凍りのくじら (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 13426
レビュー : 1603
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762007

感想・レビュー・書評

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  •  あのピアニストの子ども時代はこうだったのか、とおもしろかった。
    相手にしていた人物が実は・・・なんてこと全く思わず読んでいた。
    この作品のあと、急成長した感がある。

  • 「私は羨ましいんだ、美也たちが。大好きなんだよ。人間が好きなんだよ。そこに行けない自分のことが、大嫌いなんだよ。」p422

    溢れ出すものを必死に堪えながら読んだ。

    主人公が抱えているものは、きっとみんな、抱えているもの。楽しくないのに笑って、無理してるな自分ってわかっていてもひとりになるのは寂しくて、ふと、自分が空気のように感じて虚しくて。どうして自分だけうまくできないんだろう。どうして心から楽しめないんだろう。どうしてこんなにも所在が曖昧でふわふわなの。自分の居場所って何。

    みんな、そうなんだと思う。
    みんな、そんな少し•不在の気持ちを抱えて、楽しそうな周りの人たちを俯瞰して、馬鹿にして、それでも離れられずに羨んでいる。自分だけがこんな思いをしているのだと思い込みながら。

    「二十二世紀でも、まだ最新の発明なんだ。海底でも、宇宙でも、どんな場所であっても、この光を浴びたら、そこで生きていける。息苦しさを感じることなく、そこを自分の場所として捉え、呼吸ができるよ。氷の下でも生きていける。君はもう、少し•不在なんかじゃなくなる」p525

    辻村さんは照らそうとしてくれた。テキオー灯を文章にのせて、あたたかな光を送ってくれた。

    「『誰かと繋がりたいときは縋りついたっていいんだよ。相手の事情なんか無視して、一緒にいたいって、それを口にしてもー』言いながら気が付く。それが、自分自身に向けての言葉なのだということに。他でもない私がそうしたいのだということに。

    私は一人が怖い。誰かと生きていきたい。必要とされたいし、必要としたい。」p537


    凍りの隙間から射す光に照らされて、溶けていく。

    わたしは、救われたような気がした。

  • 心があったまる作品で、感動して涙が出てしまう

    ドラえもんも大好きだからたまりません

    辻村さんのエッセイも好きです

    SF すこし○○  良いですよね!すこし○○って

  •  辻村深月さんの本を紹介しているものに「切ない度☆☆☆ 優しさ度☆☆☆」、「切なくて苦しくて、でも読んだ後は幸せであたたかい気持ちになれます」とあった。

     本当にその通りだった。これまで読んできた感動系の小説は、感動の山場が一つあった。でもこの小説には、(あくまで僕個人としては)山場が二つあった。一冊の本で二回も号泣したのは初めてだった。
     
     昔、留守番のときは必ずドラえもんのビデオを見て…中学生になっても映画を観にいったりして…自分もドラえもんが好きだったことを思い出した。
     
     主人公だけでなく、読者にもあたたかい涙と優しい光をくれる小説でした。一生持っておきたい小説に仲間入り。

  • ちょっと落ち込み気味の時に暗い本を読むのは危険、と、かつて「ノルウェイの森」で学んだはずなのに、内容を知らなかったとはいえまたやってしまいました。いや、「ドラえもん」の牧歌的な雰囲気から油断してたのですよね。恐るべし猫型ロボット。

    どんよりというか、眉をひそめながら読み進めていたのは、多分理帆子のキャラに同情しづらかったせいかと思う(それさえも多分作者の狙いなのでしょう)のですが、フラストレーションをためた分、トップギアが入った終盤の展開にはぐいぐい呑み込まれました。ハラハラドキドキ、でもプロローグの雰囲気からして悲劇的結末にはならない。未来を約束された中でのキリキリ感。やがて収まるべき所に話は落ち着き、そして、え、ええええー!?

    このどんでん返しは完全に不意打ちでした、こういうカラーの話だとそもそも思ってなかった。作品の事前情報も無く、作者のカラーもまだ良く分かってない(辻村さん3冊目です)ゆえの醍醐味ですが、いやはや鮮やかに討ち取られました。ただただ脱帽です。いやこれ凄い…。

    なんだか想定外の感動に包まれてしまいましたが、それにしても、名作には名レビューが山ほど書かれるんだなと、ブクログ開いて感心しています。

  • 途中から、これ、良くない方向に向かうやつだ・・・と先の予想をしながら読んでしまいました

    人間の光と影、人間の弱さが登場人物を通して書かれているように感じました

    「人間の脈絡のなさを舐めない方がいい」
    この別所さんの言葉が心に残りました_φ(・_・

    ★4.7 2019/8/14 読了

  • 幼稚園に通う子供と春に初めてドラえもんの映画を観に行きました。
    私自身はドラえもんにあまり興味はなく、だからといって嫌いでもないです。
    初めて観るドラえもん映画は面白く、脚本を担当した辻村深月さんを知ります。
    調べるとデビュー作はメフィスト賞を受賞したのだそうだ。
    出来る限り出版順に物語を読みたい私は、この作品まで来ました。

    辻村さんの話に登場する主人公たちは、いまいち共感出来ないところがあります。
    この作品の理帆子もそう。
    消えてしまった父親と病気で入院中の母親。でも両親の知人である松永が入院費や生活費を援助してくれる。
    そこにすごく感謝するわけでもなく、元彼ともグダグダし、理由をつけ遊び歩く。
    だけど、なぜか憎めなく気になる主人公。
    いつのまにか自分までも「少しナントカ」と考え始めてしまうのです。

    子供の影響で、作中に出てくる道具たちは大体分かりました。
    これは知っている方が断然面白いです!
    理帆子がテキオー灯の名前を忘れた時にどうしたのかと思ったら、最後に繋がっていたので驚きです。
    偶然にも今レンタル中のDVDが「天の川鉄道の夜」。少し不思議です。

    今の私には「少し不眠」がぴったりだなぁ。

  • 私にとってのSF作品とはなんだろう。の問いに答えてくれたのは辻村深月さん。「少し・不思議」。私が好きな作品には必ずその共通点があります。
    ドラえもんの大ファンな私は、目次だけで読む前からワクワクできてしまう。初めて読んだのは高校生のとき。再読したのは二十代。辻村さんがエッセイで言っていた「まったく同じ本、同じ内容を読んでも、その前に立つ自分がどんな現実を抱えるかによって、そこに映し出されるものは常に変わっていく。」を感じさせてくれる物語。

  • 再読。
    何度読んでもこの小説は深く突き刺さります。
    初めて読んだ時、主人公が少し不在じゃなくなる場面にどれだけ自分も救われたか。辻村さんの小説に毎回光を感じます。これから先も何度も読み返すことになると思うすごく好きな小説です。

  • 最初から最後まですっごい素敵なお話で…心理描写の凄さ、映像の描かれ方も凄くてずっと脳内に場面が再生されてる感じやった。語彙力無さ過ぎて素敵しか出てこない。。読んでよかった。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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