実を知りがたい状況にあると。』『巧遅は拙速に及ばず。合戦において,躊躇逡巡ほど悪いものはない。だから優れた将軍は瞬間に最も効果ある方法が見つけれるよう訓練しているもの,またはその天資が備わっているものである』と。
    全2巻

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著者プロフィール

(かいおんじ・ちょうごろう)1901~1977。鹿児島県生まれ。國學院大學卒業後に中学校教諭となるが、1929年に「サンデー毎日」の懸賞小説に応募した「うたかた草紙」が入選、1932年にも「風雲」が入選したことで専業作家となる。1936年「天正女合戦」と「武道伝来記」で直木賞を受賞。戦後は『海と風と虹と』、『天と地と』といった歴史小説と並行して、丹念な史料調査で歴史の真実に迫る史伝の復権にも力を入れ、連作集『武将列伝』、『列藩騒動録』などを発表している。晩年は郷土の英雄の生涯をまとめる大長編史伝『西郷隆盛』に取り組むが、その死で未完となった。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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