哀国者 (講談社文庫)

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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761635

感想・レビュー・書評

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  •  2016-10-09

  • もうこの頃には新刊を心待ちにしていたハズ。

  • マルキシズムは歴史的な役目をほぼ終えたと考えてよいが、「下部構造は上部構造を規定する」と看破したマルクスの「史的唯物論」は今後も世俗の事象を説明するのに援用されるだろう。『哀国者』が既視感に近い現実味を帯びて文字をたどれる最大の理由は、僕らがすでに『NYPD Blue』や『24』などのTVドラマで、アメリカ人やその国家についてどれだけ切迫感をもって表現する必要があるか、たっぷり刷り込まれているからだろう。つまり、「アメリカ人としてアメリカに住まわなければ成立しない」たぐいの物語、なのだ。主人公のボディガードあがりのタフガイ、アティカスは、たしかにもったいぶった回りくどい物言いを、キザと言うにも呆れるぐらい多用するのだが、緊迫感だけが漂う言い回しからは個性の息吹はまったく聞こえてこない。まさしくアクションゲームでプレーヤーが操作するアバターそのものである。描写も過度に身体感覚に依存しており、危機感を最大化させる意図はくみ取れるが、はたしてこれをアメリカ伝統のハードボイルドの系譜に置いていいのだろうか? 臨場感を求めるなら、『NYPD Blue』のような「小刻みに震える」カメラワークを映像で見せられると絶対かなわないし、なによりいまは現実がそうなんじゃないのか。そう考えると、心を突き刺すような箴言たちがちりばめられた上質のハードボイルドを生み出す下部構造がアメリカからは失われてしまったのだろうか、と思ってしまう。描写も凄惨なのでR-15指定。続編の『回帰者』は読む予定。

  • やっぱりルッカは面白い。前作で物凄い舵の切り方をしたのでどうなるのかとワクワクして読んだが、本当に上手く纏めている。最後に何処へ行き着くのか次回作を想像すると早く読みたくて堪らない。

  • 現時点での完結編と云われている「回帰者」からアティカス・シリーズを読み始めた邪道な読者なので、どんな目にあってもアティカスやドラマが死なないのはわかっているんですが、ドキドキします。ワイオミングのモーテルで別れた二人が27時間後にウィルミントンで再開したシーンが印象的。アールへの決着はあっけなくて少し残念。

  • 前作「逸脱者」が出色だったので、いささか物足りなくもあるが、やはり面白い。シリーズの中では「逸脱者」および本作が最も読み応えあり。

  • アティカス・シリーズ。

  • 前作あたりから、ボディーガードモノから逸れてきた本シリーズは、今回で完全に逸脱しましたねぇ。
    重い内容も軽妙に読ませる本シリーズがルッカ作では一番好きです。が、どんどんキャラが減って重くなっていく話に、次はどうなる事やら……

  • 前作から引き続き、チームアティカスが好きで読んできた者にはあんまりな展開…キャラに対する非情さ、シリーズ方向転換の潔さはアメリカのTVドラマを思わせる。読ませるし面白いんだが、やっぱ割り切れない思いが残るなぁ。

  •  本書はシリーズの第6弾作品だった。知らずに本書から読んでしまった。シリーズはこれまでに紆余曲折どころか、「逸脱」さえあったらしい。本書は面白く、1作目から読んでみたいと思えた。ハードボイルド系の作品。アクション、サスペンス要素もあり、好みに合った。内容(「BOOK」データベースより)あの男の裏切りで友は死んだ。男の行方はどこか、指示を出したのは誰なのか?亡霊たちへの思いと復讐の決意を胸に、グルジアで二年半の潜伏生活を送るアティカス。愛する女とのその暮らしは一通のメールで打ち破られ、やがて強大な標的が姿をあらわし始める。新展開のアティカス・シリーズ最新作。

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著者プロフィール

●グレッグ・ルッカ[作]……2000年頃からワンダーウーマンやバットマン関連誌のライターとして活躍。『バットウーマン:エレジー』や『ワンダーウーマン:ヒケテイア』(共に小社刊)などを担当した経歴を持つ。

「2022年 『ゴッサム・セントラル:狂気と哄笑と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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