新装版 孫子(下) (講談社文庫)

  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760676

作品紹介・あらすじ

「兵法家と兵学者は違う」孫武の時代から約150年後、後孫にあたる孫〓(ぴん)は〓(ほう)涓の影響で兵法のおもしろさに目覚めた。やがて魏につかえ大将軍となった〓(ほう)涓を訪ねた孫〓(ぴん)だが、その才能に嫉妬し恐れた〓(ほう)涓の残酷なたくらみに嵌ってしまう。かつての友への復讐と兵法家としての意地を賭けた最後の戦いが始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻の方がいわゆる孫子その人に関する小説だが、小説としては下巻の方が物語として一貫したが流れがありずっと面白かった。
    解説と上巻の前置きを改めて読んでみるとその理由が理解できるような気がする。原典に十分な記述がない孫武と、それよりは逸話が多く残っている孫臏の違いであり、歴史を大きく変えてまで小説を創作するものではないという著者の姿勢によるものであろう。
    なかには歴史的事実を顧みない歴史小説もあったりするが、個人的にはこうした姿勢の方が好感が持てる。
    さて、それはさておき、孫子の兵法の実践として面白い小説だった。

  • 全2巻

  • 孫武が活躍した時代から150年後、彼の孫(まだ後の子孫の説も)である孫びんの話です。
    子ども時代は勉学にまったく興味もなく、遊び惚けていた孫びんですが、のちに友人となるほう涓(ほうけん)の影響で、兵法に目覚めていきます。
    時が経ち、魏につかえ大将軍となったほう涓を訪ねた孫びんは、彼の才能に嫉妬したほう涓に、陥れられてしまいます。
    かつての朋友への復讐、兵法家としての意地を賭けた戦いが始まります。

    「兵学者と兵法家とは違うのかな」
    「ちがいますとも。兵学者とは古来の兵法をよく誦(そら)んじ、古今の戦史をよく知り、兵制の変遷などを研究している者です。しかし、単にそれだけの人々です。兵法家は、機に臨み、変変に応じて、最も適当した戦術の案出が出来るなら、古人の兵法など知らんでもよいのです。もちろん、古人の兵法を知っていてもよろしい、古今の戦史に通じていてもかまわない。ただ、それを実際に応用するにあたっては、独自の機略をもって自在の運用をしなければならないのです。それが兵法家です」 ー 220ページ

  • 戦国時代、孫武の数代後の孫臏(ソンピン)は、友人龐涓(ホウケン)の出世を助けたにも関わらず、その才を妬まれ、罠に嵌められて罰せられてしまう。そこから復活した孫臏が軍師として復讐を遂げるまでの話。
    下巻の方が話が話がシンプルで分かりやすい。
    それにしても、保身に長けた龐涓の嫉妬心は恐ろしい。

  • ★2012年10月6日読了『孫子(下)』海音寺潮五郎著 評価B
    上巻は、春秋時代に呉王に仕えた孫武の物語であったが、下巻は、孫武から数代時代が下った戦国時代の孫臏(そんぴん)の物語が取り上げられる。
    なぜ孫臏が、友に陥れられて両足を失う刑罰を受けることとなったのかの経緯が語られる。基本的に、主人公である孫臏の裏切った友人龐涓(ほうけん)に対する復讐の物語であることが、ある意味話を矮小にしてしまって、大らかさのない凝り固まった話に終始している点が残念である。

  • 今度は孫武の子孫、孫賓の物語。未来を嘱望されていた孫賓が友人であった法健(魏)に嵌められてしまい、足を失い、額に入れ墨を入れられ幽閉されてしまう。孫賓は自分の不明を責め、法健に復讐を誓い、脱出して斉の軍師となって追い詰めていく。ある意味、復讐活劇。もう一つは、復讐活劇の中に孫賓と紅奴の恋愛もちりばめられていてホッとなる物語だった。

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著者プロフィール

(かいおんじ・ちょうごろう)1901~1977。鹿児島県生まれ。國學院大學卒業後に中学校教諭となるが、1929年に「サンデー毎日」の懸賞小説に応募した「うたかた草紙」が入選、1932年にも「風雲」が入選したことで専業作家となる。1936年「天正女合戦」と「武道伝来記」で直木賞を受賞。戦後は『海と風と虹と』、『天と地と』といった歴史小説と並行して、丹念な史料調査で歴史の真実に迫る史伝の復権にも力を入れ、連作集『武将列伝』、『列藩騒動録』などを発表している。晩年は郷土の英雄の生涯をまとめる大長編史伝『西郷隆盛』に取り組むが、その死で未完となった。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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