夏の吐息 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 505
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760706

作品紹介・あらすじ

永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。-六年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。

感想・レビュー・書評

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  • 夏に読もうととっておいた小池真理子4作目。
    男女ではあるけれどただの夫婦とか恋人ではない色々な愛の形の短編集。
    個人的には【月の光】の関係がすき。
    『今、月がきれいなんだ。』でなぜか泣けた。
    そんなことを報告してくれるような【春爛漫】から言葉を借りれば『なじむ』相手がいい。

  • 過不足なく、しみじみとする短編集でした。いくつになっても恋愛に慣れることはないしいつもままならない。苦しみたくないけどそうも言ってられずこうなってしまいます。
    愛と死は近いところにあるなぁ。続きがあってもここで終わっても、すべてきっと大事な記憶になります。ほんの少し不幸でも、それもまた悪くはないです。

  • 大人の女性たちの恋や結婚の短編集
    カタチは違えど「死」が絡んでくる
    余韻を残す終わり方はお見事

  • 少し大人な淡くもろい恋愛小説。子どものそれとは違い、さまざまな立場の中で矛盾するような思いを抱えた大人達の物語は胸を締め付けるものになっている。緻密な描写にどこまでも入っていける。

  • 永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。――6年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。著者自ら「この六編を超える作品はもう書けないかもしれない」と語る傑作短編集。

    秘めごと
    月の光
    パロール
    夏の吐息
    上海にて
    春爛漫

    「人生にどんなに悲しいことが起こっても、心に喪失感という大きな穴がぽっかり空いたとしても、通り過ぎた後に、たくましく生きている自分がいることを大人の女は知って居る。ーご本人も作品も、私が子供の頃にあこがれた「大人の女」そのものです」
    (『小泉今日子書評集』の紹介より)

  • よくわからない

  • 「肉体的な欲望をもって、精神的な愛情ももって、そのうえ、そこに言葉がほしい、って私、いつも思ってるんです。なのにそれがいつもうまくいかない。」 言葉を欲する自分がいながら、気持ちを表現しようとすればするほど、本当の思いとはかけ離れて行くような気がする。 「どう頑張って言葉を編み出してみてもね、書き連ねた言葉は嘘になっている。真実ではない。ごまかしがあったり、気取りがあったり、複雑にさせたりしている分だけ、偽物にすり替わってしまっている」

  • 《死を背景としつつ、それに抗う生を、いっそう鮮やかに浮かびあがらせている。》

    男と女の話ではあるが、(男と女と言っても、死んだ友達の不倫相手だったり、偶然知り合ったかなり若い男だったり‥)それぞれの人生が、短編ながら読みやすくまとまっている。どの話の終わりも決して悲観的でなく、ポジティブな読後感に浸れる。

    最後の春爛漫は小池真理子さんらしからぬ、男と女な友情が描かれていて、意外な感じがした。幼なじみのカズは、決して恰好よくはないけれど、関西弁と笑顔がよく似合う、死んだ妻を愛するあったかいイイ男とみた。40、50歳になっても続く男女の友情って、すっごく憧れる。

    全編を通して、透明感がある。
    小池真理子さんの描く文章はやっぱりすき。

  • 「恋」や「愛」という言葉で言い表すことの難しさを感じるような不思議な空気が漂った作品だった。

    恋人になったから、結婚したから、体の関係を持ったからそこに愛が生まれるとは限らないし、愛はもっと果てしなく深いところにあるものなのかな、ともひょっとしたらもっと軽いものなのかなとも考えさせられた。

    表題作も素敵だけど『パロール』が特に好き。
    一つの作品の中から暖かさと寒さが同時に漂ってきた。
    「死」と隣り合わせにあるからこそ「愛」がより引き立って不思議な暖かさと痛さを放って魅力的なものになるのではないかと思った。

  • 2019 12/4

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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