火のみち(上) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761550

感想・レビュー・書評

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  • 満州から命からがらで故郷に戻った南部家族、9人いた家族が日本の地を踏めたのは7人だったしかし、満州から帰ってきた家族を暖かく迎え入れる場所は無し。
    何とか親戚のボロ小屋で暮らすことに、勿論食べ物もなければ働く場所もない、母親は病気を抱え働くことができない身の時姉は家族の為働きに出が二度と家族と暮らすことはなかった。

    姉の仕送りで家族細々と暮らしていたが母の病気が悪化し帰らぬ人に、、
    母の葬儀は借金してあげたものの返せる見込み無し

    「妹を売っらないか」と言われ妹を守るために人を殺した兄次郎
    それから刑務所生活が始まった、気性の荒かった次郎は刑務所で問題児だったが
    陶芸を作るメンバーとして加わった次郎、この運命が彼の人生を変えた
    心を無にして土を練ることが次郎にとって性に合っていた

    命がけで守った妹は高校を卒業するとともに女優の道を行くことを決意
    芸能名と体一つで女優への道を目指す妹、兄は10年を服役を終え陶芸の先生の元へ引き取られることになった

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  • 感想は下巻へ。

  • Rさまオススメ本乃南さんの上巻
    久々に?最初から面白い。
    時代背景もさらっと交えて描かれるので話に納得感もあり。
    それにしても、良い兄弟だなぁと思う。
    私としては八重子がほんとにイライラしてしまう。
    女に暴力は絶対に許せないけど、殴り付けたくなるのはわかる気がする。

    上巻でこんなに面白くして、下巻ではどんな話になっていくのか?
    楽しみです。

  • 父や長兄は戦死し、戦後満州から引き揚げ、広島県は呉に辿り着き、母を支えながら生きていく兄弟姉妹4人。長姉は、家族を支えるために身を落とし、主人公の次男・次郎は、小学校にも通えず、家族を支え、妹を助けるために殺人事件を引き起こしてしまう。一家離散となった南部家。次郎は、岡山刑務所で偶然にも備前焼・陶芸と出会う。一方、妹は、施設に預けられ、そののち上京、女優への道を歩むことになる。

  • なかなか面白かった。
    南部次郎という陶芸家の生涯を描いた作品
    備前焼との出会い
    青磁/汝官窯との出会い
    家族、仲間との繋がり

  • 乃南アサはミステリ作家だと思っていたので、刑務所からでてきた(元?)殺人犯が陶芸に取り組む話ということでつまらないかと思っていたが、予想以上に面白い。今は成功しているように見えても、昔犯した罪が自分や周囲の未来に常に不安や暗さを落としている感じが重苦しくて辛い。
    八重子は、一途で気持ちとしてはわかる部分もあるのだが、とりあえずうっとおしいのと粘着質な感じにイライラさせられる。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    父が戦死し、戦後満州から引き揚げてきたどん底の生活の中で母まで亡くした南部次郎は、わずかな葬式費用の形に幼い妹を連れ去ろうとする男を撲殺してしまう。きょうだいは離散し服役中も渦巻く憤怒を抑える術すら知らない次郎は備前焼と出会い、ひたすら土を練ることで、ようやく心が鎮まっていく―。

    平成29年1月2日~6日

  • 上巻は面白くて引き込まれます。
    時代に巻き込まれ離れ離れになった兄弟。罪まで犯してしまうことになってしまうが、心のよりどころとなるのはやっぱり兄弟。
    時代の移り代わりによる妹の葛藤・・時代に取り残された兄の葛藤・・
    その中で二人がみつけたそれぞれのみち
    ぐんぐん読めてしまいました。
    下巻につづく

  • 仕事で陶器について少しだけ調べたことがあり、その延長で読みました。
    さくさく読み進めるわりに厚い分、中々読了できず気が焦りました。早く後編が読みたいです。
    余談ですが「竹林遥か遠く」の後に読んだら、時代設定が近くて驚きました。

  • 上下巻の感想。
    下巻でまさかソッチに行くとは。てっきり順風満帆な生活が過去の犯歴によって崩れていくと勝手に予想していたので、汝窯にのめりこんでそのままとは。これいかに。
    内容自体は面白く、読みごたえがある。
    ただ、私の好きな乃南作品は女性が主人公である時が多いから、これはイチオシとはいかないかな。

