天使のナイフ (講談社文庫)

著者 : 薬丸岳

• 講談社 (2008年8月12日発売)

感想・レビュー・書評

[み茶さんの感想 · 2023年4月25日]

少年法って…
加害者は守られるけど、被害者のやり場のない怒りはどこにいくのだろう。加害者に関わったことのある被害者しか分からない、という視点で読み直すと色々スッキリする。

[ゆみこさんの感想 · 2023年2月5日]

真相に近づくにつれ、違う事件が見えてきて、この事件のきっかけはなんだったのかを知るのがハラハラした。少年法で罪に問われなくて起こった悲劇が続いてるのが悲しいなぁ。更生って何かも個人の捉え方にもよるし主人公がとても葛藤していて、考えさせられる話だった。

[wataitoさんの感想 · 2023年1月30日]

薬丸岳、衝撃のデビュー作。完成度がやばすぎる。
少年犯罪を扱った重厚な作品。被害者遺族の憎悪と苦悩、加害者の懺悔と更正……決して答に辿り着くことができない問題が全編に渡り描き込まれていた。謎解き要素も秀逸でミステリー小説としても一級品。
ラストで全ての真相が明かされたけれど。心から悔いて更正したいと、被害者遺族の赦しを得たいと一歩前へ踏み出そうとした嘗ての少年犯罪者達が、真の更正を果たしてない奴等に邪魔され散っていたという事実が、何よりも辛く切なくやるせなかった。

[sorataさんの感想 · 2022年11月28日]

少年法について考えさせられる本
魔宮に迷い込んだように戸惑い、出口を探す主人公が辛い。

[こなこなさんの感想 · 2022年11月26日]

最後すべて伏線が回収されて、面白かった

[えりかさんの感想 · 2022年9月5日]

関係者が近くにいすぎな気もするが面白い！

[suzukaさんの感想 · 2022年7月6日]

少年法について考えさせられる。

スタートは、新妻を生後3ヶ月頃の娘の前で殺され、その犯人たちは中学生だった。そのため、被害者家族としては、全く納得できない、裁判にならず矯正施設のようなところで更生を目的に暮らす。そんな生ぬるい、と思わず
「国家が裁かないなら、自分で殺す」
そんなことを、つい気を許したジャーナリストの前で口走ってしまう。（この主人公、桧山自体、未成年の頃、両親を同時に交通事故で亡くしている）

冷静なもう一人の自分は、警察ができないことを単独で、しかも小さな子がいる素人ができるか?と思う。
少年犯罪の被害者になり加害者になり第三者になり、ここまで、そんな経験をした人ばかり、集まるか、と言うと…

犯人のうち保護観察が終わり、普通の生活を送っていた一人が、この桧山の勤務先の近くで殺される。
その時間にアリバイがなく、警察にマークされ疑われる。
一人で事件を追い求める最中、もう一人の犯人が駅のホームで突き落とされる。この現場に、またもや桧山はいた。
そして、最後の三人目も何者かに殺される。

結果的に、予想もしていない人物が犯人なのだが、出てくる人物全て、何かの事件に関連している。何と新妻が中学生の時、殺めた男の娘が拡張型心筋症という難病で海外に渡り手術するにはまだ資金不足だった、不足分1000万円を振込したのは、新妻だった。さらに、その振込の半分を担ったのは、新妻が幼かった頃、えっちゃんを殺しその後弁護士になった男。たくさんの少年犯罪が連載している。

でも桧山の伝えたいことは、一貫して一つ。
日本の法律は抜けばかり。罪を犯した人間の更生の一番は、被害者家族に対し償うこと。心から謝罪して、その後反省してほしい。
それはそうだと思う。
加害者が被害者家族に謝罪に行っても、感情を逆なでするだけで、なんの解決にもならない、そんなことを、元犯罪を犯した弁護士が言うなんて。
最初から登場する、ジャーナリストはもともとは、矯正施設で働く立場だった。仕事内容で、なぜ謝罪がないのか、納得できなくなり、退職してフリーのジャーナリストになった。

なんとも、悲しい日本の現実を感じた。

[ひとみんさんの感想 · 2021年7月17日]

少年犯罪、加害者と被害者、贖罪等のテーマに真正面から向き合った良い小説でした。

[fu-sukeさんの感想 · 2021年5月2日]

圧巻の一冊に出会ってしまった。
一気読み必須。読後の余韻半端ない。

二十歳とゆう若さで命を奪われた女性の
生涯を紐解く物語。
全ての事件の犯人は10代。
罪には問えない。

突然妻を殺され、幸せを奪われた主人公は
何ひとつ知らなかった。
彼女の秘めた心の内側を。

もうこの作品には完敗だ。
どれほど推理しながら読んでも
この結末には辿り着けない。
納得の結末。
感動の一冊。

[やかんさんの感想 · 2021年4月25日]

最後までどんでん返しがあって息をつけない。
めちゃめちゃ面白いし、とても読み応えのあるミステリーだった。

少年法や少年犯罪について学びたいと思った。

著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Ａではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」