- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062761963
作品紹介・あらすじ
こんな検査官がいれば……
サブプライム、株価暴落、為替相場の乱高下。世の中は金融不況!
「銀行が嫌いだから、金融庁に入った」。まじめで、公正。最も信頼される金融庁検査官、松嶋哲夫。ある日、大合併による綻びが噂される大東五輪銀行の怪文書が届く。哲夫に下った、そのメガバンクへの査察命令。しかもそこは弟が勤める銀行で――。巨大化した組織の闇。金融庁vs.銀行。企業統治(コーポレートガバナンス)の心はどちらに。
※本書は2006年6月、実業之日本社より『霞が関中央合同庁舎第四号館 金融庁物語』として刊行されたものを改題し、文庫化したものです。
感想・レビュー・書評
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経済小説。金融庁が銀行を監査している事自体知らなかった。その程度の前提知識で読み始めたのだが読めば読むほどにハマり、一気読みだった。実に面白く読めた。著者が元は銀行に勤めていた事は知っていたがこれ程までに克明に細部まで丹念に描かれていると感動すら覚える。読後感もいい。詳細→
http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou24203.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金融庁vs銀行を双方の視点から描いた作品。
しかも戦うのは兄弟。
ものすごく面白かった。
普通、「金融庁は私怨でもあるかのように、金融検査で銀行を痛め付ける」だとか、「銀行が銀行の常識、勝手な理屈で悪いことを隠蔽しようとする、保身に走る」という悪い面ばかりに目がいってしまうけれど、この作品を読めば、「なるほど、だから金融庁はここまで銀行の悪い部分を見過ごさないのだな」とか、「銀行という組織の中で、自らの保身ではなく、目上の人間を守ろうとする人や、このままではいけないと声を上げられる人もいるのだな」とか、ポジティブな面に気づかされた。
作られたイメージを覆してくれる一冊だった。 -
UFJ銀行を舞台に行われた金融庁検査を中心に描く小説。すべてフィクション仕立てではあるが、時の竹中平蔵大臣の覚悟、金融庁検査官の気迫、組織を守ろうとする銀行員の狂気が見られる作品。
正しいことをしようとしても、腐る組織は腐ってしまうのだ。そしてそれは多くの犠牲者を出す。それを思うと暗澹たる気持になる。
少しずつ年をとって上が見えてくると、自分の身の処し方も高度にならなければならないのだが、いかにして世の中のため顧客のため組織のために決断が下せるのかと思うとまだまだ自分は甘すぎる。そんな人間では何も守れないなと痛感させられたような作品。読み応えは、かなりあり。 -
26.8.9
池井戸作品では、悪役である金融庁。この作品では逆の立場。 -
「銀行が嫌いだから、金融庁に入った」という松嶋哲夫。
真面目で公正、最も信頼される金融庁検査官だ。
ある日、大合併による綻びが噂される大東五輪銀での、行不良債権の隠蔽と銀行内での派閥争いをにおわせる内容の怪文書が届く。
哲夫に下された、そのメガバンクへの捜査命令。
しかし、そこには、父親がわりとなり面倒を見てきた弟が勤めていて―
金融庁対銀行。企業統治の心はどちらに。
今読むとちょっと古いかな-近頃はあまりこういう話題がニュースにもないので、丁度な時期に読んでたらもっと臨場感あってハラハラドキドキしたかも。
そして専門用語が難しかった-
裏表紙のあらすじだと、兄弟対決!攻防戦でお互い嫌いあってぶつかるのかと思ってた。ら…お互いの立場を理解尊重しあって最善と思われる道を目指す同志みたいな仲でしたわ-ギスギスしてなくてホッとしました。
頭取は退き際が良かったと。
検査中は盲目的だったのでどんな末期かと思ったけど、最後にはわかってくれたのが。
どうせなら新人検査官の初仕事も読みたかったな- -
ちょっと出来すぎ。もう少し、倉敷の心理描写や、偏執狂的な検査官の存在も描かないと、ただの勧善懲悪話て終わってしまう。一般受けはいいんだろうけどさ
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旧UFJ銀行がベースなのかなぁ?
金融に疎い私でもさくっと読破。おもしろい! -
2018.5.15-134
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フィクションではあるが、実際に起きたことがモチーフになっている。
文章も軽快でスラスラ読め、小説としてとても面白い。
一方で、当時起きたことを整理するのにも良い。 -
金融庁の検査局のお仕事が描かれてました。検査官がかっこいいかんじ。