火のみち(下) (講談社文庫)

著者 : 乃南アサ
  • 講談社 (2008年9月12日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761567

火のみち(下) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 最近よく読んでいた「芝木 好子」という人の本とよく似ていた。
    (この人の本はほとんど絶版になっているらしい)
    戦争の話、焼き物の話、流れまでよく似ていて不思議な気持ち。

    それでも、先が読めないドキドキ感もあり、ああやっぱりかという脱力感もあり。
    気が付くと感情移入して読みふけってしまっていた。

  • 主人公の南部次郎は、鳥取に移り住み、弟夫婦も引き取り、備前焼作家として世に認められ始め、やっと落ち着いた生活を手に入れることができた。が、その矢先、上京の折に、ふとデパートの展覧会で目にした青磁、そのなかでも最高傑作といわれる汝官窯に惹かれ、のめり込み、生活も顧みず研究とそのための費用を妹の君子に依存していく。
    家族や仕事、家計を顧みず、歯車が狂い始めた次郎は、果たして………。

  • 汝窯に命をかけ、多くのものを捨てた次郎は果てしなく孤独であるが、求道者はこれぐらいできなければいけないのかもと思う。社会的には最低な人間だが。
    殺人についてはあまり出てこなくて拍子抜けしたけど、場面場面で心の傷となっていることが出てくるのがリアル。
    しかし、写真しか見ていないからかもしれないが、汝窯の魅力はよくわからない。比べるのもおかしいのだろうが、備前焼のほうが温かみが感じられて好ましく感じる。次郎は汝窯の冷たいわけではないが、寄せ付けない感じがよかったのかな。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    妹は女優として成長し、刑期を終えた次郎も独立して窯を開く。暗い過去ゆえに兄妹を名乗れないながらも家族の絆が深まる中、次郎は中国宋代の青磁・汝窯に魅入られる。「雨上がりの空の色」と称される幻の器を自らの手で蘇らせたいという激情はどこへ向かうのか。戦後昭和という時代を描ききった意欲的長編。

    平成29年1月6日~10日

  • 戦後を必死に生き抜いてきた兄妹が晩年が描かれている。

    取り付かれたように汝窯の研究に没頭する兄と、経済的にも大きな負担を背負わざるを得なかった妹。
    痛々しいくらい展開だったが、決して消えることにない罪と向かい合いながらも、お互いを支え合ってきた兄妹であることの見えない力を感じる最後でした。

  • 前半はおもしろいと思う。
    後半になり、焼き物に取りつかれた男の人生の話になり、私は物足りなかった。
    長女の行方が気になる。後半に登場して欲しかった。

  • 戦後、満州から引き揚げてきた次郎一家。父も兄も戦死、残されたのは病気の母と子どもだけという境遇。以前読んだ「秋好英明事件」を思出だしました。
    貧しく無学である故、次郎は殺人を犯してしまいます。塀の中ではじめて、次郎は自らの人生を注ぐべき対象となる陶器作りに出会い、目標をもって生きていくことになります。
    そんな次郎とは対照的に、塀の外では戦後復興で著しく経済成長していく日本と、それに並走するように妹の君子が女優として活躍していきます。昭和の移り変わりが随所に描かれ、実体験はなくとも懐かしいと感じられました。
    出所後、次郎は自分をとりこにした汝窯を追い求め、苦しみ、最後に彼なりに昇華して亡くなっていくのですが、その執念に息苦しくなりました。芸術の追及に完全はないのでしょう。
    気がかりだったのは、出稼ぎに出た姉の行方が最後までわからなかったことです。戦後間もなく、若い女性が家族に仕送りできるような仕事と言えば、米兵相手のものだったでしょう。
    戦後史の影の部分ですが、当時は姉のような境遇の女性も多かったことと思われます。姉の人生についても触れてほしかったです。

  • 下巻
    次郎、君子それぞれに手にした、いびつではありながらも安住を手にしながら次郎は汝窯に魅せられてしまい歪んでいく周囲との関係。
    青磁や汝窯に関する専門的な記述は上巻の入り込み易さからするとへこたれそうになったが、全ては最後への助走。
    途中読んでいて次郎は何を求めているのか分からず、日本が敗戦から顔を上げわき目もふらずがむしゃらに復興していく様やそこからくる歪みなどの時代背景と君子の生き方が重なってそこから物語に入っている方がずっと読みやすかった。
    しかし最後に家族を守るために殺人まで犯した次郎が逃れられなかった孤独を救ったのは次郎を狂わせさらに孤独に追い込んだと思っていた汝窯。
    しばらく余韻に浸るほどよかった。

  • 幻の器といわれる中国宋代の青磁・汝窯に魅せられ、そして孤独になった次郎。波乱万丈の人生を送りながらも懸命に兄を支える君子。
    兄妹の絆と芸術家の孤独感が、戦後昭和史と重ねて描かれる。幸福とか不幸ではなく、どう生きてきたのかを問う乃南アサさんの意欲作である。

  • 下巻では、中国の汝窯に取り付かれてしまった
    主人公の兄の話しを中心に展開される。
    中国の陶器の歴史も詳しく描かれ、中国の
    青磁を実際に見に行きたくなった。
    また、終わり方も、納得のいくカタチで終わって
    乃南アサらしかった。

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