天使のナイフ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3863
レビュー : 519
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761383

作品紹介・あらすじ

天罰か?誰かが仕組んだ罠なのか?妻を惨殺した少年たちが次々と死んでいく!

生後5ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが、犯行に及んだ3人は、13歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。4年後、犯人の1人が殺され、桧山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 13年も前に発表された作品にもかかわらず、いまだに頻繁にレビューされているので、10年ぶりについ(?笑)再読。
    内容については、妻が殺された男の物語程度の記憶以外すっかり忘れており、まるで初めて読むかのように読みふけってしまった。
    圧倒的評価で第51回江戸川乱歩賞を受賞したと、解説に書いてあることも大いに納得。これが、デビュー作とは思えないほどの完成度。
    重層的に構築された伏線と、現在の犯罪行為は過去の事件の反映と捉え、一人の女性の哀しい人生を浮かび上がらせる。
    現在も、少年犯罪と少年法あるいは犯罪被害者に寄り添い、人間味あふれながら、罪と罰を問う著書を次々と発表している著者の原点がある。
    この作品では、少年法の問題点とともに、「真の更生とは何ですか」と問いかけている。
    現代社会が抱える問題とミステリーとを融合し、見事なエンターテイメントに仕上げている著者の類稀な才能に、改めて感服した読後だった。

  • 少年犯罪における更生や贖罪をテーマにした、慟哭の社会派ミステリー。

    雇われカフェの店長・桧山 貴志の妻 祥子が、まだ生後5ヶ月の娘の前で殺された。
    しかし、遊ぶ金欲しさに犯行に及んだという犯人三人組は、まだ13才の少年達であったため、罪に問われることは無かった...

    それから、4年後、出所した犯人の1人が殺された。
    TVでも、殺してやりたいと言っていた桧山は、真っ先に容疑者の1人となったが、自分は殺していないと言う。
    果たして、誰が、何のために?

    そして、犯人達を狙った犯行が続く...
    本当の真犯人とは、誰か?

    複雑に絡んだ真実が、一枚一枚剥がれていくスリリングな展開に、一気読み必至です。

    表題の『天使のナイフ』と言うネーミングも、様々な意味を持ち、秀逸かと思います。

    解説でも触れていますが、目に見える事象だけでなく、何気無い事象に、深い意味が隠れています。

    特に、p242で、娘の愛美がアルバイトの歩美に万華鏡を見せるシーンは、何気無いシーンですが、後から読み返すと、とても重要なシーンである事が分かります。

    最後の展開に涙するとともに、関係者が希望を持って生きていって欲しいと願います。

  • 薬丸さん3作目!
    少年法の意味とは?
    本編を通してひたすら投げかけられている。
    自分の大切な人が奪われ、
    その加害者が少年法に守られている。
    自分の大切な人が加害者となり
    少年法に守られている。
    どちらの立場に立つかによって
    少年法の必要性、意義、意味が
    ころころ自分の中で変わってしまう。
    作者はこれを感じさせたかったのかな。
    ってくらい考えさせられる。

    昔は少年少女は知識もなく、
    色々な意見に触れる経験もなく、
    だから間違いを起こす。
    だから更生のチャンスをって。
    それは、昔はわかる。
    でも今の時代は、
    少年少女の方が
    スマホやネットに依存して
    大人よりも情報化社会を生きている。
    法律も時代とともに変わるべきだと
    思うのだけどね。

    2017.4.18 読了

  • デビュー作にして、2005年第51回江戸川乱歩賞受賞作。
    幼い我が子の前で妻は殺害された。しかし、犯人は13歳の少年達だったため、更生と社会復帰を謳う少年法の精神に則り厳罰に処せられることはなかった。4年後、当時の加害者だった少年が殺されたことから、事件は再び動き出す。最後の最後まで、二転三転の目まぐるしい展開が続き、読後の疲労感はハンパないが、一気読み必至。
    被害者遺族にとっては殺してやりたいと憎む相手のことは、少年法の壁に遮られて、その後どんな施設で、どんな気持ちで生活しているのか、本当に贖罪の気持ちはあるのか、といったことも全く分からない。むしろ、取り巻きのマスコミのほうがよく分かっている、という現実には閉口してしまう。法とは人を裁くためではなく、人を守るためにあるものだと実感する。
    法により守られた少年が社会に出てきて、バカ騒ぎをする。一見すると全く反省していないように見えるが、そうすることでしか現実と向き合えないだけなのかもしれないし。だからといって、真面目に働けるかというとなかなか現実社会では…。どちらにしろ被害者遺族のキズが癒えることはないのだろうし…。少年犯罪がもたらす闇に光は当たることはあるのだろうか。

  • デビュー作とは思えないような緻密な構成と秀逸なタイトル。
    あちこちに散りばめられた伏線が最後にはしっかり回収されるので、全てが明らかになったときに驚きです。
    本作はミステリーですが、少年法という今日でも改正や廃止の議論がなされる難しいテーマについて、立場の違う登場人物を通してそれぞれの視点で考えさせられる作品、という印象です。

  • このタイトルの秀逸さよ...

    人間は経験したことしか理解出来ないんだよな、結局。知らなくて良いこともあるけれど、知らなくてはいけないこともある。

    凄いなあ、全部が繋がっている。なんつー構想レベル...
    あと、薬丸さんの書く脇役ってなんでこんなに魅力的なんや...良い味出してるよなあ...これがデビュー作はバケモンでしょ。

  • 荒削りだが読みやすい物語である。
    少年法の改正から数年経つけれど、いったい少年法とは誰のためにあるのだろう。
    加害者が少年だった場合に適応されるこの少年法。
    人格的にも未熟であり更生の余地がある少年法の適応年齢であるとき、その矯正を目的として設けられた法律のはずである。
    だが、少年とはいっても犯罪を犯したことに変わりはない。
    被害者となった者、あるいはその遺族にとっては突然命を奪われることがどれほど理不尽なことなのか。
    加害者の人権や未来ばかりに目をむけずに、被害者の無念を晴らす法律でもあってほしい。
    そんなふうに考えるのは間違っているのだろうか。
    復讐には何の意味もない。
    復讐によって得られるものなど何もない。
    そのことに加害者が気づいてくれたことが救いといえば救いだろう。
    真の贖罪とは・・・を問いかけてくる物語だったように思う。
    考えられた構成のわりに人物描写が弱かったことが残念だった。
    しかし、読者を引き込んでいく力強さや思いがけない結末などを考えると、全体としては読みごたえのある物語だったように感じた。

  • H29.2.9 読了。

  • 素晴らしい作品だと思います。
    オススメ。

  • この本を読んでいる最中に、青森八戸の事件が‥
    なんでバカなことをしてしまうのだろうか…

    少年法・更生・残された者…色々と考えさせられた。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年に『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年に『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を、2017年に短編「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞〈短編部門〉を受賞。『友罪』『Aではない君と』『悪党』『死命』など作品が次々と映像化され、韓国で『誓約』が20万部を超えるヒットを飛ばす。他の著作に『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』『刑事の怒り』と続く「刑事・夏目信人」シリーズ、『神の子』『ガーディアン』『蒼色の大地』などがある。

「2020年 『告解』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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