魔王 (講談社文庫)

  • 講談社 (2008年9月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784062761420

作品紹介・あらすじ

魔王とは何者なのか?魔王はどこにいるのか?
世の中の流れに立ち向かおうとした兄弟の物語。

会社員の安藤は弟の潤也と2人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、1人の男に近づいていった。5年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

みんなの感想まとめ

人間の絆と自己の力を探求する物語が描かれています。兄弟の安藤と潤也は、それぞれ異なる特異な能力を持ちながらも、強い絆で結ばれています。兄の腹話術の能力や、弟の賭け事の才能は、彼らの成長や葛藤を通じて、...

感想・レビュー・書評

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  • 伊坂幸太郎さん(1971~)の作品、ブクログ登録は16冊目になります。

    本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

    ---引用終了

  • それぞれが違う特殊な能力を持った兄弟が、世の中を変えていきたいと決意し、立ち向かおうとする
    この作品の様に強い指導者が出て来た時に、他人の意見を迎合することなく、俯瞰的に物事を見る事が出来るのだろうか?
    疑問を抱く事が出来るだろうか?
    それは家族だったり、学校、職場、どこの世界でも同じ事だと思った
    「考えろ、考えろ、マクガイバー」

    作中に出て来る宮沢賢治の『注文の多い料理店』とシューベルトの『魔王』の歌も、ファシズムに巻き込まれて気付かない、考えているつもりになっている暗喩として用いられている

    テーマが現実的な問題であり、突き刺さる言葉が多いので、読んだ後も引きずり考えさせられる
    そして完成系ではないので読後感はスッキリしない
    しかし『モダンタイムス』に話が続くと他の方々のレビューにもあったので、後々読もうと思っている

    もし自分に兄の様な特殊な能力があったら、どう使うか?
    弟の様な特殊な能力があったら、どう使うか?
    ちょっと考えてみるのも楽しい
    「ドゥーチェ」のマスターと兄の対決は、エスパー対決みたいで独特の世界観だった
    離れた場所にいながら目と目で心と心で戦い、人知れず決着がついていた
    ちょっと怖い。。。
    そして千葉がいた(O_O)
    千葉ってあの千葉だよねー?!
    いつも思うのだが、他の作品のキャラクターが出て来ると嬉しくなるのは何故だろう?(笑)

  • 腹話術の能力を持った兄と、後に賭け事の能力を持った弟。二人には強い絆があって、能力以外での強さを持っている。ゆっくりと話は進んでいるのに心の中ではモヤモヤし、どうなるのかという期待感が強いまま読了。政治だけでなく世の中の様々な出来事に対して流されず、自分の考えを持とうと思わされた小説。

  • GWは伊坂幸太郎2冊。前半の「魔王」は安藤の話しで安藤は自分が念じたことを相手に話させる(腹話術)ことができる。後半の「呼吸」は安藤の弟・潤也の話しで潤也は賭けに勝つ能力を持つ。魔王の正体は「日本の世論」であり、兄弟は日本がどう舵をとるべきか真摯に考え、彼らなりの正義を持ち、一貫した考えから各々の能力を使うのである。日米安保・憲法九条がどうあるべきか、安藤はカリスマ性を味方に、潤也はお金を味方に世論を変えられるかを試みる。結局、日本の世論は熱しやすく冷めやすいので正義とは何かを捉えるのが難しいかもね?

    諸君はこの颯爽たる 諸君の未来圏から吹いて来る 透明な清潔な風を感じないのか BY 宮沢賢治

  • 物語の最初から最後までずっと、ざわざわと心が落ち着かなかった。
    外側から見れば何だかおかしいぞと思うことも、一歩内側に踏み込んでしまえば、たくさんの人が同じ方向を向いていることに安心し、何がおかしかったのか思い出すこともなくなってしまう。内側では、皆がまだ大丈夫だと根拠のない自信を持ち、勇ましくそして心地よい響きの言動に誘導され、その結果を都合よく自分勝手に解釈する。毎日流される膨大な情報のどれが正しく、どれが間違っているのか。わかったつもりでいることの危うさに気づかない。
    考えろ考えろ。安藤兄が対決するべき魔物はいったい何だったのか。犬養か国家か。群衆となった人々か、それとも世間の空気か。どれにしても安藤兄が対峙する相手はあまりにも大きく、個人で太刀打ちできるものではない。それでも安藤は立ち向かう。
    そして、弟潤也も兄とは異なる形でその何かに立ち向かおうとしている。けれど、大きな流れとなりはじめてるその何かに抗うには、ふたりはとてつもなくちっぽけな存在だろう。兄が大切にしていた「考える」ことだけでも、潤也が蓄えている「お金」だけでも世界を変えることは出来ないと思う。
    「でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば世界が変わる」
    流されるままに向かう先に望む世界はあるのだろうか。考えろ考えろ。覚悟はできているのか。

    • やまさん
      地球っこさん
      こんばんは。
      やま
      地球っこさん
      こんばんは。
      やま
      2019/11/09
    • 地球っこさん
      やまさん、おはようございます。
      コメントありがとうございます(*^^*)
      やまさん、おはようございます。
      コメントありがとうございます(*^^*)
      2019/11/10
  • 兄の能力は、面白いと思った。
    マスターの能力は、恐ろしいと思った。
    弟の能力は、心の底から欲しいと思った。
    ストーリー展開は流石だなと思った。

  • 魔王 伊坂幸太郎さん

    1.購読動機
    2020年。山にもいけず本を読む時間が増えました。
    伊坂幸太郎さんは、アイネクライネナハトムジークが最初の出会いでした。
    サブマリン、チルドレン、グラスホッパー、そしてガソリン生活など10冊弱購読してきました。
    どの書籍も世界観が違いました。だから、読むたびに新しい風を感じることができたのが心地よかったです。
    読みつづけたい作家さんのお一人です。

    2.作品 魔王
    主人公は、幼くして両親を事故でなくした兄弟。
    兄は、ある日自身の特殊能力に気づきます。
    自身が念じたことを、相手に発言させることができる能力です。

    国内の政治は混迷を極め、野党による政権交代の機運が高まります。
    その野党党首のメッセージに、違和感を覚えた兄は、能力を使い、失脚への道への画策を始めます。

    タイトルの魔王。
    シューベルト作曲です。
    その物語と、この作品がどのようにリンクするのか?

    ページを開いてお楽しみください。

    3.読み終えて
    『人間の進化の最大の武器。
     それは好奇心である。』

    主人公兄弟からのメッセージです。
    言い方かえれば伊坂幸太郎さんからのプレゼントです。

    外的環境は、自己がコントロールできないことだらけです。
    しかし、そこで無関心、放置ではなくて、一隅、そう自身の手の届く範囲にのみ行動を起こしてみること。
    私は、一読者としてこの内容を気づきとして贈られました。

    魔王。
    見えない、忍び寄る世界は、怖がるのでなく、まずは目を向けること。

    #読書好きな人と繋がりたい

  • ちょっと難しかった。
    伊坂さんの他の作品よりユーモア部分が少ない気がする。

    ただ、これが20年前に書かれた作品ということが驚き。
    今の時代にもあてはまる描写が多くあり、伊坂さんの才能こそが人間離れしていて「魔王」ではないかと思ってしまうほど。

    腹話術のような超能力を身につけた安藤・兄が語り手の「魔王」と、安藤・弟の妻目線で語られる「呼吸」の2つのパートに分かれている。
    「魔王」はとにかく読んでいて苦しかった。
    集団は罪の意識を軽くするというのは本当にそうだろうなと思う。

    「呼吸」は、「魔王」よりは幾分軽い気持ちで読めた。
    私も自分の考えで動ける人になりたい。
    著者があとがきで「呼吸」のその後に興味がある方に「モダンタイムス」をおすすめしてくれているので、ぜひ読んでみたい。

  • 考えろ考えろマクガイバー...

    生きていれば、こういうこともありますね。

    でたらめでもいいから、自分の考えを信じて対決していけば、そうすりゃ、世界が変わる。



    いろいろ考えるきっかけを貰ったお話でした。

    消灯ですよ!

  • 「魔王」と「呼吸」の2部構成。
    著者、お得意の特殊能力系ではあるが、他作品と少し毛色が違い、ややメッセージ性に比重を置いているように思える。
    結末はモヤっとしたが、続編があるようなので楽しみ。

  • ファシズム、政治をテーマにした物語。
    前半の魔王でしっかり伏線を貼って後半の呼吸に期待したが後半が弱く伏線回収も弱かった…
    特に宮沢賢治の詩を使いながら不思議な世界感に入っているような感覚があったのに残念…
    ただ巻末に筆者が書いておられたが続きはモダンタイムスでということだったのでモダンタイムスを読めば何かが起こるかも…

  • 世の中の流れに立ち向かおうとした兄弟の物語。

    伊坂さんがあとがきで「ファシズムや憲法、国民投票などが出てきますが、それらはテーマではなく、そういったことに関する特定のメッセージも含んでいません。」と書いている。

    ならば、この作品のテーマなんだろう?

    「とにかく時代は変りつつある」『時代は変る』ボブ・ディラン
    「時代は少しも変わらないと思う。一種の、あほらしい感じである」『苦悩の年鑑』太宰治
    巻頭にあったこのふたつの文がとても心に残った。
    これがこの小説のテーマのひとつかもしれない。
    この先時代は変わるのか、変わらないのか…

    この作品から感じた不穏な流れ、世の中の怖さ、その雰囲気は嫌いじゃなかった。
    流されるな、「考えろ」とずっと投げかけてくれた。大事な事だと思う。
    「政治家が賢いのと馬鹿なのでは、どっちが怖いんだろう」
    この質問は凄い。考えろ、考えろ!

    ただ、お兄さんのしたかった事、潤也くんがしようとしている事、犬養という人、そして、帯に書かれている「魔王とは何者なのか?」、どれもはっきりしなかったなぁ。
    モヤッとした終わり…

    何より、ファシズムとは何か、ファシズムの何がいけないのか、統一とは悪い事なのかがメインなので私にはちょっとハマれなかった。

    この作品に私の大好きなあの人が!何を調査しにきたの?

  • 熱狂の渦に飲み込まれず、立ち尽くす一本の木になるのは至難だと感じました。
    考え貫くのは難しいです。

    「ずるずると、磁石に引っ張られるみたいに、物騒な方向に向かっていくんだ。」

  • 表題作の「魔王」とその5年後を描いた「呼吸」という構成。

    「魔王」は、念じたことを相手に喋らせることのできる能力を持つ安藤が、危険な政治思想と戦う物語。「呼吸」は、5年後、安藤の弟の潤也の物語。

    単行本は2005年の刊行。この頃の伊坂さんは神がかっていて、何を読んでも面白かったなぁ。

  • 「魔王」と「呼吸」
    単行本の刊行が、20年前と知ってビックリ。今読んでも古臭さを感じない。世の中が変わってないということかもな。
    直接的な続編ではないらしいが、「モダンタイムス」という「呼吸」のその後の話もあるとのこと。

    不穏で不思議な話だった。
    読後、ざわざわもやもや不安になった。

    自分の意思や思考によって発言や行動していると思っていることが、誰かの意図かも?みたいな怖さ。
    クーポンやらポイントやらに左右される行動って、選択しているようで選択させられているとも言える。
    でも、お得さに負けてしまうのだけど(笑)

    自分自身に対してさえ、確固たる考えで行動していると思うことは傲慢なのか?
    自分の輪郭が曖昧になりそうだから、この方向へ深掘りするのはやめよう。

    知り合いでも政治家でも同僚でも、誰かにしゃべらされてる…なんて考えてしまったら、やっぱり足元が崩れそうで困るな。
    他者に関与する兄の能力?は怖いな。

  • 2005年初版。著者の作品は比較的読みますが、今までと少し違う感じがしました。まだ終わってないような。解説を読んでみて、「モダンタイムス」と言う作品が続編ぽいようなので読んでみようと思っています。特殊な能力を持つ兄弟、世の中の流れに抗おうとして、結果的に何もできなかった兄と行動を起こそうとする弟。弟のその後がどうなるのか興味があります。それが「モダンタイムス」なのかなあ。

  • 2020(R2)10.24-11.3

    特殊な能力に気付いた兄弟が、世の中の流れに立ち向かう物語。

    これは評価が分かれる作品だと思う。

    平和ボケしている日本に現れた若きカリスマ政治家と熱狂する国民。

    「平和ボケしている今の私たちに対する伊坂幸太郎からの警鐘」とも受け取れるのだが、ここから山場かって時に終わってしまう。

    特殊な能力に気付いた兄弟が、世の中の流れに「立ち向かいかけた」物語、なのだ。

    どうもこの話には続きがあるらしい。
    とすると、本書は、その物語に入っていくためのエピローグ的な位置付けなのか?
    それならそれで、なかなかニクい演出ではある。

  • 考えないで流されてしまう民衆達。
    人が信じているから僕も信じよう。
    自分で考えもせずに流されていないか?
    流されていく人が多くなるとそれがあたかも正しい意見のように思えてくる。
    それは本当に正しいのかもしれないし、そうではないかもしれない。そう感じた。

  • 勘繰ると色々奥深い気がして難解。
    最後まではっきりしなくてモヤモヤする部分は多いけど、続編を読んですっきりするかな?
    読んでいる間、伊坂ワールドにはまって不思議な時間を過ごした気分。

  • 私がこの小説から受け取ったメッセージは「流されるな、考えろ」だった。

    解説にもあるが、安藤兄弟は、それぞれのやり方で危険な思想に傾く大衆の流れに逆らおうとしている。解説では、兄は情報を直視し、疑うことを武器に。弟は、情報から距離を置き、日常の平和を感じることで情報に右往左往する世論に逆らおうとしていた。

    自分には、2人のやり方がどちらも大切に感じる。常に批判的に考えることで、短絡的な結論を回避することも大事だし、膨大な情報から距離を置き、流行と相反する普遍的な幸せや平和を自覚することも大事だと思う。

    ------

    犬養の言葉に、「お前たちのやっていることは、検索で思索ではない」とあった。これを読んだときにハッとさせられ、もう一つ似た言葉を思い出した。ニーチェは「本を捲ることばかりしている学者は、ついにはものを考える能力を喪失する」と言ったらしい。ネットで検索するにしても、本読むにしても、優れた考えを効率的に吸収できるかもしれないが、それが最適解であると信じ込むのは危険ではないかと思う。

    -----
    安藤兄は、「でたらめでもいいから、自分の考えを信じて、対決していけば世界が変わる。」と信じている。これは案外正しいのかもしれない。自分の考えを持たずに、周囲やネットの情報を信じてしまい、疑うことを知らなければ、たとえ失敗しても、その失敗を偶然と片付けてしまう気がする。逆に自分で考え、仮説を立て、実験を繰り返していけば徐々に仮説が質の高いものになっていく。

    それに、受け売りの考えを脳死でひけらかす人よりも、やや偏見が混じっていても、不完全でも、経験に基づいた自分だけの考えを持った人の方が魅力的に写る。伊坂さんの作品に出てくるキャラクターが魅力的なのも、そういう不完全だけど芯のある人間性のようなものが要因である気がする。

    -----

    最後に余談だが、猛禽類の定点調査をしているシーンは、本当に自分が広大な自然の中で青空を眺めているような気分になれて、気持ちが良かった。鳥の視点を借りた描き方も、人間てまは見ることができない景色を体験できて新鮮だった。

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著者プロフィール

1971年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、08年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞、『逆ソクラテス』で柴田錬三郎賞を受賞。ほか『砂漠』『グラスホッパー』『火星に住むつもりかい?』『フーガはユーガ』『シーソーモンスター』『クジラアタマの王様』『ペッパーズ・ゴースト』など多数の著書がある。

「2021年 『小説の惑星 オーシャンラズベリー篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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