浄土 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 973
感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760805

作品紹介・あらすじ

ボンクラの同僚にむかつくOL。占い師を探し求めてさまよう男。
浄土にあこがれ穢土にあがくお前。俺。

「私はあなたと別れます。なぜならあなたが途轍もない馬鹿だとわかったからです。足は臭いし、チンポが臭いくせにフェラチオしろと言うし」誰もがみな本音しか言わないすがすがしい街「本音街」、突然現れ日本を大混乱に陥れる巨大怪獣「ギャオスの話」他全七篇。奇想あふれる破天荒なる爆笑暴発小説集!

感想・レビュー・書評

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  • 50ページ程、読んだところでギブアップしちゃいました。
    私にとっては退屈な内容でした。

  • 背筋がぞぞとするような物語が多い。
    指先から流れ出た悪いものを食べた同僚の首が回転した挙句ぼとりと落ちたり、俺は凄いと嘯く男の鼻がもげたりする。
    相変わらずの町田節で、時代劇や落語のような言い回しの端々にロックミュージックやらギャオスといった異物が混入してくる。
    一体何が浄土なのかを考えてみる。浄土という話は書かれていない。
    人間の業や理不尽さを削ぎ落として露見させた先に浄土があるのだろうか。

  • まさかINUの町田さんが小説家だとは知らなかった。
    初めて読んだけどいい意味で下らなくて笑えた。本音が言えてない本音街が最高に好き。

    あぱぱ踊りの話が通じない男がたまーにいるお客さんみたいで読んでてイライラした(笑)

    自分の偶像の終わり方も好き。

  • 一言主の神が声出して笑ってしまうほど面白かった。訳が分からないほどアホくさくて一気読みしてしまった。2番目に好きなのはギャオスの話で、これもくだらなくて好き。面白い本に出会えて良かった。

  • 町田康に整然さを求める方が変だが、インザプールの方が読む分には読みやすかったな……。怪談みたいな話が多かった。ナンバーガールと稲川淳二を2で割った感じ。ビバ!カッパ!
    ↑2023.02.16
    イン・ザ・プールは奥田英朗だった。

  • 2019.05.19 図書館

  • ギャオスの話がすき。
    町田康節入門として人に勧めたい。
    高校二年

  • ≪犬死≫
    『夏以来、ひどいことばかりうち続く。例えば以前から知り合いで特にどうということもない関係だった男があたふたと忙しげに近寄って来たかと思うと、到底承知できない条件で仕事を依頼、その場で承諾を迫り、断ると大きな声で「ああそうですか」というと挨拶もそこそこに立ち去った。暫くして会合に出席するとその男が居た。彼は人前で私を意味なく怒鳴りつけ、そして急ににやにや笑うと顔を五センチも近づけて、例の話どうでしょう?と言った。私が返事をしないでいると、男は不意に忙しげに立ち去った。いまではほうぼうで私のことを恩知らずと言いふらして歩いているらしい』
    けものがれ~を彷彿とさせる、苦虫を噛み潰したかのような冒頭。男は編集者、豚田笑子から、そんなだったらジョアンナ先生を訪問するとよいと勧められる。初めはプライドもあって行くのをためらっていた男だが、あまりにもひどいことが続くので、迷いつつもジョアンナ先生のもとを訪れることにするが・・・。
    絶対に当たるとわかっている予言を聞くことは果たして意味のあることなのだろうか?

    ≪どぶさらえ≫
    『先ほどから「ビバ!カッパ!」という文言が気に入って、家の中をぐるぐる歩き回りながら、「ビバ!カッパ!」「ビバ!カッパ!」と叫んでいる。』
    町内会でつまはじきに遭い、誰もやりたがらないどぶさらえの仕事を押し付けられ、唯一、自分に憐みの目を向けてくれている(ような気がする)美しく聡明な富久縞さんの存在だけを希望とし、栄光の汚辱に耐える。

    ≪あぱぱ踊り≫
    『俺は凄い人間なんですよ』
    『ああそうなんですか』
    <略>
    『そうなんですよ。だから俺が凄いっていうことを俺自身がいつもわかれるように、こうして俺のファンの子らがいつも俺の側で踊って俺の精神を盛り上げてくれてるんですよ。』
    すごいすごいと言う割には、何がすごいかと問うても教えてくれない男。町田氏の作品の中では、割と理不尽さが少なく、主人公がひどい目に合わずに終わる。

    ≪本音街≫
    皆が本音を素直に口に出すために、一見無秩序に見えるも、意外に効率的に回っている街、本音街。
    この街では誰もがしたい恰好をし、踊りたいと思えばいきなり踊ることも可能。

    ≪ギャオスの話≫
    ギャオスという身長六十五メートル、超音波でものを壊しまくり、人間を食らう、とんでもない獣が東京都中野区に現れる。突拍子もない話の、意外にリアルな政府や世間の反応。かと思いきや、カメラを向けられたギャオスがポーズを撮る、など、一体どこまで真面目に読むべきなのかわからない。
    『カメラを向けている間はギャオスは攻撃をしてこないと分かるや全国から多くの人がカメラを手に中野区北口に押しかけた。豪胆にもギャオスの足にもたれかかりピースサインをする痴れ者もあった。
     キャスターの田和辺六は「そこまでするのはどうでしょう」と眉をひそめて発言、懸念を表明したが果たして惨事は起きた。』
    この辺りや、首相のアメリカへの軍の要請をすべきかの葛藤(どうしようとも結局非難されるというやるせなさ)などは妙にリアル。
    ≪一言主の神≫
    口に出しただけで具現化することのできる(但し、すでにこの世にあるもの以外)力を持った一言主の大神を屋敷に迎え入れた天皇の末路。
    ≪自分の群像≫
    とんでもなくボンクラな同僚のせいで割食ってた会社員、位多子。
    最終的に、復讐、になったのか、なんなのか。しかし、彼の作品には珍しい女性の主人公。そして、結末に理不尽さが少ない。ただ、どちらかというと、しょうもないことを言いふらしたり、人の足を引っ張ってばかりの似田に、海苔を食べさせてほしかったような気もする。

  • まあ、分からない。
    分かったら、じゃあどうだっていう感じでもあるが。
    ただ、一つひとつの文章は、とてもよく分かる。
    心理学の本?ってくらいに、自己とはなんぞというエッセンスが散りばめられている。
    だからどうだっていうね。

  • 面白い〜
    本のタイトル、浄土とはよく言うたもんや。
    人に迷惑かけたり悪いことばっかりしてたらええ死に方しませんよ、ていう昔話みたいな短編集やなぁて。
    とにかく出てくる男どもが屑中のクズばかりで腹立つ腹立つ。どれも身近にいそうなムカつく奴のステレオタイプな奴が勢揃いて感じで、読んでるこちらまで過去の迷惑かけられた、嫌な思い出まで思い出してしまいイライラする始末。
    特に最後の自分の群像というお話に出てくる温田という男。具体的に1人の人物と被ってしまい自分でも嫌になるくらい腹たったし。
    でも町田康という人は、すごく優しい人でもあるんだなといつも感じる。どんなに汚くて嫌な人間を登場させても、誰か1人はまともで人に親切にできる人を登場させてくれる。その人がまた本当にいい奴なんです。救いがいつもあるというのは嬉しい。
    そしてやっぱり面白くてエンタメ性がすごい!
    ついでやけど、この本、表紙の坊さんの仮面が気持ち悪い。夜中に見てしまったらトイレ行くの嫌になるので、寝る前に伏せて置いてた。

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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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