  • 乃南アサさんの本を読むのは『凍える牙』以来かも・・・。なのでかなり昔のこと。
    でもその時にとってもおもしろくて、この人の作品好きだなぁ・・・と思った記憶があります。
    この作品は長編でしたが、どんどん読み進めることができました。おもしろかったです。

  • 大きく変わっていく戦後の昭和を舞台に、過酷な人生を強いられた兄妹の話がすすんでいく。
    殺人という重い罪を背負ったのは兄だけではなく妹も同じだった。赦しを請うが如く陶芸に命を注ぎ込む兄。兄と世間に好評できなくても、陰ながら支える妹。
    兄妹同士、時には理不尽なことがあっても、やっぱり大切な存在であり生きる支えであることが伝わってくる。

  • 戦後から復興期を生きる君子の心、その君子を守るために入ることになった刑務所の中で備前焼に出会い変化していく次郎の心。
    時代背景と共に自然に引き込まれる内容。

  • 「火のみち」というのは、ここでは陶芸で成形した土を焼く時の、窯内で通るであろう炎の道のことをさす。

    陶芸家はそれを想像しながら、何処にどのようなものを置けばどのように仕上がるか、考えながら並べていくらしい。

    火を入れ炎が最高潮に達した時、「ごう~」と地の底から響くような音がするらしい。

    この音を聞いてみたいと思うし、陶芸の幻の最高傑作といわれる、汝窯を見てみたいとも思う。

    が、汝窯の作品の写真が台湾故宮博物院のホームページに出ているのを見た限り、実物を見ても感動できなさそうなので、やめた方がいいかもしれない。

    ブックオフで「火のみち」という本が3冊並んでいて、よく見ずに上中下巻だろうと思い買って、家に帰って眺めたら、下巻が2冊あったのに気がついた。損した。ま、105円だけど。

  • 殺人の罪を犯した男が、服役中に備前焼に出会うことによって、自らコントロール出来ない憤怒を作陶に込める。
    男が内縁の妻に暴力をふるうシーンは、吉村昭氏の「仮釈放」を思い出した。償いが終わっても、業から逃げることはできないのか?
    下巻で男の人生はどうなるのか、また大女優になった妹の今後はどうなるのか。とても楽しみである。

  • 陶芸をテーマに描かれた作品。
    上巻では、昭和の戦後の時代を必死で
    生き抜いてきた主人公と、その家族の
    物語が主になっている。

  • 小さい頃から家族のために苦労してきた次郎。妹を守るために殺人までもを犯す。その後、刑務所で陶芸と出会い、それは自分を夢中にさせた。

  • 戦後の混乱期運命に翻弄された、家族の、生き残った兄弟の物語。たくさんのやんごとなき時代の波と状況で殺人という犯罪を犯した、次郎の慟哭が物語を包む。そこに、妹が女優となって活躍し出すという運命を見事に両輪としてからませている。どうなるかと固唾をのんで読み進めた。次郎の心理描写や昭和の世界観がリアルで読みごたえ抜群だった。

  • 乃南アサ2冊目。この人好きだなぁ。

  • かなり面白かった。
    父親が戦死、
    満州から引き上げるときに、兄弟を次々と亡くし
    母親は心身ともに弱り。
    残された子供たち。

    中学生だった南部次郎は、荒れ狂う日々を送り
    それでも、妹を守るため、家族を守るために必死だったがため。

    ところが、母が亡くなり、
    親切にしてくれた大人がいたと、喜んだのもつかの間、
    12歳の妹を、売れと言うのだ。

    殺人を犯してしまう次郎。
    10年の刑期が始まっても、短期で、どうしようもない「怒り」は、そのまま
    すぐに拘束されてしまい、独房へ。

    姉は、金の工面をするといい、連絡取れず
    弟は行方不明。
    残った妹は、デパート勤務をはじめる。

    その妹にチャンスがめぐってくる。
    女優への道。

    この女優への道が、とてつもなく面白い!
    この次郎が、そんな妹との手紙のやりとりのなかで
    だんだん世間を分かろうとし、勉強をしたいと思い
    刑務所の勤めのなかで「器」を土から作ることをはじめたのがキッカケで
    夢中になることを覚える。

    刑期を終えた次郎が生きる道は・・
    妹が生きる道は・・

    さ!下巻へ!

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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