浄土 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.63
  • (46)
  • (93)
  • (110)
  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 768
レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760805

作品紹介・あらすじ

ボンクラの同僚にむかつくOL。占い師を探し求めてさまよう男。
浄土にあこがれ穢土にあがくお前。俺。

「私はあなたと別れます。なぜならあなたが途轍もない馬鹿だとわかったからです。足は臭いし、チンポが臭いくせにフェラチオしろと言うし」誰もがみな本音しか言わないすがすがしい街「本音街」、突然現れ日本を大混乱に陥れる巨大怪獣「ギャオスの話」他全七篇。奇想あふれる破天荒なる爆笑暴発小説集!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 背筋がぞぞとするような物語が多い。
    指先から流れ出た悪いものを食べた同僚の首が回転した挙句ぼとりと落ちたり、俺は凄いと嘯く男の鼻がもげたりする。
    相変わらずの町田節で、時代劇や落語のような言い回しの端々にロックミュージックやらギャオスといった異物が混入してくる。
    一体何が浄土なのかを考えてみる。浄土という話は書かれていない。
    人間の業や理不尽さを削ぎ落として露見させた先に浄土があるのだろうか。

  • 2019.05.19 図書館

  • ギャオスの話がすき。
    町田康節入門として人に勧めたい。
    高校二年

  • ≪犬死≫
    『夏以来、ひどいことばかりうち続く。例えば以前から知り合いで特にどうということもない関係だった男があたふたと忙しげに近寄って来たかと思うと、到底承知できない条件で仕事を依頼、その場で承諾を迫り、断ると大きな声で「ああそうですか」というと挨拶もそこそこに立ち去った。暫くして会合に出席するとその男が居た。彼は人前で私を意味なく怒鳴りつけ、そして急ににやにや笑うと顔を五センチも近づけて、例の話どうでしょう?と言った。私が返事をしないでいると、男は不意に忙しげに立ち去った。いまではほうぼうで私のことを恩知らずと言いふらして歩いているらしい』
    けものがれ~を彷彿とさせる、苦虫を噛み潰したかのような冒頭。男は編集者、豚田笑子から、そんなだったらジョアンナ先生を訪問するとよいと勧められる。初めはプライドもあって行くのをためらっていた男だが、あまりにもひどいことが続くので、迷いつつもジョアンナ先生のもとを訪れることにするが・・・。
    絶対に当たるとわかっている予言を聞くことは果たして意味のあることなのだろうか?

    ≪どぶさらえ≫
    『先ほどから「ビバ!カッパ!」という文言が気に入って、家の中をぐるぐる歩き回りながら、「ビバ!カッパ!」「ビバ!カッパ!」と叫んでいる。』
    町内会でつまはじきに遭い、誰もやりたがらないどぶさらえの仕事を押し付けられ、唯一、自分に憐みの目を向けてくれている(ような気がする)美しく聡明な富久縞さんの存在だけを希望とし、栄光の汚辱に耐える。

    ≪あぱぱ踊り≫
    『俺は凄い人間なんですよ』
    『ああそうなんですか』
    <略>
    『そうなんですよ。だから俺が凄いっていうことを俺自身がいつもわかれるように、こうして俺のファンの子らがいつも俺の側で踊って俺の精神を盛り上げてくれてるんですよ。』
    すごいすごいと言う割には、何がすごいかと問うても教えてくれない男。町田氏の作品の中では、割と理不尽さが少なく、主人公がひどい目に合わずに終わる。

    ≪本音街≫
    皆が本音を素直に口に出すために、一見無秩序に見えるも、意外に効率的に回っている街、本音街。
    この街では誰もがしたい恰好をし、踊りたいと思えばいきなり踊ることも可能。

    ≪ギャオスの話≫
    ギャオスという身長六十五メートル、超音波でものを壊しまくり、人間を食らう、とんでもない獣が東京都中野区に現れる。突拍子もない話の、意外にリアルな政府や世間の反応。かと思いきや、カメラを向けられたギャオスがポーズを撮る、など、一体どこまで真面目に読むべきなのかわからない。
    『カメラを向けている間はギャオスは攻撃をしてこないと分かるや全国から多くの人がカメラを手に中野区北口に押しかけた。豪胆にもギャオスの足にもたれかかりピースサインをする痴れ者もあった。
     キャスターの田和辺六は「そこまでするのはどうでしょう」と眉をひそめて発言、懸念を表明したが果たして惨事は起きた。』
    この辺りや、首相のアメリカへの軍の要請をすべきかの葛藤(どうしようとも結局非難されるというやるせなさ)などは妙にリアル。
    ≪一言主の神≫
    口に出しただけで具現化することのできる(但し、すでにこの世にあるもの以外)力を持った一言主の大神を屋敷に迎え入れた天皇の末路。
    ≪自分の群像≫
    とんでもなくボンクラな同僚のせいで割食ってた会社員、位多子。
    最終的に、復讐、になったのか、なんなのか。しかし、彼の作品には珍しい女性の主人公。そして、結末に理不尽さが少ない。ただ、どちらかというと、しょうもないことを言いふらしたり、人の足を引っ張ってばかりの似田に、海苔を食べさせてほしかったような気もする。

  • まあ、分からない。
    分かったら、じゃあどうだっていう感じでもあるが。
    ただ、一つひとつの文章は、とてもよく分かる。
    心理学の本?ってくらいに、自己とはなんぞというエッセンスが散りばめられている。
    だからどうだっていうね。

  • ギャオスとかあぱぱとか変な擬音が沢山。

  • 途中下車した本
    パラパラとめくって終わった

  • 町田康に整然さを求める方が変だが、インザプールの方が読む分には読みやすかったな……。怪談みたいな話が多かった。ナンバーガールと稲川淳二を2で割った感じ。ビバ!カッパ!

  • 39622

  • 2008-06-00

全82件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年生まれ、大阪府堺市出身。バンド「INU」のボーカリストとして活動する一方、俳優、詩人としても活躍。1996年「くっすん大黒」で小説家デビューし、第7回bunkamuraドゥマゴ文学賞、第19回野間文芸新人賞を同時受賞。2000年「きれぎれ」で第123回芥川賞を受賞以降は、作家としての活動にほぼ専心している。
その他受賞歴として、2001年『土間の四十八滝』で第9回萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で第28回川端康成文学賞、2005年に『告白』で第41回谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で第61回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
上記文芸作が代表作として評価を得る一方、映画化された『パンク侍、斬られて候』など、メディア化作品が多い。エッセイストとしても定評があり、『猫にかまけて』『スピンク日記』などが人気。

浄土 (講談社文庫)のその他の作品

浄土 単行本 浄土 町田康
浄土 (講談社文庫) Kindle版 浄土 (講談社文庫) 町田康

町田康の作品

浄土 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする