偏愛文学館 (講談社文庫)

著者 :
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760928

作品紹介・あらすじ

夏目漱石、吉田健一、宮部みゆき、ジュリアン・グラック、ラヴゼイ…。古今東西様々なジャンルの「本」39冊を独自の視点観点で紹介する。ブックガイドとしてだけでなく、『大人のための残酷童話』『パルタイ』といった名作を残した著者自身の作品世界、その背景までも垣間見ることのできる究極の読書案内。

感想・レビュー・書評

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  • 倉橋由美子さんのお眼鏡に叶った本の数々。読みたい本が増えました。
    かなり辛辣だけど倉橋先生の審美眼なら信頼できます。倉橋先生もわりとジャンル拘らず乱読されてるな。
    全くの未読なので吉田健一作品が気になりました。

  • 愛すべき作家を紹介してくれる人がいるから、その作家を経由して少しずつ自分を好きになっていけるような気がする。本書を読み、遠い昔、たくさんの憧れに手をのばし、そのなかで自分の好きなものを選び、再三再読して自分を研鑽することに熱を入れてきた人に対して、猛烈に陶然としている。ネットを使わず、自分の直感を信じて動き、出逢った本の物語に心をゆだねてきた人が、ほんとうに羨ましい。
    本書で取り上げられている39冊のうち既読は8冊だった。ジュリアン・グラックの『アルゴールの城にて』は安藤元雄訳と青柳瑞穂訳を読み比べてみたい

  • 10年ぐらい前に亡くなった倉橋由美子さんの書評集。評者である倉橋さんの偏った趣味と嗜好がこれでもかと詰め込まれていて、まさに「偏愛」ぶりを楽しむための書評集です。

    恐らく今では入手困難な本もあるんだと思いますが、有名どころからマイナーな作家まで、和洋中織り交ぜて紹介されているので、面白そうな作品を見つけるには事欠きません。自分が知らない分野の小説を開拓するには便利な本かと思います。

  • 没後に刊行された書評集の文庫版。
    「ああ、あの調子だなぁ」(笑)と、
    エッセイ選集『毒薬としての文学』を思い出しながら読み進めた。
    俎上に載った本のうち既読は三分の一ほどで、
    自分の読書経験の貧しさを再認。
    石川淳の現代語訳「新釈雨月物語」には
    訳されずに切り捨てられた箇所がある、とは知らなかった。
    倉橋氏はその切り捨てを「浅慮」(p.32)だとバッサリ。
    でも、大好きなジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』が
    絶賛されていて嬉しかった。
    これを機に、手を出しそびれていた『シルトの岸辺』を読んでみようかと
    思い立った。

  • タイトル通りの書評エッセイ。全部で38作品、和洋半々くらいかな。3分の1くらいは既読の本だったけれど、残りの未読もののほとんどは、あんまり気軽に入手できなさそうな本だったので、今後の読書の参考にはなるようなならないような(苦笑)。日本の作家は、三島、谷崎、川端、太宰、漱石、鴎外に、上田秋成、中島敦、澁澤龍彦と、わりと馴染みの深い人が多かったですが、意外だったのは宮部みゆきの「火車」が紹介されてたこと。最近のエンタメ系作家の作品とかもお読みになられてたんですね。吉田健一は読んだことないので読んでみようかなと思いました。

  • 冷やかしで手に取ったが、なかなかどうして短い文章に言いたいことがピシッと詰まった旨い文章を書く人である。川端の「山の音」を書いた文章も切れ味があり、批評作品としても申し分ない。壺井栄「二十四の瞳」を懐かしく再読しようとさえ思った。

  • そもそも文学は偏愛、ですよね。

  • 10092

    08/14

  • 小説家が愛着を持つ39冊の小説を紹介するブックガイド的一冊。
    「偏愛」というだけあって、なかなか偏ったセレクトになっています。
    夏目漱石「夢十夜」や、上田秋成、カフカ短篇集など、怪奇幻想な作風がお好みのようです。
    外国人作家は、ジュリアン・グラック、イーヴリン・ウォーなど、全然知らない作家が紹介されていて、今後の読書の参考になりました。

  • ブックガイドのつもりで買ったけど、そういう意味では失敗。手に入りにくそうな本も多いし、あらすじや落ちをここまで明かされてしまうと、改めて読む気はしないかな。ただ、大好きなんだけど私にはその良さをうまく人に説明できない作品について、その素晴らしさを鮮やかに語ってくれている部分にはうっとり。

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著者プロフィール

1935年高知県生まれ。大学在学中に『パルタイ』でデビュー、翌年女流文学賞を受賞。62年田村俊子賞、78年に 『アマノン国往還記』で泉鏡花文学賞を受賞。2005年6月逝去。

「2012年 『完本 酔郷譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉橋由美子の作品

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