- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062761949
感想・レビュー・書評
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銀閣建立によって引き起こされる悲喜交々。
銀閣に対する将軍の想い、棟梁の矜持。
そして同業者との争い、家族、奉行衆との関係、そして時代。
作者が書きたかった事が色々ありすぎて、最後がちょっとボヤけた感じになってしまったか。
どこかにカタルシスを感じるところがあっても良かったように感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
室町時代末期、幕府の権力が弱まり疲弊しているにも関わらず、将軍職を引退した後の自分のためこだわりの御所を建てよと命じる足利義政。お抱えの番匠たちが今で言う競争入札や、談合のような形で仕事を取って行く様。そして建設するための莫大な費用を民からあらゆる形で捻出させていたことなど、かなり興味深いものがあった。
こだわりの御所のための番匠たちの苦労もとても興味深いのだけれど、同じような番匠ものの山本兼一さんの迫力ある「火天の城」とどうしても比べてしまい、全体の満足度が低くなってしまいます。 -
歴史建築小説かと思ったら、室町時代後の建設業界の話だった。
男同士のパワーゲームは面白いんだけど、建設箇所と、家族ものの箇所がつけたしのようで……ならパワーゲームの方が読みたかったなぁというのが個人的好み。
(そうしてしまえばタイトルに偽りありとなってしまうし) -
東山文化の粋といっても当時の庶民には縁遠い。いや、縁遠いどころか怨嗟の的になっていたであろう銀閣寺。さすがに読後感を面白かったで片付けるわけにはいかないけど、それでも岩井さんの著作だけあって庶民、いや、職人の矜恃を感じさせる。
古来の建築、そして銀閣寺に詳しければもっとこの世界に浸れたはず・・・。自分の知識といったら今年の夏だったかに観たNHKの創建時の銀閣寺を再現、推理しようという番組から得た知識がうっすらとあるだけ・・・。それでもこうであったかもと手を打つ箇所が。 -
初めての岩井作品。地味だが室町の息遣いが現代に蘇るようなリアリズム。他の作品も読んでみたいと思わせる魅力がある。